日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

今の日本に足りないものって、何だろう?

2011-10-23 08:40:48 | アラカルト
昨年3月に乳がんの手術を受けて以来、「乳がん」を含む「がん」という病気を勉強するようになった。
知れば知るほど、とても興味深い病気というだけではなく、とても個性的で一つとして同じではない、というコトに気がつく。
そんな中、すでに日本にある治療技術なのに、日本では積極的に行われず、海外で認められ逆輸入のようなカタチであらためて紹介される、というケースがあるコトも知った。

たとえば、乳がんで全摘手術をされその後乳房を再建するという手術がある。
現在、日本で一般的に行われているのは「腹部や背中の脂肪と筋肉を一部切除して移植」する「筋皮弁法」とシリコンなどの人工物を使うインプラントがある。
ところが、欧米などでは「穿通枝皮弁法」という、再建方法を希望される患者さんも多いという。
この「穿通枝皮弁法」という方法は、1989年日本で腹部の手術をし凹んでしまった腹部再建のために開発(というのだろうか?)された手術法。
それが欧米では、乳房再建の方法として一般化しつつあるというのだ。
この「穿通枝皮弁法」の大きな特徴は、現在日本で一般的な再建法よりも自然な形とやわらかさが再建できる、採取先の筋肉障害を起こさないというメリットがある。
乳房を失った女性からすれば、「乳房再建=左右同じような自然で柔らかな乳房」という意味なのだが、どうも医療の現場では「再建=作ること」で終わってしまっているようだ。

実際、この「穿通枝皮弁法」ができる整形外科の先生は、全国的にも数名だという。
せっかく日本で開発された高度な医療技術なのに、知られること無く、使われていないというのは「とてももったいない」と思うのは、私だけではないと思う。

医療現場と同じだと考えるのは乱暴だと思うが、同じようなことがいろいろなトコロで起きている。
たとえば、アップル社の「iPad」が発売された当初、世間の熱狂とは別に日本企業の一部関係者の間では「何も新しい技術などあるわけではない。作ろうと思えば自分たちでも作る技術はあった」というコトが言われたという。
その後、日本の企業が「Pad」に代わるような商品を発売するようになるのは、今年ソニーが発売した「ソニータブレット」間で待たなくてはならなかった。

「創意工夫をし、新しいモノをつくる」というのは、日本の得意だと思っていたのだが、どうも最近では違うように感じる。
まるで「相違工夫をし、新しい技術」はあっても、「新しい(生活を)創る」という発想に欠けているような気がするのだ。
それでは、オリジナリティの高い最先端の技術も、宝の持ち腐れとなってしまう。
問題だと感じるのは、「Pad」の時ように「技術的にはあるし、目新しい物ではない」と感じる、企業のほうだ。
日本の企業には「知的財産」獲得のために、研究・技術開発者に「(知的財産申請数)ノルマ」のようなものを掲げ、成果として評価するという時期があった。
いくら知的財産が増えても、使われないのでは財産ではないはずだ。

そのように考えると、今の日本に足りないもが見えてくるような気がする。