しいかのブックトーク

毎月読んだ本や日常の諸々を記録します。

別冊歴史読本 将軍家・大名家 お姫様の幕末維新

2013-03-02 12:37:44 | こんな本読みました

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 「幕末という事で読んでみた。大名家が崩壊する寸前の最後のお姫様達の運命はそれぞれである。徳川・松平家を中心に他藩(松前藩・盛岡藩・秋田藩・二本松藩・佐倉藩・請西藩)などなじみのない藩のお姫様達の嫁ぎ先をめぐるあれこれが興味深い。写真で見る姫さま達は一様に細面であり、小柄ながら、凛としたお顔立ちである。武家の娘としての風格がにじみ出ている。薩摩藩篤姫や、「八重の桜」の松平容保に嫁ぐはずだった照姫の話が印象的。解説者が独自の目線で自分の見解も交えて書いているのがみえみえで、読み物としても面白い。」

・・・ここまでは読書メーターの引用。

読書メーターでは文字数に限りがあって全部を書ききれないので、ここに追記する次第。

 私の印象に残った会津松平家の松平容保(かたもり)の話。

NHK『八重の桜』で八重の兄、山本覚馬の仕えるお殿様である。

ここではお姫様にスポットが当てられている。

会津藩23万石の第8代当主松平容敬(かたたか)には後継ぎがいなかった。

生まれてもすぐ夭折して、育たなかったのである。

会津初代藩主の保科正之は、2代将軍秀忠の庶子であり、その親戚の保科正丕(まさもと)の側室の娘、照姫は「聡明な美少女」として10歳に育っていた。

そこで照姫を養女に迎え、次に婿養子を探した。

美濃高須藩3万石の当主松平義建(よしたつ)の六男銈之充(けいのすけ)、後の容保を養子とした。

時に容保9歳、照姫12歳。

ところが皮肉な事に、この年に容敬の側室が敏姫を出産。

当然、血の繋がるわが娘と容保を結婚させたく、照姫を豊前中津藩主奥平昌服(まさもと)へ嫁がせた。

けれど照姫は美男で心も優しい容保に恋慕の情があり、泣く泣く嫁していったのである。

確かに、陣羽織姿の容保は凛々しく、いい男にみえる。


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 ところが敏姫はうつ病となり、心配した照姫は婚家を去り、会津藩江戸屋敷へもどってきてしまう。

そして容保と敏姫の義姉として、鶴ヶ城の奥を束ねる事となる。

22歳になった容保は14歳の敏姫と祝言をあげるが、敏姫は19歳で亡くなってしまう。

翌年妻に死に別れた容保は、文久2年、京都守護職を受け、上洛する。

孝明天皇から下賜された衣を仕立て直した陣羽織の写真がこれであり、照姫のもとに届けられ、照姫は感動して句を詠んでいる。

精神誠意仕えた容保が諸々の出来事により、新政府から討伐の対象となり、会津鶴ヶ城に戻り、籠城戦となったのは周知のごとくである。

その際に城内で中心人物となり、負傷兵の看病や奥女中を監督したのが照姫なのである。

なんだか八重だけがすごく活躍していたように思えたけど、そうじゃないんだね。他にも活躍した女性のドラマはたくさんあるようだ。

結局、会津藩が降伏開城して、照姫は実家に戻り、53歳で生涯を閉ざすが、初恋の相手は松平容保、と言われている。


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 この写真は、鶴ヶ城で家臣と写したもので、本を読んでいるのが容保、隣が照姫といわれている。



 もうひとつのお話。

信濃国上田藩最後の殿様、松平忠礼(ただなり)。

9歳で家督を継いだ忠礼は写真好きで幕末から明治初期の写真を数多く残している。

藩がなくなり、廃藩置県で知藩事を任ぜられた忠礼は米国に7年、留学する。

留学前に結婚したのが遠江国掛川藩主の娘、宝姫であり、15歳で嫁いで留学前に3年間一緒に生活したが、忠礼は米国から宝姫と離婚したいと手紙を出している。

その理由が「宝の無口で、感情のない態度や、自分に対しての無関心さ」という事であり、米国でかなり進んだ結婚観をもっている為、はっきりとした態度を示したのである。

忠礼はまた、「結婚とは、互いに慕いあうものでなければ、一生を共にすることはできない。」とも言っている。

当時の環境であれば、慕い合うもなにも、結婚は家と家の繋がりであり、互いの感情などなくて当たり前の世界であったはずだ。

まわりの人間は当然反対を唱え、「夫人は飾りものにして、気に入った側室をおけばいい」などと勧める。

けれど忠礼は「それは日本の旧慣で、支那あたりではあるかもしれないが、開明の米国ではありえず、そこで学んだ上は妾を持つことなどはできない。」と強く主張。

なんてかーっこいいんでしょう。

結局、離婚が成立。

忠礼は帰国後、高知新田藩藩主の娘、山内豊子と結婚。

満足のいく相手とめぐり合えたようである。

けれど、豊子に子ができず、かねという側室を持つも、子に恵まれず、家督は弟が継ぐことになり、忠礼は45歳で死去。

豊子は81歳まで生きている。

他にも仙台藩最後のお姫様、伊達保子は蝦夷(北海道)へ移住し、「開拓の母」と呼ばれている、とか大垣藩最後の藩主と結婚した、岩倉具視の娘、極子(きわこ)の話とか、ドラマがたくさんあって、大河ドラマを沢山観たような気分になれる本である。


2月に読んだ本

2013-03-01 12:54:22 | こんな本読みました
2013年2月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:1629ページ
ナイス数:49ナイス

全国文学館ガイド全国文学館ガイド感想
私は文学館へ行くのが大好き。作家の生い立ちや写真などをみて、その人生に思いを馳せる。このガイドは改訂前のもので、現在はもっとたくさんの文学館が出来ているようだ。日本全国こんなにもたくさんあるのに、そのうちのほんの少ししか行っていないなあ。
読了日:2月27日 著者:
こどものとも0.1.2. 2013年 02月号 [雑誌]こどものとも0.1.2. 2013年 02月号 [雑誌]感想
『おててつなごう』画像がないのね。 おかあさん、おにいちゃん、おねえちゃん、おじいちゃん、つなぐ人によって色々つれてってもらえるね。でもやっぱり一番はおかあさん、おとうさんとのぶーらん、ぶーらん。
読了日:2月27日 著者:
あかちゃんたいそうあかちゃんたいそう感想
前にも読んだけど、無難な線で今月もチョイス。 ママとペアでやってもらいたいなあ。
読了日:2月27日 著者:鈴木 まもる
なーらんだなーらんだ感想
三浦太郎さんの絵本は、今やまさに赤ちゃん絵本の定番! なにかないかなあという時はこれを読む、お助け絵本である。
読了日:2月27日 著者:三浦 太郎
ブップーバス (あかちゃんのりものえほん)ブップーバス (あかちゃんのりものえほん)感想
バスにもドラマがあるね。安全第一だから、タクシーにもトラックにもバイクにも救急車にも追い抜かれちゃう。だって、このバスには赤ちゃんとお母さんが乗っているんだもの。
読了日:2月27日 著者:とよた かずひこ
みんなでおひなさま! (12か月のしかけえほん)みんなでおひなさま! (12か月のしかけえほん)感想
読み聞かせしてる人はわかると思うけど、「ひなまつり」関係の絵本てあまり多く出ていないのです。10冊位は知ってるし読んだけど、「赤ちゃん向け」がないのよ。唯一がこのしかけ絵本。きむらゆういちさんのだから内容はgood!おひなさまの型紙があるので、みんなに作ってもらう計画。
読了日:2月27日 著者:きむら ゆういち
かくしたのだあれ (どうぶつあれあれえほん)かくしたのだあれ (どうぶつあれあれえほん)感想
「たべたのだあれ」は大騒ぎでみんなみつけてくれるから、これもそうなりそうだね。
読了日:2月27日 著者:五味 太郎
でんぐりでんぐり (けんちゃんとあそぼう 2)でんぐりでんぐり (けんちゃんとあそぼう 2)感想
巻末の黒井さんの写真、すっごく若い!お子さんは4歳くらいかな。この絵のけんちゃんにそっくり。この本は1982年刊だから、31年も前だー! 今回のおはなし会には読まないけれど、いつか読みたい。みんなで、でんぐりしながらね。
読了日:2月27日 著者:くろい けん
ねんねん こねこ (2010年度定期刊行紙しばい 年少向け おひさまこんにちは)ねんねん こねこ (2010年度定期刊行紙しばい 年少向け おひさまこんにちは)感想
リズムがいいね。「ねんねんねこねこ、ねんねんねこねこ」これは「いーとーまきまき」の音程で歌うといいそうだ。おひるねするのがいやなこねこちゃん、遊びに行って泥だらけになって、優しいママはすべてを受け入れ、疲れてねんね。単純だけど、母親の暖かさが感じられるいい内容。
読了日:2月27日 著者:長野 ヒデ子
新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?新幹線お掃除の天使たち 「世界一の現場力」はどう生まれたか?感想
単純にいい話。穿った見方をすれば、ディズニーランドのあの本とそっくり。でもね、どんな仕事でも、プロの意識を持つ、改善、改革の意識を持つ事が自分の遣り甲斐にもつながるというのに感動できる。お掃除は決してやりたい仕事ではないけど、どんな仕事にも誇りを持ってするというのは大事なのだと実感できる。
読了日:2月25日 著者:遠藤 功
増補改訂 新島八重と夫、襄: 会津・京都・同志社増補改訂 新島八重と夫、襄: 会津・京都・同志社感想
NHKでは、当初は『徳川慶喜』を予定していたのが、東北大震災と福島原発があったため、急きょ会津を舞台にした話に変更したそうである。この改訂版には山本覚馬や同志社の資料などが沢山掲載されている。
読了日:2月23日 著者:早川 廣中,本井 康博
増補改訂 新島八重と夫、襄: 会津・京都・同志社増補改訂 新島八重と夫、襄: 会津・京都・同志社
読了日:2月23日 著者:早川 廣中,本井 康博
会津歴史読本―読む・見る・歩くおとなのための街歩きガイドブック (別冊歴史読本 60)会津歴史読本―読む・見る・歩くおとなのための街歩きガイドブック (別冊歴史読本 60)感想
NHKの大河ドラマ『八重の桜』は1回も観た事がない。いつも会議や飲み会などで観られないのだ。再放送の土曜日は仕事。録画しても観る暇がない。それなのに、「八重の桜」研究をしてしまい、関連本を読みあさる。しかし、この本読むと会津に行きたくなってしまう。でも今年は人出がすごいだろうなあ。
読了日:2月18日 著者:
生きる[1]生きる[1]感想
丘修三さんの自費出版なので、画像はアマゾンでは出てこない。店頭販売もなし。 1巻目の表紙の猫の絵はとても美しく、目が素敵。 マリアは人間でいえば、超美人なのでしょうね。 丘の上の白い家で楽しく暮らしていたマリアがかくれんぼして乗ってしまったトラックで遠くの町へ運ばれ、帰りたいと願いながらなかなか帰れないのだ。 恋をして、子猫が5匹生まれたけれど、愛する夫に死に別れ、子猫達と旅をする。 厳しい世間には、味方をしてくれる仲間もいるし、敵もいる。 まるで人間の世界の話を読んでいるようだ。
読了日:2月15日 著者:丘 修三
abさんごabさんご感想
芥川賞受賞という事で読んだけれど、あちこちで批評されているように、ひらがなは読みにくい。内容も思い出が行きつ戻りつしていて、でもだんだんと情景が浮かぶようになってきた。著者の黒田さんの自伝的と聞いたけど、「タミエ」の毬つきうたや子供の頃の情景は黒田さんの記憶かと思う。新聞で黒田さんのインタビュー読んだらひとつの作品に五年とか十年かかるから、次作の依頼があっても時間かかるので、過去に書いたものを渡すとあった。もっと若い時に受賞できていたらよかったのにね。
読了日:2月12日 著者:黒田 夏子
月 人 石 (こどものとも傑作集)月 人 石 (こどものとも傑作集)感想
書と詩と写真、どれも一流のものが合体した、素晴らしい本。講習する時、いい本のおすすめのリストに入れている。渾身の作品には一書、一文、一枚の写真だけで訴えかけるものがある。
読了日:2月12日 著者:谷川 俊太郎,乾 千恵
あけるなあけるな感想
わたし的には好きなんだけど、まだ読み聞かせには使っていない。仲間は1年生や5年生のクラスで読んでいたね。最後が謎で、どうしてああなるのかが納得いかず。私だったら、また元に戻るとか、最後に鏡で読んでるあなたを写すとか、違うアイデアにするんだけどな。
読了日:2月12日 著者:谷川 俊太郎
おふとんかけたらおふとんかけたら感想
とにかく、かっわいい! 1年生はページめくるたびに大喜びのわーわーきゃーきゃー状態でした。
読了日:2月12日 著者:かがくい ひろし
おならうたおならうた感想
飯野さんのダイナミックな絵がレトロ感があり、谷川さんの詩にぴったり。 1年生や書店で読んだら、「おふろで、ぽ」に「やったことあるー」と共感しきり。子ども達よく見ていて、ころんだ女の子が携帯持ってるのに気がついた。ページめくる毎に反応があるね。
読了日:2月12日 著者:谷川 俊太郎
おーきくなったら (えへん ごほん えほん)おーきくなったら (えへん ごほん えほん)感想
1996年刊。17年前。あきやまただしさんの娘さん恵美さんへの絵本。著者近影には3歳位の恵美さんを抱っこしたあきやま氏の若き日の姿が。 「ある日、おかあさんがききました。えみちゃん、大きくなったらなにになる?」すごいものになっちゃうえみちゃん、最後は母子の暖かい愛情が伝わってきます。
読了日:2月12日 著者:あきやま ただし
誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール感想
話上手は聞き上手、とは前から知っていた。誰でも自分の事を話したい訳で、相手が出した話題を自分がとってしまい、自分のことばかり話す人って多いよね。この本は初対面の相手やお客さん、初めて参加する会などの時に使える。相手から話を引きだすコツや最初に自分をよく印象づけるコツは役にたちそう。会話とは「気持のキャッチボール」であり、自分だけがいい気分でいたら、駄目なのである。お互いに良い気分になれれば、人間関係も上手くいくのである。
読了日:2月12日 著者:野口 敏

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