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矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

日本での医学教育改革、本格化するか

2011-04-29 12:16:40 | 医学教育
昨日、東京大学の医学教育国際協力研究センターで、日本でも将来的に臨床実技試験を国家試験に組み込むかどうかを見据えた講演会がありました。私は、現地には参加できませんでしたが、オフィスで、Ustreamを見ていました。

Ustreamのありがたさを実感します。40名ぐらいの方が視聴していました。

米国で、2004年にUSMLE-CS, 2007年にタイ、2009年に韓国、今年台湾で、すでに国家試験として、臨床実技が導入されています。


現在、医学教育改革は世界的にも非常に活発で、この絶好のタイミングでMaastricht Universityで、医学教育学を体系的に学ぶ機会をいただいていることを、本当に幸運に思います。 自分のメンターも、学生アセスメントの世界的権威のため、いろいろディスカッションできそうです。

また、今日、学会本部から、欧州医学教育学会AMEE に提出していたabstractが、なんとかacceptされた、との連絡で、非常にうれしかったです!

OSCEを1970年代に開発した、Dr. Ronald Hardenが中心としてはじめた学会ですが、年々規模が拡大しています。AMEEが、国際的な医学教育フォーラムとなりその存在感と位置づけは年々重要視されている印象です。AAMC 米国内の医学教育学会は、米国内に限定している内容が多く、私はあえて参加していません。あまり役立ちそうにないと思うからですが、今後一度参加してみようと思っています。

AMEEで、世界中のcolleaguesに会えるのは楽しみのひとつです。

さて、AMEEですが、年々、AMEEの認知度、関心が高まり、今年は昨年と比し17%もabstract提出が増え、採択率50%以下だったそうです。そのなかで、acceptしていただき、うれしさと共に、競争の激化を実感し、今後もより質の高いプロジェクトをしなければ、と身を引き締めました。

本格的なプロジェクトを、学術的にも妥当な方法で、publication可能なレベルの質を担保して行うには、やはり、エキスパティーズが要求されます。日頃のオランダの大学院の勉強にも気合が入りますね。

さらに、世界の潮流を肌で感じる大切さ、世界一流の研究者、教育者の方向性、思考を
実感する機会をみずからつくり、感じることを実践したいと思います。

環境が自分に与える影響を考えるとき、それがいかに大きいかを実感します。

環境も自分の選択である、という点、自分の責任である、という観点から、自ら高いレベルの環境に浸り、そのprofessioanl societyのなかで、向上する努力をしたいと思います。

Mayo Clinicの無料 臨床Ground Round Webcast

2011-04-27 09:44:27 | 医学教育
偶然、Mayo Clinicのデータを調べているときに、見つけました!

無料で、最新のMayo Clinic のGround Roundが、Webcastで見れます!k


http://www.mayoclinic.org/grand-rounds/


いろいろな領域の最新情報で、教育目的のセッションなので、非常に有意義です。

よい時代になったものだと、実感します。

今日の新聞でも、大手グローバル企業の役員会議が、スクリーンをつかったWeb会議だ、との報道がありました。


物理的に移動しなくても、かなりの高品質の会議に参加したり、レクチャを聴けたりできるのは、ありがたいですね。

その一方で、臨場感、現場での、”熱気””エネルギー”を体感することの意義を再認識しています。

Assessmentの威力。。。Feedbackで一喜一憂です。。

2011-04-19 18:55:01 | 医学教育
昨日、書き留めようと思いつつ、あまりの意気消沈でできませんでした。

オランダの大学院のコースワークをやっていますが、欧米人に日本の医学教育事情を理解してもらうのは非常に難しいと実感します。

ミニプロジェクトをproposal (提案)する課題がありました。私は自分の現場に即し、実際に役立つプロジェクトをつくったつもりだったのですが、

それに対するコメントが、

”too Local" (ローカルな話すぎる)と書いてあり、それによって、非常に評価が低いものでした。

合格すれすれの6点!!

自分では自信作であったので、非常にがっかりでした。

オランダの評点のつけ方は、1-9のスコアで評価されます(私が子どものころ、日本では小中学校は5段階評価がされていました)。9は、めったにない評点(完璧の出来)、8は非常によいexcellentということです、7は、goodぐらいでしょうか。
6 はpass 合格、です。

5以下はやり直し、という評定です。


これまでだいたい7-8をもらえていたので、まあまあ、と思っていましたが、さすがに、6点をもらうと大いにがっかりしました。

世界で生き抜く厳しさを実感しますが、英語の表現力のハンデに加え、”ローカルすぎる”というコメントは、欧米の関心が
やはり欧米中心、ということを示唆している印象です。私自身のリサーチクエスチョンをもっと一般化できるように設定することも可能ですので、確かに、反省の余地はあります。

日本の現場のローカルなニーズや実践的なプロジェクトをすることと、世界に通用するプロジェクトとの狭間です。

診療の臨床研究もそうですが、欧米の雑誌に投稿するには彼らにもrelevanceがなければ採用は難しい。

しかし日本の現場と米国、欧州等の現場の乖離が年々広がる印象にあり、今後日本からどのような情報を世界に発信すべきか、
本気で戦略を考える必要があります。

最後に、アセスメント(学生の評価法)が、これほどインパクトがあるとは、われながらショックです。
Feedbackにより、やる気になってどんどん課題がこなせた数週間前とはうってかわり、意気消沈すると、論文を読んでも頭に入らない状態になりますね。

集中力が気分によってなくなる、、、学生のmotivationを考えるうえで、自分自身が学生の役割とインストラクターの役割を同時に担っている今、両方の意味でよい経験です。

"Too local"を、今後、どのように跳ね返すか、”転んでもただでは起きない”精神を発揮します!

順調にプロジェクト進行中

2011-04-13 09:13:43 | 医学教育
現在、医学教育に関する大きなプロジェクトを進行させています。

渡欧してMaastricht Universityのアドバイザーの先生にもご意見を伺う予定です。

昨夜は、遅くまでUniversity of Dundee のDr. Ronald Hardenの執筆されたCurriculum developmentという項を読みましたが、
他の項に比べて格段にわかりやすく、彼の教育者としてのすばらしさを実感したしだいです。

注:Dr. Ronald Hardenは、OSCEを1976年頃に開発した方です。

昨日は家族のお祝いの日でした。

2011-03-30 14:14:23 | 医学教育
昨日は、家族のお祝いの日でした。震災で多くの方が大変な思いをされているなか、うちの家族がお祝いごとがありこころがほっとするひとときでした。

家族とともに、大前研一さんが提唱されている、

前向き、上向き、外向きに、大きく飛躍したいです!

また不思議ですが、数ヶ月ぶりに親友のひとりと電話で話しました。

彼女も人生の大きな転機になっているようです。

またSoul mateと呼べるくらいこころが近い友人が、今度インドに赴任することになりました。ご家族でのご赴任で、とてもうれしく思いました。インドでの在住経験は貴重なものになると思います。彼女にも、人生の大きな転機、大きく飛躍するきっかけではないか、と感じています。

私もいろいろな細かいことにとらわれず、人生の大局の見据えながら、常に世の中のためになること、社会に貢献できる何かをしたいと思っています。

母校が奮闘しています!

2011-03-18 12:22:48 | 医学教育
さきほど、医学部時代の恩師から、暖かい励ましのご連絡をいただきました。

恩師は、医学部のみならず、Johns Hopkins University Bloomberg School of Public Healthの先輩の同窓生にあたるので、

その点でもいつもお心遣いいただいています。

いろいろ気が滅入る、不安な日々のここのところで、母校の奮闘ぶりをお知らせいただくと、少し明るい気持ちになりました。

非常に競争が激しい全米の大学院のランキングで、School of Public Health部門で、今年も、第1位を維持できた、とのお知らせでした。

http://grad-schools.usnews.rankingsandreviews.com/best-graduate-schools/top-public-health-schools/public-health-rankings

油断するとすぐにでも転落しかねない厳しい中で、何年にもわたり同じ位置を維持できているのは、本当にすごいことです。

いまこそ、母校で教えていただいたpopulation-based medicine, public healthの真髄を実行すべきときですね。

母校のキャッチフレーズが、

"Saving lives, millions at a time!!

(命を救う、一度に何百万人も!!)

本日は、卒業式でした。 明日は、IDATENケースカンファレンスです。

2011-03-04 18:11:09 | 医学教育
毎年、感慨深いですが、今年も卒業式の日となりました。


個人的にかかわった学生さんたちが卒業されていくのを見るのはとても感慨深いです。


ぜひ、大きく羽ばたいていただきたいなと思います。

お雛祭りですが、亡きわが子のために、実家にお雛様を両親が飾ってくれていました。






自分がこどもの頃に飾ってもらっていたもので、40年以上の歳月が流れています。

すくすくと成長するのを願う親の気持ちは、本当にありがたいものですね。


明日は、今年度最後のIDATEN 日本感染症教育研究会のケースカンファレンスです。

今年度は、6月、9月、12月と予定が重なり出席できませんでした。最後の3月に出席できるので、楽しみにしています。

詳細は、下記から。

http://news.theidaten.jp/article/43465936.html


スリランカの医学教育改革

2011-02-24 09:51:10 | 医学教育
東京大学に、スリランカの医学部で医学教育の研究をされている先生が客員教員として赴任されています。

シンガポールの学会でお会いして、今度来日するといわれていましたが都内で再会できてよかったです。

スリランカの医学教育の歴史、1995年に行われたカリキュラム改革について詳細に教えていただきました。

ご本人は、英国University of Dundeeで医学教育のPh.Dも取得している新進気鋭の方です。

OSCEを開発したDr. Ronald Hardenのもとで研鑽を積まれています。

医学教育を学んでいる私にとっては、貴重なreviewレクチャであり、これまで学んだ教育理論の復習になりました。


現場で、教育理論をいかに落とし込んでいるのか、実例を通してみることができました。

Educational Scienceは、basic/clinical scienceと比べ、ファジーな部分も多く、領域が心理学、認知学、社会学、行動科学などさまざまな分野に及ぶため、いろいろな解釈モデルが存在し、非常にconfusing(混乱)です。ここ数ヶ月、概念体系をまとめるのに非常に苦労しており、言語の壁もあって、抽象的な内容を理解するのに時間を要しています。

しかし、やってきたことは無駄ではなかったと思いました。レクチャの内容が理解できるようになっていたので、教育理論が少しずつですが自分に浸透してきたのだと思います。


レクチャー中心から、ディスカッション・問題解決中心へのシフトは、世界的な流れです。学生の評価方法も多岐にわたることが必要で、単純記憶試験simple recallによる試験による弊害は、知識のtransfer (応用)や定着の面(long-term memory)であまり有用でないことは、昔から言われています。


ACP Japan Chapter Meeting on April 16th

2011-02-22 12:41:04 | 医学教育
今年、4月16日土曜日に、東京国際フォーラムで、ACP Japan Chapter Meetingがあります。

米国内科学会日本支部の総会です。毎年、仲間に会えるのを楽しみにしています。

とても有意義なセッションが多いので、ご興味がありましたら、ぜひ、ご参加ください。

日本内科学会と同時・同会場での開催です。

学生向けの心肺蘇生コースのお知らせ

2011-02-07 12:14:28 | 医学教育
ご興味がありましたら、ぜひ、ご参加ください。



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医学部1~5年生の皆さんへ

自治医大で開催される全国医学生むけICLSコースにご参加ください。
心停止後10分間の心肺蘇生訓練です。
電気ショック・気管挿管・経皮ペーシングなどを行ないます。
ゴロ合わせなどを使ってしっかり習得します。
日本救急学会認定の修了証を授与します。

10月に改定された心肺蘇生ガイドライン2010に基づくコースです。

日程(同じ内容で2回開催します。)
3月16日(水)
3月23日(水)


定員各回12名
時間: 8時半~16時
会場:自治医大記念棟7階シミュレーションセンター
受講費無料。宿泊費補助。

コースディレクター 早瀬行治(自治医大卒後臨床研修プログラム責任者)
問合せ先:
メール rinshoukenshu@jichi.ac.jp
電話0285-58-7252 卒後臨床研修センター
URL :  http://www.jichi.ac.jp/hospital/top/resident/icls/index.html
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知識のTransfer

2011-02-06 10:23:33 | 医学教育
医学教育学で、知識のtransferが効率的に起こるにはどのようなteachingが望ましいかを勉強しています。

Transferとは、学んだ内容を別の機会に利用する、応用する、ということです。

Transferには、

positive vs. negative
vertical vs. lateral
near vs.far
specifice vs. general

の4種類あるそうです。

臨床現場では、たとえば、以前に見た症例をもとに、診断をつけられる、マネージメントができるようになる、患者の問題を検出・発見し治療に結び付けられる、というのが最終的なtransferになります。

日本の医学教育の大きな課題のひとつが、

「知識詰め込み型」から、「問題解決型」への移行
「知識丸暗記型」から、「臨床判断力養成」への移行

だと私は考え、日常的にもそこのフォーカスした診療と教育の実践を続けたいと思っています。

「知識を丸暗記するだけ」では、患者の治療はできないため、「知識をいかに応用するか」のトレーニングを学生時代、初期研修医時代にできたかどうかで、その後の臨床能力は大きく左右されている印象です。

学習・教育理論と原理を学ぶことで、基盤となるメカニズムを知り、そのうえで、効果的なteachingを目指しています。


1月12日付け「医学部教育・初期臨床研修制度についての日本医師会の考え」

2011-01-13 21:56:41 | 医学教育
1月12日付けで、日本医師会の定例記者会見で、

「医学部教育・初期臨床研修制度についての日本医師会の考え」

http://www.med.or.jp/shirokuma/no1374.html

が公表されています。

非常に有益な議論だと思いました。

PDFで無料ダウンロードできますので、ぜひ、ご覧ください。

3つの要点からなっております。3点を上記から引用します。

1.医学部教育:臨床実習のライセンス化

2.医師国家試験:臨床への集中

3.初期臨床研修:初期対応力養成を基本とする柔軟なコース設計

に関して、問題点と改革案が提示されています。

うれしいサプライズ!

2011-01-07 08:22:16 | 医学教育
今、1月末から参加する国際学会の準備をしています。

今回は、2つポスターを発表しますが、1つは、はじめてレジデントの方に発表をやっていただくため指導をする立場としてやっています。

Teachingの醍醐味ですが、こちらの予想をはるかに超えるできばえに遭遇し、感激しています。

人が伸びるのをお手伝いできることの幸せでしょうか、とてもすがすがしい気持ちです。

懸命にがんばる有能な若手研修医の方に、今後も、100%提供できることをご提供したい、と思います。

「成せば、なる!」ですね。

一方、自分のほうの発表は、時間にかまけて、「まあ、よし」ぐらいで切り上げていましたが、昨日の予行演習のための練習セッションにて、何事も、全力投球することでもっとも自分が得るものがあることを思い出しました。

一瞬、一瞬、一回一回の機会を大切にしたいと思います。


勉強を再開します

2011-01-05 18:13:50 | 医学教育
やっと昨日、今後の勉強計画を立てました。

これから予定に沿ってがんばって課題をこなしたいと思います。

ちょっとすっきりしました。

年内にやるべきことをかなり済ませたおかげで随分、年明けはすっきりと仕事ができます。

野口セミナー終了しました。

2010-12-12 12:11:19 | 医学教育
昨日、野口医学研究所主催のセミナーが開催されました。

多くの意識の高い学生、研修医の方が全国から参加され、とてもエネルギッシュな会でした。

日本の若手から、ぜひ、世界で活躍する人材が多く育つことを願ってやみません。

私は、3コマ連続で担当しましたが、楽しく、またとてもエネルギーを消耗するセッションでした。

久しぶりに再会したいろいろな方とのお話で、inspireされ、元気をいただいた感じです。