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ファッションの変革期かもしれない

2019-11-08 18:49:41 | トレンド

新聞各社の記事には「ファッション」の欄がある。
各社の記事を読むことは、それぞれの視点の違いなどが分かるようで、興味深いものがある。
今日、朝日新聞のファッションの記事に、意外な組み合わせの人物インタビューが掲載されていた。
朝日新聞 &インタビュー:ドリス・ヴァン・ノッテン×クリスチャン・ラクロワ 2020年春夏の新作をクリスチャン・ラクロアと協業で

このタイトルを見た時、2つのことが思い浮かんだ。
一つは「ファッションデザインでも協業という、アイディアがあるのか?」という疑問だ。
もう一つは、ヴァン・ノンッテンとラクロアという意外な組み合わせが見せるファッションとはどのようなものか?という、好奇心だった。

まず、協業という点だ。
今回協業をしたのは、ドリス・ヴァン・ノッテンとクリスチャン・ラクロワという、2人のデザイナーだ。
メンズコレクションからスタートしたドリス・ヴァン・ノッテンは、テーラードが上手いデザイナーと言われてきた。
対してクリスチャン・ラクロワは、南仏出身らしく美しい花々のプリントや、繊細な手仕事のレースなど、レディースファッションの中でも、ひときわ華やかで、ロマンチックなデザイナーという印象があったからだ。
その二人が、協業するとなると、デザイナーとして互いに相容れられないコトが多々あるのでは?と、思ったからだ。

しかし、インタビューを読むと「商売重視の工業製品に成り下がっている」と、互いに感じ合っていたことが、この協業を成功させたのだろう。
ラクロワのように、ファッションの世界から身を引き10年も経つと、今のファッションがつまらなく思えたのかもしれない。
確かに、ラクロワの創り出してきたファッションは、今彼が活躍をしている舞台衣装のほうが向いていると思うし、だからこそ今のファッション業界が、デザイナーの創造の場ではなく「商売重視の工業製品」と第三者的視点で、強烈に感じていたのかもしれない。

二つ目の意外な組み合わせ、という点についてもインタビューを読むと納得する。
2020年の春夏コレクションでは「サスティナブル(持続可能)」をキーワードにした、デザインが多かったという。
結果、色調などが似たり寄ったりなデザインが、多かったという話も聞いている。
ラクロワがデビューした1980年代後半は、それこそ「百花繚乱」のような、個性のある色・デザインであふれていた。
いくら「サスティナブル」がトレンドだとしても、二人にとって我慢ならなかった、ということだろう。
おそらく違う言葉でいうなら「ボタニカル(植物などからイメージを得たプリントなど)」かもしれない、と感じたのだ。

ファッションも、「環境」に敏感でなくてはならない時代になった。
だからと言って「環境」に名を借りた「商売重視の工業製品ファッション」への抵抗が、協業というカタチになったのだとすれば、ファッション業界そのものが、大きく変わり始めているのかもしれない。
それはファッションデザイナーが、本来あるべき「創造性」を持ったファッションへの回帰と環境問題への取り組み、ということのような気がしている。




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