しいかのブックトーク

毎月読んだ本や日常の諸々を記録します。

わらし仙人の30倍速読術

2005-06-24 12:59:24 | こんな本読みました
warashisennnin


 わらし仙人/著  ゴマブックス

  私は、本を読むのが遅くはないです。 もしかしたら、人よりちょっと早いかもしれない。
「人」というのは、あまり読書をしていない人、の事。

 活字というのは、毎日読んでいると、だんだん早く読めるようになるもので、これは訓練なのです。
本を読まないでいると、どうしても1冊読むのに時間がかかり、時間がかかると、だんだん読むのが面倒になってくる。

 そう、読めば読むほど、早くなる、これは当然ですね。
では、なぜ、早く読めるほうがいいの?

 それはもちろん、たくさん読めば情報量が増えるから。
こどもの頃から、この訓練を積んでいく、というのは、とても大事な事です。

 だから、こども達に、本を読むのが好きになってほしい、そういう願いをもって、おはなし会やら、読書活動しています。

 では、早く読めさえすればいいのか、というと、そうではなく、楽しみで読む、文章を味わう物語や、勉強のための本を早くだけ読んで、頭に残らず、はい読みました、ではだめなのです。

 要するに使い分け、が必要で、「じっくり読む本」と「内容や要点、必要な部分だけ、読む本」に分けるのです。

 内容だけ、さっとわかればいいものは、たくさんあります。
新聞や雑誌、レポートで必要な資料探し、仕事上でくるメールなど、など。

 さて、本題。
わらし仙人は、番町書店経営者で、これまでになんと9万冊もの本を読んでいる。
わらし仙人は、毎日2800通のメールを読み、ビジネス書も毎日10冊、新聞四誌、週刊誌5誌、月刊誌6誌、スポーツ新聞6誌も読んでいる。

 これらを、なんと3時間で読破しちゃうというのだから、まさに神業、いえいえ、これが速読なのであります。

 速読は、右脳を使い、目の動きの訓練をするのですが、この本には、日常でできる訓練の方法がイラスト入りで載っています。

 確かに、この技を身につけたら、本当にどんなに便利なことか。
こうして得た、たくさんの情報から、さまざまな発想やアイディアが浮かび、予測力も、記憶力もつくという素晴らしいことになる。
 
 で、私は、試してみたか、というと、少しやってみました。
この記事かいているうちに、もうちょっと真剣に練習しようかな、という気になってきました。


残虐記

2005-06-24 12:26:30 | こんな本読みました
zangyakuki


桐野夏生/著  新潮社

 新潟の女児監禁事件、これをどうしても連想する内容です。
ヒントは、もちろんそこから出ているはずで、けれど、あくまでもフィクション。

 バレエ教室の帰りに、誘拐されてしまった、10歳の景子。
ケンジという男に、1年1ヶ月閉じ込められて、なぜか「みっちゃん」と呼ばれて暮らすのだが・・・。

 この本のすごいのは、監禁生活よりも、その後に多くページを割いている。
解放後、自分も変わり、両親も変わり、まわりの人々の見る目も変わり、現実感をもてなくなった景子は、性的人間となり、夜の夢を紡いでいく。

 だれもが、「監禁中になにをされたのか」を知りたがり、それについては固く口を閉ざす景子。
この事件がきっかけで、景子は小説家となるのだけれど、書いた小説は、事実なのか、単なる物語なのか。

 ぐんぐん引き込まれて、一気に読んでしまったが、最後がちょっとがっかり、というか疑問が残った。
桐野さんの想像力は、なるほどこんな事件にあったら、こういう展開になるだろうなと、かなり現実的ではあるのだけれど、私の中の望む結末とは、ちょっと違うのだ。
 いやあな気分になる。
ケンジの部屋の描写も、リアルで、不潔感がわさわさと体にまとわりつく。
それだけ、筆力があるのでしょうね。

 大体、この本を手にとる事自体が、監禁事件に興味をもつ証拠であり、桐野さんは、素材から、見事にストーリーを構築している。

 それにしても、小説家になった景子さんは、家を出て、どこへ行ったんでしょうね。