日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

新年度と企業

2017-04-03 19:20:10 | ビジネス

月開けが土日となったために実質今日からが、新年度スタートとなったのではないだろうか?
毎年の事だが、新年度スタートと共に社名を変えたり、これまでの企業イメージを一新するような企業は多い。
それらを告知するように、今日の新聞にはいくつかの企業の「刷新広告(というべきか)」が、掲載されていた。
その中で、目を引いたのが社名変更した「SUBARU」だ。

ご存じの方も多いと思うのだが「SUBARU」というのは、一種の企業ブランド名だった。
企業名としては「富士重工業」だった。
「SUBARU」という、ブランドネームが定着すればするほど、「富士重工業」という本来の社名の印象は薄くなり、「富士重工業=SUBARU」だとわかる人も(案外)少なかったのではないだろうか?
実際、テレビCMでも「SUBARU」という名前を聞くことは多くても、最後のテロップで「富士重工業」と出るだけでは、なかなか結びつかないのも仕方ないことかもしれない。

その社名変更をした「SUBARU」だが、変えたのは社名だけではなかった。
SUBARU公式サイト:はじまるSUBARU
サイトには「モノをつくる会社から、笑顔をつくる会社へ」というコピーが目に入る。
まず注目するのは、「モノをつくる」という表現だ。
マーケティングなどでは「物」という表現ではなく「モノ」という表現をすることが多い。
理由は「商品」という物質だけではなく、その「商品にまつわる様々な物事全てを指す」というニュアンスで「モノ」という表現をすることが慣習となっているからだ。
その意味では、「モノをつくる」という表現は、「自動車メーカーとして、自動車全般にまつわる様々な物事をつくる」という、ニュアンスを持っていたはずだ。
同様に「自動車あるいは車」と表現せずに、「クルマ」という表現をすることも多々ある。

SUBARUは、自動車メーカーなのだから、「モノをつくる」という表現をしても全く問題はないはずなのだが、今回のコピーは「笑顔をつくる会社」という、企業コピーを打ち出している。
公式サイトにも、そのコピーに込めた思いは書かれているのだが、「なぜ、自動車メーカーが笑顔というコピーにしたのか?」ということを考えると、これから先のSUBARUという企業のビジョンのようなものが見えてくるように感じる。

それは「クルマ」という道具が持っている危険性であり、危険だからこそ安全性を求める、それが社会に笑顔をつくり出す、という社会的企業の位置づけという考えのようだ。
確かに、ここ2,3年高齢者を中心に「判断ミス」による自動車事故の惨事が、目立つようになってきている。
SUBARUが持っている「自動停止技術」は、国内外の自動車メーカーの中でも群を抜いて高い精度と安全性を誇っている。
これから先、自動車の進化形として考えられている「自動運転」の実現には、「自動停止技術」が必要となってくるのは、明白だろう。
「高い自動停止技術」を持っているからこそ、クルマを運転する人だけではなくクルマに乗らない人にも「笑顔をつくりたい」という自信が持てるのではないだろうか。

自動車メーカーなのに、クルマの事ではなく「(人と社会の)笑顔」という企業コピーには、そのような強い意志のあらわれなのだと思う。



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