クリーニング店で受付のパート仕事を始めてから、15年近くなります。
受付の人は英語で
「receptionist」(レセプショニスッ)・・・受付の人
ピアニストやバイオリニストみたいで、カッコイイですね。
この仕事を長く続ける醍醐味は、顧客との関わりが点から線へと時間が繋がることです。
例えば、
母親に連れられてきていた幼稚園児が大学生になっていたり
逆に
ご自分の衣類をウォーキングがてら持ち込んでいた年配の方が、いつの間にか大往生されていたり。
土曜日の午前出勤の度に、ガラスドア越しに目にしていたのは
店の前の歩道を歩く小学生の男の子二人組でした。
前を歩く坊主頭の子は体格が良く、後ろを歩く子は小さくて痩せていました。
日差しが強い夏の日も、冷たい雨が降る冬の日も
二人はともにリュックを背負い、水筒を斜めがけにした格好で、おしゃべりするでもなく縦に並んでどこかに向かっていました。
おそらく
ご両親が仕事で、学童か何かに通う兄弟なのでしょう。
何年も続いたこの光景を、いつの間にか見なくなったと思っていたら
先日、大きくなった坊主頭の子が中学校の制服を出しに来たのです。
私は好奇心に抗いきれず
私 「毎週土曜日の朝に、前の歩道を通っていた?」
坊頭 「・・・? はい・・・」
この春には、中学3年生になるんですって。
「ずーっと、見てたのよ」 や、「大きくなったわね」 という私の感動しきりの言葉に、
一見、有力な柔道選手風の坊主頭の中学生は、はにかんだようなカワイイ笑顔になりました。
また一方
先日は、年配の女性客から贈り物をされました。
”飼っていた犬が亡くなったことへのご挨拶として”
だったので、少々戸惑ってしまいましたが・・・。
彼女がクリーニング店に長年一緒に連れて来ていた小型犬の名前は
「部長」
家族の中で一番偉そうだからとの名付けが面白く、私もその名を呼んでいました。
キャンキャン鳴く犬に
私 「ブチョー! お待たせしてごめんなさい! 終わりましたよ~」
床で鳴いていた犬を彼女が抱き上げ、静かになると
私 「ブチョ~。 私の顔が見たかったの?」
そういえば、
ここのところ、あまり鳴かなくなっていました。
今にして思えば、元気がなかったのかもしれません。
犬にとっての19歳は老犬で、最後は彼女の腕の中で眠るように逝ったそうです。
従来の顧客とはさらに線を伸ばし、新しい顧客との点はどのように繋がるのか・・・。
書くのが好きな私にとって、人間ウォッチできる面白い仕事なんですよ・・・。
#クリーニング店 #受付 #点と線 #出会いと別れ