しいかのブックトーク

毎月読んだ本や日常の諸々を記録します。

ナルニア国ものがたり 1

2006-06-19 11:22:44 | こんな本読みました

Narunia1 C.S.ルイス 作  瀬田貞二 訳  岩波少年文庫

 映画を先に見たので、どうしても映像が頭に浮かんでしまうのだけど・・・

 映画はかなり原作に忠実。 こまかい箇所の違いはあるけれど、一番気になったのが、エドマンドが魔女のそりにのせてもらって、お菓子をもらう場面。

映画で観たのは確か赤だったか紫だったかの粉っぽい柔らかいお菓子だったのが、原作では「プリン」となっている。

 しかもプリンには魔法がかかっていて、死ぬまで食べ続けたくなるとある。

 あとがきを読んだら、お菓子は「ターキッシュ・デライト」というもので、日本人になじみがないので、翻訳を「プリン」と変えた、とありました。

 映画が原作通りだったわけだけど、では、「ターキッシュ・デライト」とは何?と調べてみました。

 名前の由来は、トルコのお菓子「ロクム」からで、イギリス人旅行者が本国に持ち帰りTurkish Delight(トルコ人の喜び(楽しみ))と名づけたそう。

 真っ赤なぎゅうひのようで、香りは飴みたい、そして、和菓子のようなもちもちした食感、弾力があり、かなり甘味が強い、とのことで、大体想像がつきます。

 あの立派な器に入っていたので、高級そうにみえたけど、子供向けの駄菓子のようなものかな。 戦時中で物不足だったから、こういう甘いお菓子にエドマンドは飢えていたのかなと思います。

 ゼラチンを使って簡単に作れるようです。赤くするのには香料や色素を入れます。でもあまり食指が動かないなあ。

 タムナスさんの家のお茶や、ビーバーおくさんのごちそうなど、おいしそうで食べてみたいと思うのは、私が食いしん坊だからかな。


文芸春秋2006年7月号

2006-06-19 10:46:04 | こんな本読みました

Bungeisyunnzyu  文芸春秋社 刊

 一昨年の7月16日に亡くなられた、中野孝次氏の『ガン日記』が掲載されています。

 私は中野氏が大好きで、『ハラスのいた日々』や『清貧の思想』には強い影響を受けました。

写真や、本に書かれた文章でしか知らないのですが、誠実な人柄、真面目さ、落ち着きというのは、私の理想とするところなのです。

 ガンと宣告されてからの1ヶ月あまりの日々の記録ですが、それを受け止める心の動きが克明に記されています。

 自分の命があとわずかと知ったら、人は何によりどころを求めるのだろう。

 宗教や家族、友人、仕事、趣味、ひとそれぞれ違うと思うし、何も手につかないかもしれない。

 中野氏は、文章・言葉の力を支えにして、特にセネカの書に親しんでいたから、死に対する心構えを学んでいたという。 

 「運命は、誰かに起すことは汝にも起すものと覚悟しおくべし。自分の自由にならぬものについては、運命がもたらしたものを平然と受け止めよ」 というセネカの言葉です。

 神奈川近代文学館で7月30日まで『中野孝次展』が行われ、このガン日記も公開されています。

 以前、私が、神奈川近代文学館へ行ったきっかけは、中野氏がここの館長を勤めていると知ったからでした。 横浜の洋光台という土地にもとても親しみを感じていて、あたりの風景が目にみえるような感があります。