東日本大震災以来、太陽光発電などを利用した「再生可能エネルギー」に注目が集まっていることは、ご存じの通りだ。
結果、耕作放棄地や工業団地の誘致が失敗したような場所に、太陽光パネルが所狭しと並ぶような光景をあちこちで見られるようになった。
このような場所だけならまだしも、最近では山を切り崩してまで太陽光パネルを設置している場所を、見かけることがある。
ここまでくると、本当に「再生可能エネルギー」なのだろうか?と、疑問に思うようになってしまう。
これまで、日本の電力政策(というべきか?)は、過疎地に近いような場所に発電所を建設する、という傾向があったような気がする。
その顕著な例が、原発なのではないだろうか?
「再生可能エネルギー」のポイントは、「エネルギーの地産地消」のはずなのだが、これまでのような感覚で、「再生可能エネルギー」の一つである太陽光発電用のパネルが、地方に次々と造られているのだとしたら、日本のエネルギー産業の構造は全く変わらないような気がする。
そのような疑問を呈しているコラムが、今日の日経新聞に掲載されていた。
日経新聞:廃棄物再生利用でエネルギー自立へ
随分前になるのだが、下水道処理の過程で発生するメタンガスなどを使って電力を造り出す、という技術は既に確立していて、事業化することは簡単である、という話を聞いたコトがある。
下水道処理ということを考えれば、人口が圧倒的に多い都市部のほうが、生産コストなどを含め有利であるはずだ。
にもかかわらず、このようなエネルギー事業は実現化されていないように思う。
事実、環境省のHPにはメタンガス化の技術が紹介されている。
環境省:メタンガス化の技術
都市部などでは、環境省が勧める「廃棄物を利用したエネルギー」のほうが、現実的で「都市型の地産地消型エネルギー」と言えるのではないだろうか?
にもかかわらず、普及しない理由があるとすれば、それは「既得権益」という問題だろう。
下水を管理しているのは各自治体で、ガスや電力は民間企業だ。
自治体が電力会社へ売電をするということになれば、これまでの電力会社のビジネスモデルは崩れてしまう。
ただ、これから先電気自動車の普及ということを考えるなら、下水を利用し電力をEVステーションに限定して送電する、ということは考えられるかもしれない。
EV車両の普及の目的が、CO2の削減が目的だからだ。
EV車両で使われる電力そのものが、CO2を発生させる火力発電などから造られているとすれば、EV車両の普及という点では本末転倒になってしまうからだ。
今検討されている水素エネルギーを利用した自動車にしても、水素ステーションそのものの普及がされなければ、意味がない。
今、「再生可能エネルギー」という視点で語られる「エネルギーの未来像」では、電力不足は避けられない現実だと思う。
とすれば、EV車両の普及という点もふくめ、個々の地域に合わせた「廃棄物利用エネルギー」も積極的に、考える必要があるのではないだろうか?