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矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

ACGME 米国卒後研修施設認定局の講演がありました。

2010-12-10 22:43:23 | 医学教育
以前から、野口医学研究所の方から、12月に米国ACGME (仮訳 米国卒後研修施設認定局)の方のめったに聴けない講演がある、と知らされており、必ず出席するよう、と勧められていました。幸い、出席させていただき、研修施設の認定に関して、世界の動きの最新状況、米国の統計を交えた現状を知る機会を得ました。

米国は医学部を増設したり定員を増やし、医師の育成を増やしてきましたが、2015年には、現在の卒後研修のポジションと卒業生の数がほぼ同数になるそうです。これまでは、ポジションの数と卒業生の数との間で、3,000人くらいの不足があり、米国人で外国の医学部卒業者や外国人がそのギャップを埋めていました。本日の講演者の先生のお話では、おそらく米国政府は研修ポジションを増やして、これまでどおり外国医学部を出た米国人や外国人が入れる余地をつくるのではないか?と予想していました。どうなるでしょうかね。


また、Thomas Jefferson大学の先生で、日米の架け橋として50年ぐらいやってこられたGonella先生が、generalistの重要性を熱弁されたのがとても印象的でした。

臨床教育者 Clinical educatorとして学生、研修医の方へ医師としての基本スキルとして何を教えるべきかも、非常に重要なヒントをいただきました。

これまで国内で学生、研修医の方へ「無意識」に懸命に伝えようとしていたことを、Gonella先生に「言語化」してていただき、納得しました。

それは、医師の基本スキルで、

1.リスクファクターを認識すること
2.疾患の原因 etiolotyを探ること
3.疾患の重症度 severityを判断すること

4.正確、specific、かつタイムリーな診断をつけること
5.適切な治療をすること
  治療をモニターすること
6.リハビリ

特に、疾患の原因と重症度について、いつも、どうしてこういう病態になったのか、
それがどのくらいの重症度なのか(軽症で待てるのか、重症で待てない状態なのか)を判断できるように、指導しているつもりなのですが、言語化できていない部分が多かった、と反省しました。

今日のためになるお話を、今後の教育、自分自身の診療にも役立てたいと思います。

明日は、早朝から、東京医科歯科大学が会場で、野口医学研究所主催のセミナーです。


総合内科専門医試験になんとか合格していました。

2010-12-06 13:09:15 | 医学教育
9月に受験した総合内科専門医試験ですが、本日結果を見ました。なんとか合格しており、ほっとしました。

日米の傾向の違いに驚いた試験でしたが、この試験をもって取得すべき専門医試験はだいたい終了しました。

米国の内科と感染症はまた8-10年以内に更新試験の受験があります。2014年から内科は受験資格があるので、準備を想定しています。

しかしながら、定期的な知識の更新がいかに重要かを実感するこのごろです。

せめてNEJMを毎週、iPodで聞くのが精一杯です。

紅葉、琵琶湖クルーズ、富士山

2010-11-30 09:15:00 | 医学教育
週末は、移動が多かったのですが、つかの間の紅葉、レジャーができました。

家族にも数時間でしたが会えました。。

紅葉がとてもきれいで、母校の校内を散策しました。





若手向けの研修会で宿泊したところが琵琶湖湖畔できれいな場所でした。


琵琶湖は、3回目ですが、はじめてクルーズしました。


帰りの新幹線で、久しぶりに富士山を見れて、うれしかったです。


和食(懐石料理などの手のこんだ純和風料理)、富士山、温泉、岡山の白桃、これが在米中に最も恋しくなる日本のものでした。

母国を誇りに思いつつ、母国の再生と発展を目指してがんばりたいと思っています。



日本の学生に世界レベルの教育を!

2010-11-27 08:35:57 | 医学教育
昨日は、母校の医学部4年生の方への講義をさせていただきました。

私は、帰国した大きな理由のひとつが、日本の医学生、研修医の方に、世界で通常行われている質の高い教育を実現し、提供することでした。

日本で、教育改革が叫ばれて久しいなか、遅々としてその実効的な改革は進んでいない印象です。医学教育に限らず、大学・大学院教育が、世界での「国家」の競争力を左右している現状を、もっともっと日本の方に知っていただきたいという強い思いがあります。


2000年ごろから、日本が気がつかないうちに、インフラ整備を実行し、当時、右に出る企業はいない、と思われていたソニーなどのTVが、いとも簡単に、10年で完全に韓国企業に追い抜かれ、どうしようもできない状況になっていることを、ぜひ、見ていただきたいのです。

母校の学生さんらには、感染症診療と教育の現状(日本の感染症科がどうなっているのか、諸外国ではどうなのか、主に米国、欧州・アジアなどの状況も少し説明)というタイトルで講義しました。衛生学の4年生の講義でした。


世界の死亡原因の第1-10位までに感染症はかなりの割合を占めています。肺炎、下痢、マラリア、結核、麻疹、など枚挙にいとまがないのです。先進国の共通問題が、高齢化で
治る見込みのない慢性疾患(高血圧、糖尿病、ガンなど)で、医療費は高騰。合併症の発生頻度は長寿になれば増える一方と推測でき、入院の機会は増えるでしょう。一旦入院すれば、今度は、最大の合併症のひとつである医療関連感染のマネージメント、ということになります。

社会の変化・成熟に伴い疾病構造は変化し、要求される知識と判断力は絶えず変化するという意味で、医療安全の確保と感染対策・基本的な感染症診療は、今後、ニーズは増える一方と予想されます。


そうした背景から、「現時点での”事実”を丸暗記」して、「ただ単純知識と事実を吐き出す」方式の教育が、いかに無力で、対応能力を欠くものかを、強調したいのです。

時々刻々と変化する社会情勢と、サイエンスの発達で、医療現場の「常識」は変化します。その変化する「常識=標準診療」をいかに継続して学び続け、患者に最新かつ最良の診療を提供できるか・続けられるかが、プロフェッショナルとして医療従事者に要求されるスキルです。

したがって、学生時代から、一生学び続ける学び方(life-long learnerとなること)を
身につけることが、有能で、現場に必要とされる人材として必須です。

医学に限らず、日本の教育全般で、こうした視点を持った教育が必要であると強く感じています。

余談ですが、たまたま見ていたテレビの娯楽番組で”有名”私立小学校や中学校の入試問題を芸能人が解くようなものがありますが、そこから垣間見る日本の教育は、私がこどものころだった30年前とほとんど変わっていないという状況で、本当に驚愕しました。

諸外国(裕福な国など)で、iPADなどのデジタル化教育のトラアル、問題解決型の教育が主流な状況を見ていると、本当に心配になるほどです。私の同年代や後輩にあたる人たちの子弟が国外で教育を受けており、その様子を聞いているだけでも、日本の人材教育の課題、世界からの乖離を痛感します。


さしあたって、10代のころから、どんどん国外に出て、世界を肌で知って、その上で、
将来のこと、受けたい教育のことなどを若手の人たちに考えてほしい、と切に願っています。

国外では、真似できないほど、精巧で重宝し便利な”コンビニ”、”ケータイ”、”宅急便”、”新幹線”、など、日本の社会資本はありがたいのですが、これらに埋もれて、国外に出ない・知らないのはもったいない、と思います。

思いつくままに書きました。


最後に、昨日の講義のあと、熱心な学生さん10名くらいと30分以上、学習の仕方や学習教材として使うべきもの(ハリソン、uptodateなど)について、熱いディスカッションができたことをとてもうれしく思いました。

日本の若手が、世界で通用する医療従事者になるためのキーポイントは、学習材料、つまり情報源のコントロールに尽きると私は思っています。

つまり、「使う教材=知識内容と知識形成を規定する」ということから、良質かつ世界の大半の医療従事者が使っている資料(内科系では、NEJM, ハリソン、ワシントンマニュアル、uptodateなど)を使わないことは、非常に不利である、ということです。最初から、同じ土俵にのっていないことになるからです。

Happy Thanks Giving!

2010-11-26 07:23:20 | 医学教育
なつかしいですが、米国は、Thanks Giving の連休です。

CNNで、米国の空港でのsecurity checkのことなどが報道されてなつかしく思いました。

在米中、Thanks givingに「休日」だったことはほとんどありませんでした。

たいてい、on callで、病院内で仕事していた記憶があります。

一度だけ、Johns Hopkinsの大学院生だったころ、自分のmentorだった先生が、ご自宅に
ご自身が世話をしている学生たちを招待してくださり、米国の家庭料理Thanks Giving の
ターキー(七面鳥)や、かぼちゃのお料理(伝統的なThanks givingの料理)などを食べました。

欧米の休暇シーズンは、みんな家族単位で動くので、一人暮らしですと、本当にさみしい感じになりますが、mentorが、一人暮らしが多い学生のことを気遣って、家庭料理にお招きしてくださったのは、いまでも、心にしみる思い出です。

私も、そういうふところの大きい、太っ腹なメンターを見習って、帰国直後は、学生さんたち10人くらいを自宅にご招待し、夕食パーティをしたりしました。

その後、週末は、自宅にほとんどいない講演旅行のような生活になり、お招きする機会を逸していました。今年度内には、一度でも、学生、研修医のかたで、個人的にかかわっている方をお招きできたら、と思います。

自分が次世代に残したいものを見つけました!

2010-11-24 00:32:05 | 医学教育
今日は、東大で今後一緒にリサーチをしていただく先生と、ランチの時間を利用して
Brain storming しました。

非常に有意義な1時間半で、お互いに、話していくうちに、何がしたいのか、
どういう点をリサーチクエスチョンにするのかが明確になりました。

そのなかで、いままで世界のだれもおそらく手をつけていないポイントが明確になってきました! その先生もとても興奮し、私も、6年前に8ヶ月間も迷った末に帰国を決断したときの思いを「言語化」「ビジュアル化」できるポイントだと思い、霧が晴れたような気持ちになりました。

キャリア人生40年のうち、私はほぼ半分終了しました。今年18年目ですので。。

あと20年あまりを、いかに有効に、そして自分も幸せで満足いくもので、世界の多くの方のお役に立てるような仕事は何か、ということを考える時期にも入っていました。

今日、思いついた点は、かなりおもしろく、価値ある仕事ではないか、と思います。

素直にとてもうれしいです。楽しみながらがんばりたいと思います!


追伸:先日のWHO Dr. Margaret Chanが講演後に言っていたように、私にとっても、仕事以外の人生の側面で、やはりもっとも大切なものは家族です。自分が圧倒的な情熱をかけていることを理解してもらえることで、何倍も力が出てくるのは実感します。自由に仕事をさせてもらっている家族に感謝しています。家族の健康と幸せがあってこその自分かな、という気持ちです。


今日は、東大にてシンポジウムです。

2010-11-23 09:11:06 | 医学教育
祝日ですが、今日は、東大にて後期研修に関するシンポジウムに出席せねばならず、仕事です。

朝から雨ですね。

夕方、楽しみにしている催しがあるので、それを目標にがんばろうと思います!

Multiple tasks 複数の仕事を同時進行させるのは、本当に大変です。。。

あまりにやることが多すぎると、逆に、覚めてしまって、ほうっておいて、昨日は寝てしまいました。。。

一度、ぐっすり寝て、エネルギーを回復して、再び取り組みたいと思います。日頃気が付いていなかったのですが、レクチャを構成したり、文章を書いたりするのは、やはり非常にクリエイティブな仕事なので、頭がさえていないといいアイデアが浮かびません。

学術的な文献検索やそのまとめなどはもちろん、頭が冴え渡っていないと効率が悪く、同じことを何度も考えることになりますね。

ようやく1つ課題が終わりそうです。

2010-11-17 23:36:37 | 医学教育
Maastricht Universityの医学教育学の勉強をしていますが、悪戦苦闘していた課題が、ようやくめどが立ちました。

抽象的な内容で、ほんとうに苦しみましたが、サウジアラビアの解剖学専門のクラスメートのサマリを参考にさせてもらったおかげで、雲をつかむような感じで、全体像が見えなかった、Learning theory 学習理論 が少し見えてきました。

それにしても、英語での語彙力や表現力が乏しいため、抽象的な文章を書くのは非常に難しいです。

先日、アメリカ人の英語の先生に、語彙力のテストをしてもらいましたが、私はなんとかアメリカの大学生レベルの語彙をなんとか平均的にわかるレベルと判定されました。まだまだ下のほうです。正答数で判定されますが、わからない単語は、あてずっぽうで答えないように言われた試験です。ほとんどが白紙。

米国の大学院入学試験のGREという試験があり、そこでも米国語力のパートは、非常に低い点でした。見たこともないような難解な語彙ばかりで、数週間、数ヶ月の勉強などではどうにもならないもので、当時は、あきらめて数学と知能検査みたいな確率の問題のパートで得点稼ぎをしました。

英語は、一生の課題で、ずっとなんとかしたいです。

お勧めの学習メディア NEJMのInteractive Medical Case

2010-11-16 22:26:29 | 医学教育
若手向けにも、一般医師にも、非常にすばらしい教材のご紹介です。

昨年、掲載されているのを発見して、感動した学習メディアです。

http://www.nejm.org/multimedia/interactivemedicalcase

症例を診察している感じで、自分の臨床判断を試すことができます。

今日の講演でも、これを利用している人の大半が、

1.自分の臨床判断を試す
2. 専門外の分野のアップデート

などを理由としてあげていました。私も一般内科の鑑別診断能力、臨床判断力の維持のために、できるかぎり利用したいと思っています。

iPODで、audio summaryを聞くのが精一杯の時間確保になってはいますが、継続して
clinical scienceに磨きをかけたいです!

NEJMの舞台裏

2010-11-16 22:02:35 | 医学教育
今日は、古巣の日本医師会館で、講演を聞きに参加しました。

客員研究員としてセミナーなどに参加している東京大学医学教育国際協力研究センターの
主催でした。日本医学雑誌編集者会議でもあり、非常に有益なお話が聞けました。

NEJM、みなさんご存知の世界最高峰の臨床医学の雑誌です。インパクトファクター50。
Basic scienceのNatureとほぼ同等ですよね。

臨床系の内科系雑誌では、
NEJM 50, Lancet/JAMA 約30, Annals of Internal Medicine・BMJ 約20と続きます。

NEJMの最近の動向、編集の方針などの講演で、非常に感銘を受けました。

米国で診療する場合、NEJMに掲載された内容は、「診療上の常識」というレベルで浸透していきます。診療を大きく変える内容であれば、「知らなかった」ということは許されない状況です。Professionalとして常に情報をアップデートし、診療に反映していくことが要求されます。

質、内容もすばらしいものが多いですが、その舞台裏もシステマティックなものです。

年間14000を越える投稿があるそうですが、いくつもの厳しい関門を通りぬけた選りすぐりの論文しか掲載されません。Editor-in-Chiefが最初のスクリーニング、それを合格してはじめて各専門領域のEditorへ。そこも合格しなければreviewerにまわることはありません。

最近の動向では、いわゆるハードコピーの「雑誌」は2次的な媒体になったそうです。
出版のメインが、オンライン出版になっているそうです。

読者の40%が、卒後5年目以内の若手医師のため、彼らのニーズが、マルチメディア。
オンライン、audiovisualなどさまざまなdigital mediaのほうが利用されやすい現状を反映している、と言っていました。

私が一番好きな内容は、やはり教育的なプログラムです。

ケースのインターアクティブなセッションは、非常に有益です。

NEJMのpriorityに、医師の教育、というのが明確に掲げられており、その点で、十二分に読者のニーズを満たしもいるようです。




Clinical Skills Assessment に関するセミナーに参加しました。

2010-11-13 00:25:49 | 医学教育
米国のUSMLE の臨床スキルパートであるCSA Clinical Skills Assessment に携わっている先生が、東大で講演されました。

非常にすばらしい講演で、CSAに関して、米国内の教育の歴史と潮流、今後の方向性を知る機会を得ました。セミナー会場は、満杯でびっくりするほど盛況でした。東大の学生さんも多数参加されていました。

CSAは、2004年に全米の医学生にも導入されましたが、それ以前には、外国人に対して開始され、それがpilot studyのような役割でかなり高い効果が認められたということで
全米の学生にも導入する経緯となりました。

私自身は1993-94年にUSMLE step 1, 2を受験しましたが、その当時から米国での試験の意図は大きくは変わっていない印象です。

つまり、「単純に事実を思い出す作業」や記憶に頼る「知識」を問う問題ではなく、

「考え方」「知識の応用」「問題解決」を問う問題がメインです。

臨床現場で必要とされる「知識の応用」「判断」を問う問題ばかりの印象でしたが、

現在もさらにそれが強化され基礎医学領域のStep 1でも、一段と臨床現場で役立つ内容となっています。

そうした問題の「作成舞台裏」を教えていただいたようなセミナーでした。

今日のメインの話題は、2007年にタイ、2009年には韓国でもすでに医師の国家試験導入された臨床スキルの試験(CSAに準じたもの)を、今後日本も導入する方向性(まだ未定と思います)を踏まえた内容でした。

CSAは、全米の決まった都市で、毎日受験可能であり、年間約3万人の受験者がいるそうです。米国の医学生の合格率は97%程度と言っていました。外国人のそれは70-80%台のようです。米国で要求されるbedside mannerを身につけていないと合格は難しいようです。

それにしても、Standerdized patient(SP)をつかった大掛かりな試験を2004年以降、すでに5年以上実施し、その評価は高く、今後はより難しい患者(クレームが多かったり、怒っている患者など)を想定した内容を実施したいといっていました。推計ですが、5年間でのべ15万人分ぐらいのデータがあり、データを解析しながら、常に、リアルタイムで内容をアップデートしている状況に非常に感銘を受けました。知的に非常に刺激的でした。

CSAで取り扱うケースシナリオを書く専門家、臨床医もチームとして存在するそうです。
私は、そのケース作成の様子を今度、渡米して見学させていただこうかと思っています。
公式なトレーニングプログラムは提供していないそうですが、非公式に見学を受けることもあるそうです。

私は2000年に英国の熱帯医学の試験も受けたことがありますが、試験内容自体は、当時、米国の臨床問題のほうがはるかに質が高かった印象でした。(熱帯医学のコースはすばらしかったです。豊富な検体や途上国で経験豊富なfacultyは何にも代え難いものでした)

いずれにしても、世界の医学教育のあり方がおおきな変革を遂げようとしている重要な時期だと思います。世界の医学部教育の標準化への動きもあります。

12月5日には、アジア内の医学部の教育内容の標準化に関する会議が台湾で開催されます。できれば参加したい会議ですが、先約の仕事で私は出席できません。

来週の火曜日に同じ先生が、今度は医学雑誌に関して講演されます。
ご自身がNew England Journal of Medicineでmedical education の領域のeditorをされています。教育、リサーチの両面からのお話と思いますが、とても楽しみです。







感染症教育に関するリサーチを開始します

2010-11-09 08:56:09 | 医学教育
大変、ありがたいことですが、帰国時からやってみたいことであった感染症科の専門診療に関し、その専門医育成プログラムに関するリサーチを開始できることになりました。

民間のヘルスリサーチに関する研究助成団体の研究助成に応募しておりましたものが、幸いにも採択され、先日、採択の授賞式がありました。

授賞式では、前々年度の採択者による成果発表もあり、非常に参考になりました。

皆さん大変、有意義な研究をされており、日本の医療現場をよくするために必ず役に立つような内容で、感銘を受けました。

私も、ご関係者の皆様のご理解とご協力のもと、なんとかやり遂げたいと思います。

まとまった時間が取りにくいのが難点です。最大限、自分で優先順位をつけて、隙間時間を有効利用して、実現できるような方向付けが必要です。

岡山大学医学部創立140周年記念式典、参加しました。

2010-11-03 23:50:42 | 医学教育
本日、母校の岡山大学医学部創立140周年の記念式典があり出席しました。





6年間通った大学ではありますが、母校の歴史をあまり知らなかったことがわかりました。

歴史の重みを感じた1日でした。同級生や学年の近い先生がたにお会いできないかなあと思って参加してみたのですが、同級生だった人数名と再会できました。

学生時代に教えていただいた先生方、岡山赤十字病院で研修医を1年間しましたのでその間にお世話になった先生方など多数、いろいろな先輩方にもお会いできました。

いわゆる同窓、同門ということのありがたさを感じずにはいられませんでした。






同窓会を、「鶴翔会 かくしょうかい」(文字通り、鶴が飛翔する会)と言います。

近くの日本三代名園の後楽園には鶴が有名で、それにちなんだものと思います。

大学のロゴも、鶴をモチーフにしています。


また母校が大きな変革に向けて、創立150周年までにルネッサンスという大きな流れをつくっていることがとても斬新で、うれしく思いました。

地域連携、医学教育の充実、若手の登用と成長できる環境づくりなどを中心に据え、
キャンパスも、世界的に有名な建築家の方がたにお願いして、リニューアルする予定だそうです。すばらしいですね。

学部長、病院長などの諸先生方が、すばらしいリーダーシップを発揮され、
精力的に大学改革に取り組んでいらっしゃるのがとても印象的にでした。

また、今年から開設された地域医療人材育成のための寄附講座に、
とても優秀で、母校でずっと医学教育、研修医教育に真摯に取り組んできた後輩にあたる方が5月に教授に就任し、とてもうれしく思っていました。彼女が活躍し、母校の若手が育っていくことを願っています。

岡山大学医学部の歴史ですが、

1870年(明治3年)に岡山藩医学館として開学
そのときに、オランダ人医師ロイトルを採用し教育がなされたそうです。

”蘭学”がはじまりでした。同時期には中央(東京)ではドイツ医学へと移行する動きも出てきていた時期だったそうです。ロイトンの功績で、当時、東の東大、西の岡山、というくらい関西では中心的な医学教育の場であったことも知りました。

偉大な功績を残した先輩方も多数いらっしゃいました。

日本で生命保険業を創始し、相互扶助の考えを普及させた

第一生命を創業 矢野恒夫先生

孤児などの児童福祉に取り組んだ
石井十次先生


感染症領域では、絶対に知っておくべき先生の
サルバルサンの発見者(ドイツ コッホ、エールリッヒなどの師事)である

秦 佐八郎先生

岡山県の片山地方で、日本住血吸虫を発見した

桂田 富士郎 先生(東京の寄生虫博物館でも資料が展示されていたと思います)


本日ご講演された、重度身障者の養護施設の創始者
江草先生 など


偶然ですが、日蘭の通商400周年で、シーボルトなどが伝授した”蘭学”ですが、
今年からこの”蘭学”を自分も学ぶことになり、歴史が回帰している感じです。

オランダの非常に歴史の古い街であるマストリヒトで、世界的にももっとも斬新で先進的な医学教育を提供している大学で、医学教育学を学ぶ機会があるのですから、不思議です。

母校の卒業生が、140年で約12,000人いるそうです。

今日の式典に参加して、私は重厚な歴史と伝統を感じつつ、同時に、21世紀にふさわしい斬新で、イノベーションになるような仕事がしたい、と思いました。

偉大な先輩方が、正義に基づき、非常に深い慈悲の気持ちから
”社会の最大の利益”を最優先した生き方をされたのを垣間見て、非常に感銘を受けました。


まさに、医療の原点を教えていただいた感じでした。


ティアニー先生の症例セミナーすばらしかったです。

2010-10-31 21:50:43 | 医学教育
10月30日、台風が来ていましたが、都内で開かれたローレンス・ティアニー先生の症例セミナーは、今年も、大変、すばらしかったです。

私は、昨年も、友人がティアニー先生の旧知で、今回もセミナーの主催者として開催にかかわっていたため、お手伝いさせていただきました。

症例は2例。1例目は、確定診断への道筋を明快に示し、最後、診断が2つになるのか、1つで説明できるのかで解釈が異なる見解もありました。とても教育的な症例でした。

2例目は、4年目のレジデントの方が担当した症例を私はお手伝いする係として参加していました。

私自身はその患者さんを診察したわけではないのですが、スライドつくり、スライドの内容、プレゼンの仕方、英語の言い回しのアドバイス、などでいわゆるコーチングのような係でした。私自身もこの経験で、teachingの勉強になりました。

時として、相手に指示をしてやってもらうのを待つよりも、自分でやったほうがよっぽど速く、タイムマネージメント的には時間が読めるため、「楽」ではあります。
しかし、そこをぐっとこらえ、待ちながら、相手の進行具合を見ながら、適切に指導していく過程自体、よい経験でした。人材教育のむずかしさでもあり、楽しさでもある点でしょう。

Traineeと一緒にアップアップ状態では、よりよい指導はできないため、時間に追われていても自分自身に精神的にかなり余裕があること、コンテンツ自体にも深く広い知識が必要であることを実感しました。

ティアニー先生とお会いするのは2回目でしたが、お会いしたときに、どこかで会ったかな?と聞かれ、君は、ブッシュ政権時代の政策顧問であったRice氏に似ている、と言われました。”笑顔が同じだ”そうです。

2例目のプレゼンが終わってから、控え室に戻ってから、君たちの症例はタフだったね、と言われました。非常に複雑で、鑑別診断でほぼあらゆるものを考えて検査はされていましたが、最終診断では議論がある症例でした。

この日の症例カンファレンスの模様はビデオ録画されており、日経メディカル web上で
公開される予定だそうです。ありがたいことですね。

抽選に落選した方、ご興味がある方は、是非、ご覧になってください。

インターネットは発達しましたが、ライブセミナーに勝るものはない、というのが私の率直な感想です。


明日、ローレンス・ティアニー先生のセミナーにうかがいます。

2010-10-29 13:06:12 | 医学教育
UCSFの内科教授のローレンス・ティアニー先生が来日されています。

明日、日経BP社本社で、日経メディカル主催の公開セミナーが開催されます。

大変、人気のセミナーなので、参加者は公募による抽選でした。

私は幸運にも、親友が主催者で、セミナーの進行をお手伝いする係として参加予定です。

自分自身、若手の先生がワールドクラスの臨床医の思考プロセスを体感できることをとても楽しみにしています。

ちょうど台風が来ているようですので、参加のかたが安全にお越しになれることをお祈りしています。