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ファクトチェックから見えてくる、中国の戦略

2023-07-27 20:35:25 | ビジネス

ここ数日、中国が「経済制裁」とは言わないまでも、日本からの農業水産品の輸入商品について、様々な報道がされている。
Reuters:中国、日本の10都県からの食品輸入禁止を維持 安全上の問題で 

規制ではないが、同様の危険性を韓国も訴えていたと思う。
中国違に至っては、SNSを使って間った情報を故意的に世界へと拡散させている、という。
Huffpost:汚染水がそのまま海に…イラストが拡散⇒「誤り」中国系ウエッブサイトが投稿元か 

まず「誤り」の理由に挙げられるのが、今回海洋放出される予定のものは「汚染水」ではなく「処理水」である、という点だ。
そしてHuffpostの記事を読んでいただくと分かるのだが、世界中にある原子力発電所から放出される「処理水」に含まれる「トリチウム」との比較だ。
記事の中の地図を見ていただくとわかるのだが、実は原子力発電所から放出される「処理水」の中に含まれる「トリチウム」の排出量が一番多いのが、中国なのだ。

日本の原発は、「福島第一原子力発電所事故」以来、停止をしている原発が多く、海洋に放出される「処理水」も少なくなっている。
当然「処理水」に含まれる「トリチウム」の量も、減っているということになる。
中国や韓国も、その事実を知らないわけではないと思う。
にもかかわらず、このような「経済的措置」を行うのは、「処理水」の問題ではないと考えるべきだろう。

では、何が関係しているのか?と考えると、この「輸入規制」の前に話題となった「半導体」の輸出管理の問題なのでは?ということになると思う。
Reuters:アングル・半導体装置の輸出管理強化、日本も開始 中国報復に身構え 

中国政府の対応を時系列的に見ていくと、どうやら日本の「半導体装置」の輸出管理強化を受け、日本からの農産品の輸入規制を始めた、と考えるほうが自然な気がするのだ。
そこに、このようなファクトニュースをSNS上で流すことで、「日本は世界の海を汚している!!」とアピールするコトができる。
SNSユーザーの多くが、個人的にファクトチェック(=「情報の真偽を調べる」)をするほどの情報量を持っているわけではないし、何より「福島第一原子力発電所事故」により、欧州特にドイツなどは「原発廃止」へと政策転換をしたくらいの、衝撃的な事故だった。
それだけではなく、欧州では「環境問題」への取り組みも積極的だ。
国だけではなく、市民レベルでの「環境意識が高い」と言っても過言ではないと思う。

そのような世界情勢の中、「日本は原発事故の高濃度の放射性物質を含んだ汚染水を、海に放出する」と、SNSを使ってPRすれば、国際政治だけではなく国際ビジネスの中での立場も厳しいモノになってしまう。
それを狙って、中国がこのような「ファクト情報(=誤った情報)」を積極的にSNSを使って流している、と考える必要があると思う。

ファクトチェックから見えてくる、中国政府の意図をしっかり理解する必要があるように思う。