奧会津の山里に、湯ノ花温泉 木賊温泉など田舎風情の残る秘湯が幾つかある。
特に木賊温泉は、川岸に湧き出す適温で 泉質の良い共同温泉が秘湯と言える。
道路から歩く細i坂道を下った川端に、トタン屋根と板塀で囲んだ湯船がある。
崖の岩肌を削った無骨な湯船で、今までに何度か訪れた 気軽な温泉でもある。
そんな馴染みの宿を頼りにした、新米と新サンマを持参しての 新米会だった。
酒を飲みながらゆっくり秘湯に浸り、食べきれない夕食で秋収穫を祝った。
会津と白河を結ぶ 国道289号線の甲子トンネルが、三年程ほどに開通した。
前後を結ぶ道路も新設し補修拡張したので、見違えるような道路に変身した。
会津下郷と白河のちょうど中間、甲子トンネルの東詰に甲子温泉がある。
室町時代の開場と言う古い温泉で、数年前から秘湯人気が出てきている。
木賊温泉の帰り道に、新トンネルのお陰で 甲子温泉に立ち寄ることが出来た。
お目当ての秘湯は、温泉宿の「大黒屋」の名物:岩盤湯船の 大岩風呂である。
江戸時代に作られたと云う、150年の歴史を持つ 岩を削った大きな湯船だ。
宿泊棟などは 建て替えて綺麗になったものの、昔の風情を十分に残している。
白河藩主ゆかりの「勝花亭」を望み、階段を下り 橋を渡ると大岩風呂がある。
そこには、川岸の岩盤を削って作ったと言われる湯船とその湯小屋がある。
湯船の中心にある大きな石を撫でると、子宝に恵まれるという伝説がある。
混浴の大岩風呂は、隣に女性風呂が出来てから滅多に女性を見ないという。
「今さら子供が出来ても困るから、撫でないでおこう !」と、ひげ爺の独り言。
男が撫でても男に子が出来るはずはなく、女性のいない子宝湯は意味がない。