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「プラスサイズ・モデル」の登場は、多様性につながるか?

2019-11-06 19:04:28 | トレンド

Huffpostに、アメリカのミュージカル「ヘアスプレー」を日本人キャストによる初公演することについての記事が、掲載されていた。
Huffpost:黒人のように肌を塗るメイクは「許可できません」。日本初上演『ヘアスプレー』の制作陣がメッセージ

この記事を何度か読み直してみたのだが、メッセージの意図が分かりにくいような気がした。
そこで、2013年に公開された時の映画のプロモーションを見て、その意図がようやく理解できたのだった。
それは「日本人キャストによる、日本公演において不自然なメイクは許可しない」ということのようだ。
「肌の色」というのは、それだけデリケートな問題でもある、ということだろう。

そして「ヘアスプレー」で訴えたいのは、「肌の色」だけではないのでは?という気がしている。
映画のプロモーション映像の中でも出てくるのだが、「体形」による問題提議もあると感じている。
それが顕著なのは、ファッションの世界だと思う。
3年ほど前から、「痩せすぎたモデルを起用しない」ことが、求められるようになってきている。
理由として挙げられているのが、10代後半から活躍を始めるモデルが多い中、「体形の維持」を求められるからだ。
10代後半と言えば、まだまだ成長し女性らしい体つきになっていく時期だが、それでは「理想」とされるモデル体形から外れてしまうのでは?という不安などから、厳しい食事制限などを行い、摂食障害に陥るモデルが後を絶たないからだ。
AFP:痩せ過ぎモデルを規制する法施行フランス

と同時に、ここ1,2年の間で「プラスサイズ・モデル」または「カーヴィーモデル」と呼ばれる、体格の良いモデルが、注目を浴びるようになってきている。
ファッション誌・VOUGEでも「プラスサイズ」についての特集を組むようになっている。
VOUGE:ボディの多様性をめぐる、プラスサイズモデルたちの戦い

写真を見ていただければわかると思うのだが、パリやミラノなどのファッションショーに登場するモデルたちとは、随分体形が違う。
パリコレのランウェイをキャットウォークする、痩せたモデルたちを見ると、多くの女性たちは「素敵なファッションだけど、私には無理!」と思ってしまいがちだ。
しかし「プラスサイズ」のモデルたちの姿は、「私にも着られる!」という、ポジティブな気持ちにさせてくれる具現者のように見える。

言い換えれば、彼女たちの登場は、ファッションの世界でもあたらな市場を創り出す、というメリットがある。
プラスサイズモデルを積極的に起用しているのが、現実的でキャリア女性から支持を得やすい、ニューヨークコレクションであるということを考えれば、潜在的「プラスサイズファッション市場」に、ファッション界が気づいた、ということだろう。

日本では、ファッションの中心として考えられているのは、10代~20代くらいのような気がする。
欧米のファッション市場とは、年齢的にもファッション志向においても「若さ中心」となっている日本の市場だが、「ヘアスプレー」日本公演で主役を演じる渡辺直美さんのような存在が、日本における「ファッションの平均体形」という呪縛を壊す存在なのかもしれない。
そして、日本でも「大人のプラスサイズモデル」が登場することによって、体形変化によってファッションを楽しめなくなっている大人の女性たちの市場を獲得することができ、日本のファッション業界も少しは元気になるような気がするのだ。





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