日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

マックは、復活するコトができるのか?

2015-12-19 19:33:02 | ビジネス

昨日、マクドナルドのサラ・カサノバ社長が今年「全国行脚」を終えた、という記事が新聞に掲載されていた。
日経と朝日とは、記事の印象が随分違うように感じる。

日経新聞:マクドナルド、ネット注文を来年から カサノバ社長、全国行脚を完了
朝日新聞:マック再生、厳しい道 客数31ヵ月連続前年割れ

日経新聞のほうは、「タウンミーティング全国行脚」をした結果、顧客からの意見で新しい「ネット注文」というサービスを開始する予定である、という内容になっている。
一方、朝日新聞のほうは「全国行脚」の結果というよりも、その効果はどれほどであったのか?という点を、書いている。

カサノバ社長の「全国行脚」は、決して無駄ではなかったと思っている。
というのも、企業のトップが顧客から直接話を聞く、という姿勢は、ある程度顧客から好意的にみられる行動だからだ。
もう一つは、実際の現場を見て歩く、コトで見えてくる問題点があるからだ。
特にカサノバ社長が打ち出してきたメニュープランなどは、どうしてもアメリカ本社に向いているのでは?という気がしていたこと。米国と日本とでは「食」に対する生活者の感覚や考え方が違う。その違いを見つけるという点では、企業のトップであるカサノバ社長が、現場に行ってお客様の姿を見るということ自体、「違いを知る」良い切っ掛けとなってのではなか?という、気がしているからだ。

これまで、カサノバ社長になって以来、マクドナルドは様々なキャンペーンを展開してきた。
それはメニューであったり、お客様を待たせないなどのサービス面でのキャンペーンだったりした。
残念ながら、それが客数を増やし、客単価を上げるコトにはならなかった。
朝日新聞の見出しでもある通り、昨年の「鶏肉偽装事件」よりも前から客数は減ってきており、拍車をかけたのが「鶏肉偽装事件」であったということだということがわかる。

「鶏肉偽装事件」ショックが、いまだに尾を引き売り上げが、落ち続けているわけではないはずだ。
確かに「食品」を扱う企業にとって、「鶏肉偽装事件」はダメージの大きいモノだった。
ただ、それより以前から始まっていた「マック離れ」を分析し、新しい施策を打ち出すためには「生活者にとってのマクドナルド」ということから、考えなくてはならない。そのヒントは社長室にあるわけではない。お客様が持っている不満や不安、良い評価・悪い評価を聞くことしかないはずだ。

お客様は一体マクドナルドに対して、何を期待して店舗に来るのか?ファーストフード店の中でも好調なモスバーガーにあって、マクドナルドにはないモノはなにか?
そのような分析から、お客様の一つ一つの声を丁寧に拾い上げるコトで、V字回復まではいかなくても、ある程度の復活の光が見えてくると思う。
そのような行動を起こしたカサノバ社長は、まだまだマクドナルドをあきらめていないという気がする。