◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

ずに、ないで、なくて、区別してる?

2010-09-12 08:56:42 | 言葉についてあれこれ
                              だからスマートなんやね
 今日の記事は日本語を勉強している人からの質問に答えるということで書きました。質問は、1.「重要な問題であるといえるでしょう」「重要な問題だといえるでしょう」「重要な問題といえるでしょう」の区別、2.「挙げられる」の「られる」の意味、3.「ずに」「ないで」「なくて」の区別、この三つです。
 1について、感覚的な区別ですが、「~であると」は、強い、硬い、確信、文書、演説、プレゼンテーションといったイメージで、日常の会話ではほとんど使いませんね。「~と」はそんなに硬くないので日常会話でも使いますし、問題の重要度もあまり高い感じがしません。そして、「~だと」はその中間でしょうか、でも、「重要な問題だ」という意識は「~と」よりはるかに高く、「~であると」と同じぐらいでしょう。
 2については、前後の言葉、話の内容によっていろいろな意味が考えられますから、それぞれの例を挙げます。「先生が実例を挙げられる」は尊敬表現、「○○は実例としてよく挙げられる」は受身表現、「分かりやすい例としては、○○を挙げられる」は可能表現になります。「られる」って便利・・・ですが、便利であるがゆえに混乱も生じています。それに、尊敬表現としてはあまり上等ではないので、「られる」ばっかりにならないように、使いすぎに注意しましょう。
 3の「~ずに」「~ないで」「~なくて」についてはこれまで何度か書いてきましたが、「めざましテレビ」と「とくダネ!」のスタッフは全く区別していませんから、区別できない日本人が今も増え続けているでしょう。例えば、「車輪が下りずに胴体着陸」は誤用で、「車輪が下りなくて胴体着陸」が正しいわけですが、分かりますか? もしこれが操縦士のミスなら「車輪を下ろさないで胴体着陸」で、これの硬い表現は「車輪を下ろさずに胴体着陸」ですが、本来あってはならないことであり、普通はありえません。
 打消の助動詞「ぬ」の連用形「ず」に助詞「に」が付いて「~ずに」、意味は「~ないで」です。例えば、「手紙を読まずに捨てた」は、読まなければならないのに手紙を「読まないで捨てた」、「種類を区別せずに使う」は、種類を区別することが望ましいのに「区別しないで使う」、「泣かずに頑張った」は、泣いてしまうのが普通なのに「泣かないで頑張った」、ということになります。
 「車輪が下りずに胴体着陸」の「ずに」を「ないで」と言い換えると「車輪が下りないで胴体着陸」となり、誤りであることがはっきりします。本当は「何らかのトラブルで車輪が下りなくて、やむをえず胴体着陸した」と言いたいわけで、「下りなくて」の「て」は接続助詞、打消の助動詞「ない」の連用形「なく」に接続し、「~ので」という意味になります。つまり、「何らかのトラブルで車輪が下りないので、やむをえず胴体着陸した」です。そして、これを、いかにも報道らしい硬めの言い方にすると「車輪が下りず、胴体着陸」となるわけです。
 説明は以上ですが、時間のあるかたは2008年8月10日の「今度のは『車輪を下ろさずに』だったよ」をお読みください。(⌒・⌒)ププゥ

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