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「街の電気屋さん」が復活するか?

2017-05-23 11:40:37 | ビジネス

先日、FM番組を聞いていたらパナソニックが「街の電気屋さん」の募集をしていた。
番組はパナソニックの提供なので、パナソニックの商品やサービスがラジオCMとして流れるのは、当たり前なのだが「街の電気屋さんの募集」に、何故だろう?と思ったのだ。

ご存じのように、家電の販売の中心は「家電量販店」になってきている。
他には「ジャパネットたかた」のような、ECサイトということになるだろう。
我が家の近所でも家電量販店はあっても、「街の電気屋さん」は見かけない。
にもかかわらず、パナソニックが「街の電気屋さん」を募集する・・・不思議に思い、パナソニックのサイトで確認をすると、家電量販店には無いサービスを提供することを目指しているようだ。
パナソニック:街のでんきやさん パナソニックの店
そして、私が聞いた「募集」のラジオCMはどうやら「従業員募集」ということだったらしい。

社名がPanasonicになる前の松下電器産業だったころ、業績を大きく伸ばす原動力となったのは、製品だけではなく「街の電気屋さん」と呼ばれる販売店によるところも大きかった。
松下の「街の電気屋さん」をまねて、家電各社が同様の販売店を全国展開をしていた時代もあった。
「街の電気屋さん」はご存じの通り、家電量販店の登場により激減し、今でも「街の電気屋さん」という販売店を持っているのはパナソニックぐらいだろう。

家電量販店が主流になっている今、あえてパナソニックが「街の電気屋さん」に力を入れ始めているのか?ということを考えた時、高齢化社会への対応ではないか?という気がしたのだ。
例えば、天井に備え付けてある照明器具の取り換えなど、高齢者になれば手が届かないとか、脚立に上って取り換えることに不安を感じるようになる。
家電量販店では、そのようなサービスをお願いしにくいが、顔見知りの「街の電気屋さん」であれば頼みやすい。
ついでに、避難袋の懐中電灯の乾電池もチェックしてもらったり、他の家電の不調も見てもらいやすいだろう。
「生活者からの親しみを持ってもらう」という資産は、どの企業にとっても欲しい価値の高い資産だ。
高齢者を対象として考えているとしても、継続的な付き合いの中で次の世代に引き継がれたり、地域全体に広がっていく可能性は高い。

街の電気屋さん側からすれば、「個人宅に上がることができる」ということは、大きなメリットにもなる。
なぜなら、そのお客さんの暮らしぶりがわかるからだ。
古いテレビを見ているなら、買い替えの提案もできるだろう。
何より、サイトを見てわかるのだが「住宅リフォーム」や「太陽光発電」のような、これまで電気店がしていなかったような提案を積極的にできるようになる。

そう考えると、パナソニックの考える「街の電気屋さん」は、家電商品を売るのはもちろんだが「暮らしの提案」をすることをビジネスの柱としているのでは?
事実ヤマダ電機などは、ハウスメーカーと共同で住宅リフォームや太陽光発電の販売をしている。
生活者にとって「店頭に行く」ということは、それなりの勇気(?)がいる行為だ。
だからと言って、1回の説明だけでわかるようなコトではない。
何度かは自宅に足を運んでもらい、細かな説明や打ち合わせがしたい、と考えるのも生活者の気持ちだろう。
そのような「きめ細やかな対応」が、「街の電気屋さん」であれば、日ごろの付き合いという「信頼関係」があり、スムーズに進めることができる。

パナソニックが「街の電気屋さん」に力を入れるのは、高齢化社会という社会変化の需要に対応するだけではなく、「信頼関係」という以前は当たり前だった資産を得ることのようにも思える。