しいかのブックトーク

毎月読んだ本や日常の諸々を記録します。

マインドマップが本当に使いこなせる本

2008-09-26 12:59:47 | こんな本読みました

4048672347  ブザン・ワールド・ワイド・ジャパン   アスキー・メディアワークス発行

 私がマインドマップ(Mind Map)を知ったのはごく最近。 JPICの講習会で、隣に座った方(出版社の部長さん)が、クロッキー帳に24色か30色くらいのカラーペンで、講習をメモしているのを見て、初めて知ったのである。

 そういえば、よく見ているNHKの英語の講座にも、この枝葉に単語がどんどん並んでいく覚え方が出てきていた。

 現物(?)を見て、すぐさま私は決意した。

 「よし!これ、いただき!!」 即実行!

 いろいろ調べまくり、おおよそを理解して、この本を購入し、同時に文具店を何軒もまわって、「私に合った」道具選び。 

 そして、今、読書感想や、TV『新日曜美術館』のメモ、考えている事、予定などなどマインドマップで記録しているのである。

 その手法とは、まず、横書き用紙(A3くらい)の中心にセントラルイメージを絵で描く。

 そこから、頭の中に浮かぶ、さまざまなイメージを枝葉のように伸ばしていくのである。

 たくさんの色を使って、絵を描きながら記録していく作業だ。 トニー・ブザン氏が開発した。

 見て、これは、絶対に効果的、とすぐに理解した。

 私は、20代の頃、絵日記を書いていて、その日に感じた事、出来事を絵にして、少しの文章を添えたのだけど、それを今読み返すと、絵を見ただけで、その時の情景が鮮やかに蘇ってくるのだ。

 「その時描く絵」には、不思議な力がある。

 絵とカラー文字の組み合わせで、より記憶が鮮明になるのである。

 まだまだ初心者であるけれど、目下この本で勉強中。


あやし~怪~

2008-09-26 12:21:21 | こんな本読みました

31106496  宮部みゆき/著     角川書店

 大好きな宮部さん。

 宮部さんの書く時代ものは、TVドラマにするにはぴったりの起承転結、ストーリー性、いわゆるオチがある短編であり、これも怪奇物、怖いおはなしが9編収められている。

 鬼だとか、ゆうれいとか、江戸時代にありそうな怨念話。

 けれど、どれもが、人間の醜い心やら恨みやらから発生する事で、時代が変わっても、人の気持は変わらないなあと感じる。

 宮部さんの短編は、最後は、みな、納得のいく結末で、ほっと安心したり、なるほどねえと思ったり。

 私の好きなのは「女の首」。

 母親に死なれた口のきけない10歳の太郎が、差配さんの世話で、葵屋という袋物屋へ奉公に行く。

 手先の器用な太郎は、ほめられるのだが、納戸で、唐紙に映る女の首を見てしまう。けれど、それは他の人には見えないのだ。

 女の首は、夜中に太郎に襲いかかってくる。 気を失った太郎は助け出されて、初めて口がきけるようになり、次第を話すと、「その首が見えるのは、私たちの子供という証拠!」と、主人夫婦にかき抱かれる。

 太郎は生後まもなく、誘拐されて、誘拐した女は断首されたのだ。

 これだけなら、よくある話なのだが、赤子の太郎を助けたのが「かぼちゃの神様」で、かぼちゃ畑に捨てられた太郎を、誘拐女から守ってくれ、葉っぱでくるんで、育ての母にひろわれるよう、川に流してくれたのだ。

 感動的なストーリーです。

 タイトルは、「女の首」でなく『かぼちゃの神様』の方が、いいと思うんだけどな。 


犬身(けんしん)

2008-09-15 18:50:41 | こんな本読みました

31961910  松浦理英子/著    朝日新聞社

 「性同一障害」ならぬ「種同一障害」、八束房恵は、自分が犬だと思いながら暮らしている。

 魂を渡す事を条件にバー「犬狼」のマスター朱尾献に、可愛い子犬にしてもらい、あこがれの飼い主玉石梓のもとで「フサ」と名付けられる。

そこで、玉石家の醜い家庭内事情を知ってしまうのだ。

 なんといっても、「犬の目」から見た人間世界というのが興味深く、犬でありながら、中身は人間だから、字も読めるし、すべて理解できてしまうのだけど、それを隠して犬らしくふるまっている。

 犬好きの私としては、また犬が飼いたくなるようだ。

 舞台は、架空の都市、狗児市で、犬啼山、犬洗川、犬渡橋、犬戻橋など犬の名をつけた地名やら場所やらで、たちまちにその世界に入ってしまう。

 この小説は、電子書籍配信サービスから三年をかけて配信されたものであり、500頁を越す厚い本。 でも、やめられなくなる。

 最後が悲惨だけど、救われる内容で、ほっとする。 なんだか泣けてきちゃう。

電子書籍配信サービスは、こちらから ↓

http://www.timebooktown.jp/Service/index.asp 


夢の果て

2008-09-15 18:02:14 | こんな本読みました

Photo  安房直子/著  味戸ケイコ/絵   瑞雲舎

 ずいぶん前に『詩とメルヘン』という雑誌があり、その雑誌の投稿から、今活躍する有名なイラストレーターなどが誕生しました。

 私好きだったのは、おおた慶文・葉祥明・黒井健・東逸子・林静一、それから、もちろん編集長のやなせたかし。

おおた氏の優しい人物画、葉氏のくっきりした色合いの風景、東さんの緻密な絵、なかでも大好きな林氏の絵は、竹久夢二の雰囲気で、ポストカードをたくさん買い集めました。頭の中にそれぞれの絵が残っていて、すごく懐かしい雑誌です。

 その『詩とメルヘン』1974年から1987年まで掲載されたものを集めたもので、17編の安房さんの物語に味戸ケイコさんが絵を描いています。

 瑞雲舎の社長さんが30年以上前に『詩とメルヘン』の編集をしていたことで、この本が生まれました。

 どのお話も、まさに「夢のよう」で、不思議な世界に引き込まれます。

 味戸さんの絵は、暗いトーンなのですが、ほんわりとした、優しさを感じます。

 読んだ人は、それぞれお気に入りの話があるはず。 私は「秋の風鈴」と「木の葉の魚」がよかったです。

 「木の葉の魚」は、貧乏な娘が嫁ぐ時に母からもらった、たったひとつの嫁入り道具の古い鍋。 その鍋に葉っぱをいれると、焼き魚に変わるのです。

 めったに使ってはいけないのに 嫁ぎ先が飢饉で困っている時、他の人たちの為にたくさん使ってしまい、そのたびに海の魚が減っていく・・・そして、とうとう・・・・・。

 是非、安房ワールドに浸って下さい。