ニュースサイトを見ていたら、オランダに本社があるフィリップスが仙台にイノベーション研修施設を立ち上げる、という記事があった。
innavi net:フィリップス、日本で初めてのイノベーション研究開発拠点PHILIPS Co-Creation Centerを宮城県仙台市に設立
拙ブログでも時々取り上げる「大学などの研究の事業化」というのは、これまであまり成功したことがない、というか実績がほとんどないのでは?という、状況にある。
しかし国立大学といえども今は「独立行政法人」となり、それなりの収益(アカデミーと収益は合致するとは思えないのだが)をあげる必要が出てきている、という現実もある。
多くの大学では、学内に「イノベーションセンター」のような部門が設置されるようになっているようだ。
しかし残念ながら「事業化する」ということに関しては、大学などは一番苦手な分野なのでは?という、気がしている。
現在の大学の多くが、そのような状況である、ということと日本の大学における基礎研究のレベルの高さなどから考えると、今回のフィリップス社の試みというのは、全国的に拡がっていくのでは?という、気がしている。
いうなれば、「大学のイノベーション事業を、企業が主導していく」ということだ。
イノベーションを起こすであろう!という事業に関して、重要なのは「市場をカタチつくる」ということだ。
この「市場をカタチつくる」ということにおいては、上述した通り大学の研究施設が一番苦手としている分野でもある。
その大学の苦手な部分を、企業が主導していくことでスムーズ(というべきか?)に市場を創り出していくことを考えいているのでは?という、気がしている。
それは企業側にとっても、大きなメリットがあるはずだ。
まず「基礎研究」という部分において、時間を大いに節約できるという点が挙げられると思う。
「基礎研究」そのものは、とても重要なことではあるがそのための時間と労力を企業が担うというのは、経営という面で見ると負担が大きすぎる。
それに対して、大学などの研究の多くが基礎研究~応用研究が中心になっている。
企業の潤沢な資金の援助を得ながら、基礎研究~応用研究までできる、というのは大学側にとっても大きなメリットがあるだろう。
そう考えると、このような「イノベーション」が期待される事業に関して、ますます企業主導型になっていくのでは?という、気がしてくる。
その一方で、先日のソフトバンクグループの孫さんが表明したような「ユニコーン投資」という形で、積極的に「イノベーションの芽」を育てていく、という企業も現れるかもしれない。
「企業主導型」であっても「ユニコーン投資」であっても、企業側にとっては「世界標準を獲る」ことで、市場の優位性を保つだけではなく特許などからの膨大な利益を得られる、という期待があるはずだ。
そしてこのような企業と大学との関係は、深まることはあっても関係が薄れていく可能性は低いのではないか?と、感じている。