しいかのブックトーク

毎月読んだ本や日常の諸々を記録します。

大名屋敷の謎

2008-11-05 00:26:54 | こんな本読みました

32080247 安藤優一郎 著   集英社新書

 安藤先生の本もこれで6冊目。

 どれもみな面白く読んだ。 何でこんなに面白いのかなあ。おかげで私も江戸通(?)になれたかも。

 江戸の7割が大名の屋敷地であり、参勤交代で江戸詰めの武士のおかげで、近郊の農民がビッグビジネスにありつけるという、経済効果を豪農の資料をもとに検証している。 

大名屋敷の「下肥」がビジネスになり、その権利をめぐってのあれこれ。

農民が、人材派遣として、大名の庭の整備や、馬の貸出などで副収入を得ていた、など、そのしたたかさと手腕は、商人並みである。

この豪農は、幕府がなくなっても、新政府にくらいついて、生き延びる。


江戸城大奥の謎

2008-11-05 00:07:46 | こんな本読みました

  31909035         安藤優一郎 著    文芸春秋

 安藤先生の著作で他の本にもあったが、印象に残った話が、「中臈、桂川てや」のこと。

 「てや」は、広大院(家斉の御台所)付の中臈で、天保15年の江戸城の大火で焼死している。 若干16歳である。

 「てや」は、将軍家御典医桂川家の長女で、12歳で大奥にあがっている。

 火事で、吹上御庭にいったん避難した「てや」は、広大院付きの年寄「花町」をみてくるように言われ、燃え盛る大奥に戻る。 「花町」は、逃げ遅れてもう、捜しようがないのがわかると、自ら火の中へ入っていくのである。

「これから自分は火の中にはいり、花町さまの所へまいります。もし、燭台を握っている死骸が出てきましたら、それは私でございます」と近くの者に言い置いて火中に身を投じるのである。

 「花町」様がみつからなかったら、みつからないと報告すればよい事で、何も死ななくともよいのに、そこが武士の娘、大奥の女で、「花町」がいなかったとは、言えないのである。

 大奥の女は、エリート集団であり、幕府に強い政治力を持っていた。

 同僚との交際費、寺社との蜜月なる関係など、現代にも通じる女性の社会が伺える。