日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ビッグモーターの会見

2023-07-26 19:26:01 | アラカルト

昨日行われた、ビッグモーターの社長会見を、ご覧になられた方も多かっただろう。
残念なことに、私は見ることができなかったのだが、その後のメディア報道などを読む限りでは、「謝罪」とは程遠い会見だったようだ。

そもそもこの「ビッグモーター」の事件(というべきか?)とは、何だったのだろう?
契約をしている損害保険会社に対して、不正請求を会社ぐるみで行っていた、というのが、今回の事件ということになる。
しかしながら、昨日の社長記者会見では、「会社ぐるみではなく、社員個人が行っていた」という趣旨の話で終始した、という。

単純に一つ疑問があるのだが、同じ会社から度々不正請求と思しき請求が度々されれば、損害保険会社側も「おかしい」と、気づくのでは?という点だ。
不正請求を受けていた損保ジャパンからは、ビッグモーターへ37人の出向者を出している。
NHK :損保ジャパン ビッグモーターに37人出向”不正知らず”調査へ 

全国でチェーン展開をしている中古車販売店なので、37人という出向者の人数が多いのか?という印象を持たれると思うのだが、おそらく店舗に常駐しているのではなく、各地域の支店のようなところに出向をし、事務処理や事故査定処理をしていたのでは?という、想像がつく。
確かに現場ではないので、個別の事案について厳しい自己査定ができたのか?と言われると、難しい点はあるにしても、事故処理の量や内容を精査することで、ある程度は不正を把握するコトができたのでは?という、気がする。
というのも、以前から保険会社の支払いは厳しい、と言われてきたからだ。
保険金を支払う査定となれば、明らかな支払い要件でない限り、それなりの厳しい調査が入ることがママとしてある、と言われてきた。
そのようなことを考えると、損保ジャパンにも「不正請求」の被害者なのか?という、気がしてくるのだ。

もちろん、一番問題なのは、そのようなことをしたビッグモーター側にある。
そして不正請求の件数や金額などを考えると、現場担当者の一存で行っていたとは言えないのでは?
例え、販売店ぐるみで行っていた、としてもその事実を本社が把握していませんでした、では筋が通らない、というのが、今の企業の在り方だ。

企業のトップがこのように、「現場に責任がある。社員個人が勝手に行っていたコト」ということを、堂々とメディアの前で会見してしまう、という企業トップは、「企業とは」という、「経営」についての基本が分かっていない、ということになるだろう。
元々は、地方の小さな中古車販売店で、家族経営のようなカタチだったのかもしれないが、企業が大きく成長すれば、それに似合うだけの「経営手腕と経営責任」が必要となる。
その覚悟も無く、全てを「現場の社員、一担当者」に責任を負わせるような発言をすれば、社会からは今以上に厳しい糾弾が企業責任者として向けられる。
そのことを理解していない、ということが分かる記者会見だったのではないだろうか?