昨日、フジメディアHDの役員の退任が発表された。
退任する役員の中には、渦中の日枝会長の名前もあった。
おそらく、フジメディアHDをはじめフジテレビ側は、これで一連の騒動の幕引きをしたいのだろう。
しかし、そう簡単にはならないようだ。
というのも同じ昨日、株主訴訟として233億円という、高額な訴訟を起こしたからだ。
旧経営陣に対しての訴訟なので、いくら退任をしたからと言っても、その責任を逃れることはできないのでは?
それだけではなく、今回の一連の出来事でフジテレビというテレビ局のイメージダウンは大きく、民放局の経営の柱である「企業からの広告収入」そのものも期待できなくなってしまった。
一部で指摘されているが、フジテレビ、およびフジメディアホールディングスは、放送事業で儲けている訳ではなく、不動産業で儲けているのでスポンサー収入が減っても、それほどの痛手ではない、と言われているので、事業収入としては大きな痛手ではないかもしれないが、社会についてしまった「企業イメージ」が地に落ちたことには変わりない。
むしろ、収入の柱となっている不動産事業に対しても、今回のことはジワジワと影響を及ぼす可能性もある。
それにしても、問題の渦中となった日枝会長をはじめ、セッティングをしたと言われるプロデューサーは、一度も会見など顔を出すことなく、現在に至っている。
「企業の不祥事だから、社長が出てきておしまい」という感覚だったのだろう。
事実、これまでの企業の不祥事と言えば、社長が出てきて謝罪をして終了だった。
しかし今回のフジテレビが起こしたことは、フジサンケイホールディングスという企業グループ全体の問題として、とらえられるようになった。
だからこそ、役員の退任となったのだ。
とすれば、企業グループの責任者であったはずの日枝会長が、何等かのコメントを出すことも必要だっただろうし、問題を起こしたと言われるプロデューサーが雲隠れ状態というのは、おかしな話だ。
世間がフジテレビをはじめとするフジサンケイグループに対して疑念を抱くコトになったのは、このような企業ぐるみの不誠実な態度だったのだ。
同じ業種であるメディアとしては、これ以上の追及はしたくないだろう。
おそらく監督官庁である総務省も同じなのでは?
何故なら、この問題が表面化した時私の頭に思い浮かんだのは、「(当時の)大蔵省官僚接待汚職事件(通称:ノーパンしゃぶしゃぶ事件)」だったからだ。
この事件は30年以上前のことなのに、日本は当時と変わっていないのだ。
むしろ、そのようなお店ではなく社内で済ませようとした分、悪質になったのかもしれない。
社会を動かす力がある、メディアや官僚たちの思考が30年以上前から変わっていないのだから、このような事は繰り返されるだろう。
いくら表紙を変えたところで、中身が変わっていなければ同じことを繰り返すだろうし、事件の発端となった人物が隠れ無かったことにしようとしている時点で、この事件は終わっていないし、社会的追及が必要であるということだろう。