しいかのブックトーク

毎月読んだ本や日常の諸々を記録します。

その日のまえに

2006-09-22 22:08:54 | こんな本読みました

Sonohinomaeni  重松 清 著     文芸春秋

 人は、いつか「その日」がくる事を知っている。

 でも、あえて考えないし、見ないようにしている。

 現実に自分が直面した時、自分は、家族はどんな風にふるまうのだろう。 きっとこの小説と同じ行動をとるんだろうな。

 懐かしい人に会い、昔住んでいた場所に行き、過去を思い出して懐かしむ・・・。

 あとどの位ってわかっている病気だから、それができるわけで、突然やってくる死ではないから、ある意味身辺の整理がつけられていいのかもしれない、など自分に置き換えて考えてみたりして。

 忘れるのは、ものすごく辛いこと。

 月日が経って、少しづつ、少しづつ、忘れていく時間が多くなる。 そうなるまでの心の痛みは何をどうやったって、どうにもならない。 そして、何十回、何百回、何千回も何十億回考えたって、振り返ったって、元にもどる事はありえない。

 そうやって、人間は生きていくんだなあと改めて考える。

 今年の高校生の課題図書に選ばれている本です。


昭和史七つの謎 part2

2006-09-17 19:30:48 | こんな本読みました

Syouwashi7tunonazo  保阪正康 著   講談社文庫

 文芸春秋2006年9月号に、保阪正康連続対談『昭和の戦争七つの真実』という特集があり、興味深く読んだあと、図書館でこれをみつけ、さっそく読んでみた。

 保阪氏は、歴史として表にでていない、裏の事実を、たくさんの資料から分析、検証している。

知らなかった事が多々あり、知ることにより、違った見方ができてくる。

 タイトルは、「東條英機に利用されたゾルゲ事件」 「明かされる大本営発表の歪みと嘘」 「陸軍中野学校の真の姿をさぐる」 「吉田茂が描いた国家像とは?」 「昭和天皇に戦争責任はあるか」 「A級戦犯は戦後なぜ復権したか」 「田中角栄は自覚せざる社会主義者か」 の七つ。

 番外編の「宮中祭祀というブラックボックス」では、原武史氏と、かなり辛らつな対談をしている。

 雅子皇太子妃が宮中祭祀を欠席がちで、美智子皇后との間で確執がある、とか女性天皇論などなど。

 この対談は2004年12月に行われているが、秋篠宮家に男子が誕生したら、女性天皇論はどうでもよくなり、東宮家と秋篠宮家の立場が逆転する可能性もある、という話があり、これは、現実になってしまっている。(2006年9月に男子誕生)