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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

新米ママにこそ!花束を

2017-05-11 15:26:50 | CMウォッチ

昨夜のYahoo!のトピックスに、「おむつのCMが、ワンオペ(=母親一人での)育児を称賛している」という意見がある、という見出しが出ていた。

この「おむつのCM」とは、ユニ・チャームが発売している「ムーニー」のCMのことらしい。
Huffpost:ムーニーのおむつCMに「ワンオペ育児を称賛しないで」批判⇒ユニ・チャーム「取下げはせず
実際のCMを見てみると、決して「ワンオペ育児を称賛」しているようには見えないのだが、見る人によっては見えるのかもしれない。
ユニ・チャーム:ムーニーからはじめて子育てするママへ贈る歌「moms dont's cry」 
このCMを見た率直な感想は、今のママたちの悲壮感だ。
同じように子育てをしている女性の姿を見て「私って、ダメだな~」とか、泣く赤ちゃんにイライラしたりする新米ママ(とは限らないだろうが)の姿が、リアルに感じられる。

9年ほど前同じユニ・チャームが制作し、話題になったおむつのCMを見ると、CMから受ける印象が180度違っているからだ。
ユニ・チャーム:ムーニーCM
このCMは、放映当時やさしい歌声とアニメーション、何よりもその歌詞の内容で、話題になったCMだった。
覚えていらっしゃる方も、多いかもしれない。
こちらのCMは、赤ちゃんの成長の一つ一つを、喜ぶお母さんの姿が描かれている。
商品そのものが「赤ちゃんの成長に合わせたおむつ」の提案だから、当然と言えば当然なのだが、言葉が話せない赤ちゃんとも「ふたりのことばでおしえてよ」という歌詞があるように、ママと赤ちゃんとの間に流れる言語化できない、ゆったりとしたコミュニケーションの姿が歌われている。

9年前のお母さんたちも、今の新米ママと同じように子育ては大変だったに違いない。
でも、2つのCMに流れる空気感は、まったく別のモノになっている。
その間にあったことの一つが、「女性が輝き活躍できる社会」ということだと思う。
「女性が輝き、活躍できる社会」という言葉とは裏腹に、新米ママも社会で輝け=仕事を頑張れ!と受け止めてしまっている女性も多いのではないだろうか?
しかし現実は、問題視されたCMのような孤立無援のようにして子育てを強いられているママたちの姿のような気がする。
昨年社会的問題として取れ上げられるようになった、「保育所」の問題にしても、保育所に入れるために妊娠が判明した時から、保育所探しをしなくては育休が終了してから預けられる保育所は見つからない・・・などなど、働くお母さんたちの厳しい現実だ。

この姿は、パンパースのCM「キミにいちばんのこと」で使われている映像とは、まったく違う世界だ。
パンパース:キミにいちばんのこと

今度の日曜日は、母の日だ。
孤立無援で頑張る新米ママにこそ、花束が必要な気がする。