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電子黒板では、アートできない

2015-05-28 21:00:43 | アラカルト

毎年、卒業式シーズンになると「黒板アート」が話題になる。
黒板いっぱいにチョークで書かれた、卒業メッセージアートだ。

今日の毎日新聞のWEBサイトでも、この「黒板アート」が紹介されている。
毎日新聞:黒板アート白色チョークで富士山 茨城の高3が特別賞

この高校生の作品を見て「すごいな~」と感じたのは、私だけではないと思う。
緻密に描かれた富士山の絵は、白色チョークだけで描かれてはいるが、白一色の濃淡で鮮やかに富士山を表現している。この絵から静岡県側から見た富士山だろうか?と想像したほどだ。

このような「黒板アート」が登場する一方、ご存じのとおり学校では黒板からホワイトボードや電子黒板への移行が進んでいる。
確かに、教室の一番前の席は「砂被り席」ならぬ「チョークの粉かぶり」の席だった。
黒板消しをクリーナーできれいにする、という当番の仕事もあった。
季節によっては、チョークの粉が舞い、せき込むようなときもあった。
そのような理由から、学校のホワイトボードの利用や電子黒板化が進んでいる。

そしてこの春「チョークメーカー」さんが、学校の電子黒板化により廃業を決めた、というニュースもあった。
日経ビジネス:「チョークを作り続けて82年、このたび廃業することになりました

経営不振による廃業ではなく需要が見込めなくなる、という理由での廃業なので「時代の流れ」と言ってしまえばそれだけだが、なんとなく残念な気がした方は、案外多かったのではないだろうか?
というのも、街中を歩いていると洒落たカフェなどには、小さな黒板を使ったPOP看板などがよくつかわれているからだ。
カフェだけではなく、定食店などでもその日のおすすめメニューや時間が変わると「売り切れ」の案内看板にかわる。
黒板という「書いて・消す」という、特性を生かした使い方なのだが、同じ特性を持つホワイトボードでは、なんとなく雰囲気が伝わらない、という印象を持っている。なぜなら、その「看板」の表現そのものがチョークという道具によって、アートになったりするからなのでは?
おそらく、学校での黒板利用がなくなれば、チョークそのものの需要はほとんどなくなってしまうだろう。
市場規模そのものも急速に小さくなるのは、目に見えている。
それでも「黒板アート」にはやはりチョークが必要で、もしかしたら海外で注目されれば、また違う生き残りができるのでは?ということだ。もちろん、途上国などでは黒板そのものの需要がまだまだあるだろうし、そのためにはチョークも必要だろう。

余りにも美しい「黒板アート」の富士山を見て、いろいろなことを考えさせられたのだった。



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