『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  317

2010-10-13 07:50:35 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 作業区の区割りは、群生地の東西を7つに区切って各隊に割り当てた。
 『諸君、担当区については、皆、判ったな。収穫については、君らが知っているように、樹をゆすり、樹から落ちたアーモンドを拾う、この作業をしなければならない。いいな。この作業をとどこおりなく完了するためには、地面の地づらをチリひとつない位に美しくするのだ。これを徹底する、いいな。頼むぞ、諸君。雑木は全て切り倒し群生地の外へ運び出しこれを捨てる。下草も刈り取って同じく群生地の外へ捨てる。収穫作業をうまくやるか、やれないかは、この作業にかかっている、いいな。念を押しておく。これで打ち合わせは終わる。さあ~、これで休んでくれたまへ』
 イリオネスは、各隊長に作業の要点を言い渡し、打ち合わせを締めくくった。
 この頃、砦のアエネアスは、ユールスと親子二人のときを過ごしていた。彼は幼いユールスに海と船の話しをしたり、いま、やっているアーモンドの収穫のことを話したり、砦の事なども話したりして過ごした。また、二人で一日中を魚釣りで過ごす日もあった。
 ユールスは、父と過ごす日々を楽しんだ。父の語ることにユールスなりに耳を傾けはしたが、その内容については、理解し得なかった。だが、父の思いと意志は心と身にしみ込んだ。ユールスにとって、『父といる』 それは楽しい日々であった。