◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「即興の診察室」って?

2014-06-01 09:08:26 | 言葉についてあれこれ
                               おいしいかい?

 一般の人が書いた文章で見掛ける「ご教授よろしくお願いいたします」ですが、「宜しく御享受下さい」なんていうのも見たことがあって、これなどはもう論外ですが、「ご教授」は惜しいですねぇ。「教授」は、学問や技術・芸術を教え授けるという意味で、そういうことについて「○○先生、ご教授のほどお願いいたします」ならいいのですが、それ以外の簡単な質問なら「ご教示ください」と言えばいいのです。
 あ、ついでに、「ご教授のほどお願いいたします」ですよ、「ご教授のほうお願いいたします」ではありませんよ。これも今ではほとんどの人が「~のほう」と言っていますが、「ほう」は誤りで「ほど」が正しいのです。以前、レスリングの吉田沙保里選手が「応援のほど、よろしくお願いします」と言うのを聞きましたが、やはり気持ちいいですよ。
 こういう、ちょっと違う、惜しい例を集めてみました。「散々たる結果」も一般人の文章で見たのですが、見た瞬間、ああ、惜しい、「さんたんたる」を「さんざんたる」と勘違いしているのだなぁと思いました。「惨憺たる結果」ですよ、「見ていられないほどひどい様子」です。「さんざん」なら「散々な結果」ですね。
 「身の回りにいた捜査車両の照会を」は「FNNスピーク」のナレーションとテロップです。一般の人ではありませんよ、ニュース番組ですよ( ̄д ̄)! 「NHKみんなの手話」でも「私の回りにも」というテロップが出たことがありますが、これはいけませんね、実に情けない。「私の周りにも」です。
 「身の回り」は、毎日の生活に必要な着物類や持ち物、また、それらを始末すること、ふだんの行動やつきあい関係、身辺、という意味です。「身辺」なら当てはまる? いいえ。「身辺警護」や「身辺の捜査」ならありえますが、近くにいた捜査車両なんて「周りにいた捜査車両」でしょ( ̄ ̄)。「そうさしゃりょう」って言いにくい(^^;。
 「身」でもう一つ。北陸放送のニュースで聞いた「シートベルトを身に着けるように」ですが、ちょっと違いますよね、身に着けるのは衣服や技術ですよ。ちなみに、「交通の教則」には「シートベルトの着用」と書いてありますから、「シートベルトを着用するように」と言ってください。
 北陸放送といえば、「石川の知られざる偉人 湯本求真物語-東西医学融合の先覚者-」という番組で聞いたナレーション、「風邪を引いたとき、西洋医学では、熱を下げたり咳を止めるといった、対処療法として薬を使いますが、漢方では、体を温めて汗を促したり、抵抗力をつけるといった根本的治療として薬を使います」でしたよ、残念!
 はっきり「対処療法」と言ったナレーター。原稿を書いたのはディレクターかな、「対処療法」と書いてあったのか「対症療法」と書いてあったのか、それは分かりませんが、明らかに「対処療法」と聞こえました。「NEWS ZERO」で桐谷美玲が「対処療法」と言ったことがありますし、たまに聞こえてくるのですが、上記のようなタイトルの番組で「対処療法」はない( ̄д ̄)! それに、繰り返しの「~たり」なのに繰り返していないし、「汗を促す」だって「発汗を促す」でないといけないし( ̄ ̄)。
 それから、「漢方を標榜する医院を開業、医院といっても、小さな住まいの中の一室を利用したに過ぎず、患者が来るとその部屋から家族を追い出し、そこが即興の診察室に早変わりするというもので」なんていうのもありましたが、「即興の」ではなく「即席の」です。「そっこー」と同じだと思っているみたい(――゛。
 「世界ナゼそこに?日本人」のナレーションにも「大きさ2畳ほどのモングルーと呼ぶ家を即興で造ります」というのがありました。「即興」は、その場の興味で、芸をしたり、歌ったり楽器を演奏したりすることで、診察室も家も必要だからそうするのに、「即興」なんてありえません。若い人は、インスタントラーメンのことを即席麺なんて言ったことないでしょ(・ω・)!?
コメント
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