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◆ちゃんとしゃべれ! 治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

名乗る自己防衛、補足。

2007-10-13 19:27:10 | 言葉についてあれこれ
                     波乗りじゃないの?
 10月10日の記事「名乗らない自己防衛、名乗る自己防衛」をお読みくださったかたの中には、「姓名を名乗ってください」って重複じゃないの~? とお思いになったかたもいらっしゃるでしょう。「名乗る」とは、自分の姓名や身分を他人に告げることという意味で、「私は治納由気です」も「私はここに入院している患者です」も「名乗る」です。盲腸のときの話、今はもうそんなことはありえない、大昔の話ですよ。あのとき、「私が患者です。あなたが脈を計っているのは妹ですよ」とさっさと名乗れば、笑い死にしそうにならずに済んだかも。
 つまり、知りたいのが名前なら、「姓名を名乗ってください」と言うのが親切というものではないでしょうか。ましてや、入院しているということは、病気やけがで非常につらい状態にあるわけで、すごく具合の悪いときに「名乗ってください」なんて言われたら、「ここの患者や、見れば分かるやろ」なんて言っちゃうかも。あるいは、「治納由気ですぅ~、え~っとぉ、住所は○町のぉ○番でぇ~、ハムスターを飼っていてぇ~」とか・・・(^^;)。スタッフが読むマニュアルでも、「名乗っていただきます」より、「姓名(フルネーム)を名乗っていただきます」のほうが確実です。
 ただ、患者に面と向かって言うのなら、「ご自身で、名前を、フルネームでおっしゃっていただけますか」です。「姓名を名乗ってください」だと事務的で硬い感じがするので、患者にかける言葉としては適切ではないからです。「姓名を名乗っていただけますか」でも、まだ十分ではない感じがします。看護師の希望、患者の心得として、名乗るという意欲ということを書きましたが、そういう説明をするときに「名乗る」という言葉は使えても、患者と看護師との会話には現実に使われることはないでしょう。
 さて、ここに一つ問題があります。マニュアルに「姓名を名乗っていただき」と書いてあるのを読み、患者に向かって「名前をフルネームでおっしゃっていただけますか」とさらりと言える人がどれほどいるでしょうか。今、ちゃんとした日本語を話せる人はほとんどいません。話すことそのものを職業にしている人ですら変な日本語を話しています。そして、目や耳になじみのある言葉は口を突いて出る、つい言ってしまうもので、マニュアルの文字が言葉になって出てきますから、それを避ける工夫は必要です。そこまでひどいかなぁ~と疑問に思いますか? ひどいですよ( ̄‐ ̄)。「○△□」と言わないほうがいいのなら、「○△□」とは書かないほうがいい、というわけで、実に単純なことです。
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