日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

大日本除虫菊の広告の訴求力

2018-06-04 13:06:35 | マーケティング

ネットには、新聞やテレビでは扱わないようなニュースを取り上げるサイトもある。
その一つWihtnewsに「確かに、そうだけど・・・直球過ぎる」という広告が、取り上げられていた。
Whitnews:図々しいことを直球でいうユーモア キンチョウの新聞広告が深かった
この記事で取り上げている、キンチョウの新聞広告というは、大日本除虫菊が日経に出した広告のようだ。
大日本除虫菊:新聞広告 コックローチ ゴキブリがうごかなくなるスプレー

この広告のキャッチコピーは、「買うまでが広告です」だ。
このキャッチコピーを見た時、思い出したコピーがあった。
1985年、武田製薬の「ベンザエースを買ってください」というCMだ。
youtube:武田薬品工業ベンザエース
このCMを見た時、随分大胆なキャッチコピーだな~という印象があった。
というのも、企業側が「買ってください」というコピーが、(ほとんど)無かったからだ。
CMの多くは、製品や企業のイメージや性能・機能、あるいは価格を伝えることが主で、使われるコピーもそのイメージに沿ったものになる。
その中で「買ってください」というコピーは、随分直接的で思い切ったものだったからだ。

広告の使命は、その製品や商品、サービスを生活者に告知することが、一番重要だ。
しかし、生活者に告知したからと言って、その製品や商品、サービスが生活者の手に届かなければ、企業側は広告費が無駄になってしまう。
広告の目的には、生活者に製品や商品、サービスを買ってもらう、ということもあるからだ。
残念なことに、広告を出してもなかなか買ってもらえない、ということが度々あるのも事実だろう。
まして、競合他社が多い製品や商品は、生活者にとっては選択肢が多くなるという利点があるが、企業側にとっては厳しい市場ということになる。
今回の「コックローチ」というゴキブリの殺虫剤も、競合他社の多い分野の商品だといえる。
だからこそ、広告としての訴求力が求められる、ということにもなるのだ。

ただ、この広告を見た時「金鳥らしいな~」という気もしたのだ。
これまで、大日本除虫菊=金鳥の広告は、どこかヒネリのあるユーモアもある広告やCMが多く、ある一定世代の方ならご存じだと思われる「亭主元気で留守がいい」というCMも、金鳥の製品CMだったからだ。
これまでの実績(というのだろうか?)があるため、これほどダイレクトな訴求広告を出しても、受け手となる生活者は「金鳥の広告だからね~」と、分かってくれる部分があるし、面白がってくれる(はずだ)という読みが、企業側にあると思う。
何より、広告として嫌味が無い。
これが、この広告の一番の魅力かもしれない。