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未確認家族 / 戸梶圭太

2005-05-14 23:09:35 | 読書

書名:未確認家族
著者:戸梶圭太
出版:2004年12月 新潮社(新潮文庫)
ISBN:4101248338
価格:620(税込)


最高にヒドイ小説でした。(←ベタボメです)
あまりのヒドさに面白すぎて、読むことを止められなかったくらい。
ちょっと前に読んだ戸梶圭太の「アウトリミット」もなかなかバカバカしくキョーレツで面白かったのですが、この「未確認家族」もかなりヒドい。

援助交際世代の妻とブチ切れ世代の夫は互いに過去を隠して結婚していたが、妻が過去に関わった事件で投獄されていた男が出所し復讐を始める。
さらに夫が以前関わった電波系イカレ女も現れ、妻に嫌がらせを開始。
子供は泣き叫び姑は怒り狂い夫はブチ切れて暴力をふるい男は昔の女を騙して殺しイカレ女は包丁を持って乗り込み…

ろくでなしオンパレードって感じで次々にタガが外れたダメっぽい人間達が現れます。
比較的マトモなのはスポーツジムの兄ちゃんと姑に迫ってた爺さんくらいかな。
一番イカレてたのはもちろん電波女ですが、保護観察官も男の父親も出鱈目でナイスでした。

相変わらずタランティーノっぽい展開で、ノンストップなバカっぷりが最高です。
冒頭に終盤のクライマックス前のシーンを入れてたのは「レザボア・ドッグス」ぽかったし。

この小説の中で「激安人間」「激安犯罪」といった「激安」という言葉が何度も出てきました。
ナンシー関がよく、ある種のタレントを評して「安い」と書いていたのを思い出します。
この表現を見たお陰で、「あぁそうか、自分が彼らに対して抱いている感情というか評価というのは『安い』という言葉でものすごく的確に表されるんだ」と感心したものです。
それが更に「激安」なので、どれ程の低レベルっぷりのトホホ感か分かっていただけるでしょうか。

それにしてもナンシー関を失ったのはつくづく惜しい。
今のところ、自分にとって21世紀最大の損失です。
あれほどの洞察力、表現力、消しゴム彫刻能力を兼ね備えた人は二度と現れないんだろうなぁ。(最後のはそんなに重要でも無いんだけど)

話を戻して。
戸梶圭太は「かなりイイ」と思ってましたが、「未確認家族」を読んで更に評価が上がりました。
もっと彼の作品を漁って読んでやろうと思ってます。