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「受動喫煙」と病気

2017-05-22 16:48:29 | ライフスタイル

先週、「受動喫煙」について様々な話題があった。
その中でも、自民党部会で「がん患者は働かなくてもいい」という野次が飛んだ、という報道には驚くというよりも「喫煙による健康被害」の実態を知らないことに、言葉を失った。
しかもこの部会は、厚生労働部会だったという。
東京新聞:がん患者は働かなくていい」受動喫煙議論 自民部会でやじ?

元々、自民党内では「受動喫煙」に対して、今のままで(というよりも、今よりも喫煙に対して緩和したい?)という意見が多かったように感じている。
それだけヘビースモーカーの議員さんが多い、ということなのだろう。
そして今回の「がん患者は働かなくてもいい」発言が、飛び出したわけだが、この野次った議員さんは「喫煙=(肺)がん」という認識しか持っていらっしゃらないのでは?という気がした。
しかも今現在、がん患者がおかれている立場や「がん対策基本法」などの内容も理解されていないようだ。
毎日新聞:がん対策基本法 改正案に「企業は雇用継続努力」

今や「日本人の2人に1人が、がんになる時代」と、言われるようになって久しい。
がんの治療薬の研究・開発は進んでおり、新薬などは1年間服用すると家1軒分の費用が必要と言われている。
高額医療制度などの利用で、患者の負担額は10万円/月程度になっても、国の負担は増えるばかりだ。
もちろん、月10万円の治療費負担は、患者や患者家族にとっても大きな負担となっている。
だからこそ、働かなくてはいけないのだ。
しかも極力正社員で、安定した収入が無ければ、がん治療そのものが難しくなってしまう。
治療費+生活費を国が全額負担してくれれば、働く必要はないかもしれないが、そのようなことをしたら現在の赤字財政がより酷い状況になってしまう、ということは火を見るよりも明らかだ。

医療費の問題だけではなく、「改正がん対策基本法」でも謳われている通り、がん患者の就労は生活基盤の安定だけではなく、患者自身の生きがいという点でも重要だからだ。
「余命〇〇」と告げられても、生きがいを持っている患者さんは告げられた余命よりも、随分長生きをされることがわかっている。亡くなる時も入院期間が短く、静かで安らかな最期ということも言われている。
その2つの点で、がん患者の「生きる」権利と国の財政を理解していないことで、「働かなくてもいい」が飛び出した、ということになる。

それだけではなく、喫煙による健康リスクは「がん」という病気に限ったことではない。
循環器系の病気である、心筋梗塞や脳梗塞の発症原因の一つが喫煙である、という指摘は随分前からされている。
日本人の死亡原因の1位はがんだが2位は心筋梗塞や脳梗塞のような循環器系の病気だ。
循環器系の病気もその治療費は高額で、脳梗塞などを発症し一命をとりとめたが、その後寝たきりになってしまう患者さんも少なくない。
当然、それなりの医療費が個人にも国にも掛かってくる。

また、最近では3次喫煙などの問題が、クローズアップされてきている。
患者数が増えていると言われる「肺気腫」も喫煙が主な原因とされ、喫煙環境から逃れた30年後、40年後でも発症する、と言われている。
野次った議員さんは30年後、40年後はないかもしれないが、議員さんの喫煙で30年後、40年後に様々な病気を発症するリスクを垂れ流している、ということを知ってほしい。
厚労省:喫煙の健康影響に関する検討会報告書