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愛知県下の喫茶店の「モーニング」文化

2017-07-05 12:36:08 | ライフスタイル

朝日新聞に、愛知県下以外では話題になりそうもない記事が、掲載されていた。
朝日新聞:モーニング王国に黒船襲来 NY人気店 コメダを脅かすか

ご存じではない方の為に説明すると、「モーニング」というのは午前11時頃まで喫茶店などで提供される軽食のことだ。
愛知県下の喫茶店では、この時間帯にコーヒーを注文するともれなく厚切りトーストとゆで卵、または小皿に盛り付けられたサラダなどが付いてくる。
名古屋市内の多くに喫茶店は、このようなメニューがスタンダードなのだが、一宮や豊橋などに行くと、コーヒーの値段で、パンが食べ放題になったり、サラダバーが設置してあったり、おにぎりが食べられたりするところもある。
喫茶店そのものが、様々な軽食サービスを提供しているのが、愛知県下の喫茶店の「モーニングメニュー」だ。
値段も上述した通り、コーヒー1杯の値段で提供するところがほとんどだ。

そのような「喫茶店・朝食文化」に、海外で評判の人気店が参入した、というのが、記事の内容だ。
確かに「エッグベネディクト」はもちろん、リコッタチーズのパンケーキなどは、街の喫茶店で提供されているとは思えないし、今後も提供される可能性は低いと思う。
気になったのは、そのような「おしゃれな朝食メニュー」を提供するお店が進出したからと言って、愛知県下の喫茶店の「モーニング」利用者が減るとは思えないのだ。

何故なら、喫茶店のモーニングに来る人達の目的は「常連さんと会いたい」という、コミュニケーションの部分があると思われるからだ。
「モーニング」という軽食を食べるだけなら、時々美味しくて、話題のお洒落なお店に出かけたい!という気持ちにもなるだろう。
しかし、毎日のように喫茶店の「モーニング」に通う人達の中には、自宅で朝食を済ませ、喫茶店の「モーニングを食べる」という人も少なくない。
自宅近所の喫茶店は、「街の社交場」という場所でもあるのだ。

それだけではない。
平日の「モーニング」を楽しむ人たちの多くは、ビジネスパーソンではないという点だ。
利用者の多くは、既に現役を退いた人たちが多いのだ。
現役を退いた人たちにとって、コーヒー1杯の値段で「モーニング」という時間内をゆったりと顔なじみさんといっしょに過ごせる、というのは魅力的なはずだ。
逆にビジネスパーソンが、モーニングの時間帯にいるとすれば、それは出張などで名古屋に来た方だろう。

その様子は、週末になると一転する。
週末には「家族連れ」で、「モーニング」を食べにやってくるのだ。
何故家族連れなのかは、今だにわからないのだが、週末の午前中の喫茶店は家族連れでにぎわうのも愛知県下の喫茶店の特徴かもしれない。
そのような利用のされ方をされている「モーニング」なので、一人1,500円前後の料金がかかる所へ出向くのか?という疑問もある。

記事の見出しには、「コメダ珈琲店」の名前を使っているが、愛知県下の喫茶店でスタンダードなメニューであって、実際のところ「コメダ珈琲店」が中心になって始まったサービスではない。
一宮や豊橋などの喫茶店の「モーニング」が、豪華になっていった理由は諸説色々あり、「コメダ珈琲店」がそれに追従した、というのが本当のところなのではないだろうか?

そう考えると、NYの人気店が名古屋駅前の一等地にオープンしたからと言って、愛知県下の喫茶店の「モーニング」が廃れることはなく、棲み分けが進むだけのような気がする。