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故郷広島の自慢の風景です。
「真道山より黒神島を見下ろす」
あと数日で、地域おこし協力隊を退職する。
三年間の経験を通し、「地域おこしに何が必要か」考えてみる。
地縁も血縁もない初めての地域で何ができるかと挑戦した。
結論から書こう。
巻き込むではなく、「分ける」である。
何をしてくれるか期待するのではなく、「何ができるか」をひたすら考えてやることである。
人が集まる仕掛けを考えている。
好奇心と本能に呼びかける活動をしている。
人は、楽しいことは続けられる。
楽しいことは、例えもうからなくても続けようとする。
好奇心を呼び覚まし、楽しいことなんだと分けることである。
帰巣本能は人にもあるはずである。
生活は、厳しくても「住めば都」である。
おらが村の自慢をする人々を増やすことである。
楽しいところには、遠くからでも行きたくなる。
都会から来たくなる。
住むとなったら、大いに協力しよう。
これまでの人生、人が何をしてくれるかを求めてきた。
初めて、人に何ができるかを考えることが大事なんだと気づいた。
協力隊をやってよかった。
過疎とは何なのか。
住んでいた方が亡くなって5年が経っていた空き家に住むことにした。
ごみを片づけ、リフォームをした。
一年の半分を費やしごみを出し掃除をした。
年収の半分を出し補助金も使い、リフォームをした。
持ち主は何もせぬまま、普通の家賃を受け取った。
地域の団体が主催するイベントの手伝いとして、一年間出続けた。
地域の行事にも積極的に参加した。
三年間手伝ったが、いまだに地域のメンバーとしてリストに登録されてはいない。
無料の手伝い人として扱われていると思った。
半年を過ぎ、何かをやりたいと思ったが誰にも相談できなかった。
地域には暗黙のつながりがあり、誰かに頼ると誰かから除外される。
そんな雰囲気を感じ取った。
農業がやりたくて、借りた家に付属していた畑を開墾した。
篠竹(地下30cm)を取り去り、セイタカアワダチソウ(地下1m)を掘り起こした。
日差しを確保するために、南面の山の下草を刈り、高木を伐った。
会った人の似顔絵を描き続けた。
少しずつ話してくれるようになった。
採れた野菜を無料でいただいた。
我が家の畑では、収穫が期待できなかった。
お礼として、数百個のパンとお好み焼きを焼き配った。
近所は、かつては地域の中心で繁栄していたが、11軒中8軒が空き家であった。
半年間、持ち主の許可をいただいて剪定をし、草刈をした。
誰にも手伝いを依頼しなかった。できなかったのである。
ここまでが一年目のできごとである。
地域活性化に携わっている人は、その家族も含め地域の人口の1割だと気づいた。
9割の人の声は届かないと感じた。
ほとんどの住民は、都会と同じく点と点を行ったり来たりの生活であることが分かった。
地域の声なき声を聴きたくて、カフェをオープンした。
8年前の震災の影響を受け、6年前から閉じていた蔵カフェをリニューアルした。
空き家事情は同じで、長い時間をかけてごみを出し掃除をした。
自費と補助金でリフォームした。
事情が変わってきたのはこの頃からである。
面白うそうだから手伝わせてくれという人が現れてきた。
では、手伝わせてやるかとお願いした。
恐る恐る人が寄ってきた。
縁側のように内と外の境がないカフェである。
新聞やテレビで取り上げられた。
数カ月は、珍しがられて人は来た。
数か月後には、お決まりの閑古鳥となった。
続けるために口コミだけの地域密着型のカフェを目指した。
飲料と食べ物を持ち込み可能な、完全予約制(一組だけ)のおまかせ料理の夜の商売を始めた。
二年目のことである。年収の半分を投入する赤字であった。
都会に住む義兄の後見人(法定ではない)も9年目を迎えていた。
病院から緊急電話があり、何度も駆け付けた。
義兄は生死の境を何度もさまよい、昨年亡くなった。
生きている兄弟は、9年の間義兄のことにタッチしなかった。
私が喪主をし、納骨を済ませた。
義兄が住んでいた家を継ぐ者もなく空き家となった。
後片付けをし、解体しなければならない。
こちらも費用がかかり、これからも労力と費用がかかる。
地域おこしも三年目となり、カフェの黒字化を目指した。
料金はぎりぎりの価格とし、多くの人が利用しやすくした。
地域で採れるもの、冷蔵庫にあるものを食材とするお任せ料理を美味しく食べていただくために、
和洋中といろんな味付けに挑戦した。
一年目の来客数が1460人、二年目が1990人となった。共に年間の来店者数である。
パン教室、編み物教室、老人会を企画した。
一人客も多くなってきた。来店者の似顔絵も描き続けた。
大変な毎日だけど、大いに励ましてくれ一緒に楽しんでくれた妻に感謝する。
待つよりも 一緒に歩こう さんぽみち
2019年3月24日