風、、、元かぐや姫の伊勢正三と元猫の大久保一久が組んだフォークデュオ。
きっかけはおそらくテレビで「君と歩いた青春」を聴いていたく感動し、
この曲が入ったアルバムを探して、「Windless Blue」に出会った。1976年
中学生の頃だったけど、未だに私の音楽の原点となるアルバム。
実は風の3RDアルバムである本作まで、風のアルバムは聞いていなかった。
「22才の別れ」「あの歌はもううたわないのですか」「海岸通り」などの
シングルや佳作は耳にしていたが、かぐや姫あたりとあまり違わない作風に
注目もしていなかった。
ただこのアルバムはそのテーマ、イメージされる世界が冒頭の「ほおづえ
をつく女」「夜の国道」の2曲に集約されていると言ってもいいくらい印象が
強い。
乾いたギターのリフで始まる「ほおづえをつく女」サックスが印象的な
「夜の国道」。あきらかに今までの風と違い、AORや洋楽に向いたアレンジが
格好良かったのだ。
歌詞は主観や独白ではなく、情景を淡々と歌うことでまるで小説のように
主人公たちの心情が想像され、さらに歌の魅力が深まっていく。
もちろん前出の2曲だけではなく、風を聴くきっかけになった「君と歩いた
青春」、胸に刺さる優しいバラードの「少しだけの荷物」、ポップな「アフタ
ヌーン通り25」などとにかく”外し”と思われる曲が全くない素晴らしい
アルバムだ。
「ほおづえをつく女」は伊勢、「夜の国道」は大久保の作。別々に作って
いるのにここまで世界観が共有されているのはさすがにユニットである。
それまで大久保一久を全く知らなかったのだが、これだけの曲がかける
才能は素晴らしく、伊勢正三に一歩も引けを取らない素晴らしいアーティスト
だ。
惜しむらくは彼の作品がシングルカットされず、広くそのポップで叙情的
な作風が広まらなかったこと。おそらく当時のクラウンは元かぐや姫・伊勢
正三のブランドを優先させたのではと邪推するが、残念で仕方がない。風解散
以降の大久保一久の情報を追ってなかったのだが、何作かソロアルバムが
出ているようなので、聴いてみたいと思っている。
最近、伊勢正三が太田裕美らとなごみーずで活動しているニュースを聴き
健在。大久保一久の復帰を強く願う。