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「AI」という文字の視点を変えると、違う世界になる

2023-07-12 19:58:35 | アラカルト

日経新聞のWebサイトにある、動画にはなかなか興味深い内容のモノがある。
数日前にアップされた動画に、「AIは人工知能ではなく、異星人の知性だ」という動画があった。
日経新聞: 「AIは異星人の知性」哲学界の若き巨人が鳴らす警告 

詳しい内容については、動画を見ていただきたいのだが、「AI(=Artificial Information)」を「異星人の知性(=Alien Information)」と解釈をしている、という点だ。

略すと同じAI となるのだが、持つ意味は変わってきてしまう。
私たちが一般的に使っている「AI」は「人工知能」と呼ばれる、「Information Technology(=IT)」の技術的革新の中で生まれてきた、デジタル技術だ。
動画の中で、マルクス・ガブリエル教授が何度か話している「二極化」という言葉は、この「デジタル化」によってもたらされてる部分が大きい。
何故なら、デジタルの世界では「1か0」しかない、二進法の世界だからだ。
デジタル化が進むコトによって、人の考え方も二進法(=1か0)になってしまうとは、言い切れない部分はあるが、今の社会で起きていることに影響を与えているのでは?と、感じる点は多々ある。


その一つが「0信仰」のような考え方だ。
2011年に起きた「東日本大震災」による「東京電力福島第1原発事故」によって、多くの人たちが戦々恐々となった。
この時「放射能は限りなく0であってほしい」という、風潮があった。
現実には、様々な物質が放射線を出しており、私たちの生活から「放射能0」は無理なことだった。
にもかかわらず、「放射能が怖い」という理由で、首都圏から転居された方も少なからずいらっしゃった。
他にも、「新型コロナ」の感染拡大で、「ウイルス除去」に熱を上げるような社会的風潮があった。
自然界の中には、様々なウイルスが存在しており、「コロナウイルスだけを除去する(=コロナウイルス0を目指す)」ということ自体、不可能なことなのだ。
「コロナウイルス」の存在そのものが「悪」であり、駆逐されるべきモノ、という考えからの「ウイルス0」ということなのだと思うのだが、上述したように現実的な考え方ではない。

そう考えると、「1・0思考」は、どこか危ういところがある、ということに気づかれると思う。
そして現実に「1・0」という2つの数字によって創られている世界が「デジタルの世界」であり、その技術的進化の一つが「AI=人工知能」ということになる。

やや無理やり感がある、と感じられる方もいらっしゃると思うのだが、「Yes・No(=1・0)」という2つしかない社会というのは、さほど考える必要のな社会だと言える。
違い言い方をするなら、多様性を認めない社会、だともいえる。
マルクス・ガブリエル教授が懸念されているのは、この「多様性を認めない社会」ということのようにも思えるのだ。
それだけではなく、「多様性があるからこそ、社会が豊かになり新しい技術が生まれ発展していく」ことを阻害している社会でもあるのだ。
何故なら、多様性を認める社会はとても複雑で、常に他者と自己との関係を、考えなくてはならないからだ。

「AI」の元となるのは、「IT」だと思うのだが、その「IT」を「Information Technology」と考えるのではなく「Interest Technology(=面白く興味深い知を探る技術)」だと考えれば、「AI」の解釈もまた変わってくるはずだし、そのような視点で「AI」を考えることの方が新しい時代を切り開く力となるような気がする。



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