矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

やはりプレゼンテーション力

2012-11-18 10:58:01 | グローバリゼーション関連
山中伸弥先生の自伝などをさっと読みました。

強調されていたことのひとつが、プレゼンテーションスキルでした。

2008年ぐらいに幸運にも山中先生の医療関係者向けの講演会でのご講演を拝聴したことがあるのですが、専門分野が異なる同業者向けにどのようなお話をされるのか注目していました。

スライドは大変、見やすく、一般市民でも理解できるぐらいのシンプルさでした。
Basic researchからは程遠い者(私など)でも、十分に理解できる内容で、すばらしかったです。

政治家や官僚の方や、そのほか一般向けでの講演も多々ご経験のご様子でしたので、精緻な計算のもとプレゼンテーションを構成されていることはよくわかりました。

私もプレゼンテーションのトレーニングを受けましたし、在米中はすばらしいプレゼンテーションのロールモデルがたくさんいたので、いまでも学会での受賞講演は圧巻のひとつと思い必ず参加するようにしています。プレゼンテーションがうまい方ほど、原稿は見ない、
スライドはシンプル(スライドすらも使わない)、話のストーリーが明快、アイコンタクトを欠かさない、など卓越した特徴があります。ポインターなどは使わない。つかってもぐるぐる回したりしない。

帰国してもっとも違和感を感じて、改善の必要があると感じたのが国内でのプレゼンテーションでした。

大半の演者が、スライドのほうを見ながら、スライドに向かって、聴衆に後ろ頭を向けて話している、アイコンタクトはなく、原稿を5分間棒読みで抑揚がなく、”おもしろくない”というのが率直な印象でした。

”情報の出し方””情報の構成の仕方””声の出し方””立ち方””抑揚の仕方”など、
国際社会で生きていくうえで、重要なスキルを、今後ますます国内でトレーニングできる機会をつくりたいと思っています。

”熱い思い”も、”上手いプレゼンテーション”で伝えない限り、理解されない、という現実があります。プレゼンテーション力は、今後日本が、世界で”存在を再認識してもらう”ための必須のツールだと思います。

政治でも、経済状況でも、金融、教育でも、自然科学や医療の国際学会でも同じことが起こっています。

黙っている、謙虚でいると、隣の中国や韓国や、振興アジアのタイ、シンガポール、アラブなどの中東諸国に発言をどんどん取られてしまい、native English speakerの米国、英国、欧州などは当然ながら、発言力が大きいので、どうやって日本が”発言するか”というのは国家戦略だと思います。



続 週末イベント

2012-11-18 10:50:57 | 日記
帰りの東北新幹線のなかで、私の席の前にお笑い双子芸人の方がすわっていました。

TVもたまに見るので、小柄の双子芸人の方とすぐにわかりました。私はマスクして咳が出るので頭がモウロウ?としてしまい”大宮”と”小山”を間違ってしまい、なんと宇都宮まで乗り越してしまいました!

土曜日、鎌倉での家族行事をこなしたものの、さらに副鼻腔炎?合併し悪寒がして、これはまずいと早く寝たのですが、朝起きると声が変わっており、こんなひどいカゼをひいたのはキャリア始まって以来です!極寒のNew Yorkでも、雪が積もって車通勤が大変だったイリノイ州でも10月初頭にはインフルエンザワクチンを接種していたためか、かぜにも10年以上はかかったこともなかったのですが。。。

どうしてだかわかりません。。。人生の3つの坂の”まさか”です。。

以前、本田健さんの著書で学んだ人生の3つの坂:上り坂、下り坂、まさか。

来週は、プロジェクトの関係でタイトな予定なのですが、体調が不良だと予定とおりに進まずこまったことになります。今日も9時か10時には就寝して体調を整えたいと思います。

週末いろいろ。。。

2012-11-18 10:15:31 | 日記
Blog siteが2つになってしまい混乱しますが、こちらのsiteの不具合も直ったようで、こちらも継続することにいたしました。

Facebookでは国外用として英語をメインにした情報、updateにしています。
世界中の友人、知人、メンターなどと瞬時にうれしかったこと、シェアしたいことなどをuploadできる環境はとてもありがたいですね。。

アカウントはHarumi Gomiにてグローバルモードです。米国の医師免許など重要書類などを旧姓で使用することにしているため、国外ではこのままHarumi Gomiです。

”常に旬でいること”がグローバルに要求されることであり、生物学的年齢や、過去の業績は関係なく、”いま、なにができるのか”がもっとも重要です。。その点、”緊張感でぴりぴりしますが、この”ほどよい緊張”による自身の向上”というのはすごいですよ。。
在米中、1年間のプログレスは顕著でした。1年前とは比較にならないほど(指数関数的な伸び)です。その分、”進捗状況、結果は常に見える化”され共有されます。数字面のみならず、”質的評価”の歴史も長い環境のため、”数字のみ”での評価ではないところが特徴です。

さて、前置きが長くなりましたが、週末、いろいろなことが起こって、いろいろなことを考えています。自分にとって出張の移動中は、”新しいアイデア”を考える貴重な空間です。

フライト、新幹線など、プライベート空間で静かに、新しい本などを数冊みながら、最新の動向を見て、世界の動きを感じつつ、自身の戦略を立てます。


国内の臨床教育の段階が、”情報の吟味”という段階に達していると洞察しています。


現在、国内では、総合診療、総合内科力が注目され、”自立して目的意識が高い学生”ほど、臨床研修では”医療面接、身体所見”を重視する病院へ向かっているようです。明らかに肌で感じる動向です。質的研究などでデータ分析してみたいですが。

マッチングが開始された2004年以降、早8年が経過していますが、この数年での変化は顕著だと思います。改めて教育、研修の質が問われ、指導医の指導力、臨床能力が要求される時代となりました。

先日、Dr. David Schlossberg(感染症の教科書編者)とお会いし、親しみをもってお話していただいた中で、最近の(米国の)若手は、UpToDateぐらいで満足しているので、不十分である、とのコメントがありました。感染症では、Sanfordや、Johns Hopkinsのポケットマニュアルレベルのapplicaitonにアクセスしている若手は、日本でも”よい”ほうなのですが、国内でも同じような現象を私も感じていました。

幼稚園から”自分の意見をもつこと””相手の意見を聞いて””ディベートする”習慣がなじんでいる欧米の個人主義社会では、”意見をいうこと””それはなぜかを述べること”がセットになっています。

国内教育の実情では、"事実の知識”はあるが、その背景や理由、意見を持つことなどは重視されず、そのため自分の意見の立証する(justify)ことは教育されてきていません。


”権威あるもの”からの情報を鵜呑みしてしまう、それが”上司”であるか、”文書であるか”の違いは大きいですが、いずれにせよ、”鵜呑み”の習慣が浸透しすぎていることは今後の課題です。


私の限定された観察では、”批判的吟味””情報の選択”というところまでは、臨床現場はまだ到達していない段階の印象です。

”Validation" 妥当性の評価、ということを、”育ってきている若手”たちにトレーニングできる機会を提供したいと切に感じはじめました。

そうすると、扱う教材は、original paperということになるので、英語力は必須です。
英語のセッションを増やすことも少しずつですが、始めました。


なんでもやってみないと好きか嫌いか、できるのかできないのか、想像では答えは出ませんので。。今度母国の大学院講義でオープンセミナーを開催しますが、後半を英語で行う予定です。