日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「市場ができる」と言うコト

2011-10-11 16:04:08 | マーケティング
これから秋本番という時期だが、百貨店やスーパーだけではなくコンビニではすでに、季節は「冬」となりつつある様だ。
百貨店の広告やサイトを見ると、「おせち料理予約受付」が始まっている。
もちろん、お正月前にあるクリスマスのケーキの予約受付も、当然のコトながら始まっている。
そんな「クリスマスケーキ」の予約受付のコンビニのカタログチラシを見ていたら、カタログの終わりのページにプチケーキサイズの大きさのケーキがあった。
私のような「一人用クリスマスケーキ」かと思ったら、なんと!ペット用ケーキだった。

ペットの犬や猫の好み(と言うのは、どうして分かるのか。とても不思議なのだが)の味付けと、ペットに害を与えないような食材をタップリと使ったモノだろう。
この「ペット用クリスマスケーキ」の予約を見て、考えたコトがある。
それは「市場ができる」というコトだ。

おそらく「ペット用クリスマスケーキ」が登場したのは、20数年前だと思う。
名古屋ではある百貨店が、クリスマス直前に売り出し話題になった。
その年から、その百貨店では「ペット用クリスマスケーキ」を売り出す様になったのだが、発売した年から数年間は「ペットにケーキなんて・・・」と、批判的な雰囲気があった。
その当時から、「ペットは家族」というコトは言われていたと思うのだが、コト「食べ物」に関しては「人間とペット」の線引きというものは明確にあったと言う気がする。
もちろん、今でもペットにはペットフードが中心で、人と同じモノを食べると言うコトは、殆ど無いと思う。
逆に半世紀ほど前までは、飼い犬や飼い猫に人間が食べた残飯を「猫まんま」として与えていたが、今、その様なコトをしたら「虐待」と言われかねない。
ペットフードの歴史と市場の形成というのは、「人とペットの別食」から始まったようなトコロがある。

ところが、その「人とペットの別食」が一般的になった頃に登場したのが、「ペット用クリスマスケーキ」だったのだ。
だからこそ「初ペット用クリスマスケーキ発売」の頃は、「際物扱い」の様な報道のされ方もされたし、「市場として残っていかない」と言う見方をされたと言う記憶がある。

それから30年近く経った今では、「ペット用クリスマスケーキ」は一般的になり、コンビニの「クリスマスカタログ」にも当然のような顔をして登場するようになった。
と言うコトは、「ペット用クリスマスケーキ」という市場は完全にできあがりつつある、と見ることができる。
と言うよりも「ペットグルメ市場」と考えた方が良いのかも知れない。
単に「ペットフード」という市場では無く、人と同じ感覚でクリスマスやお正月などの特別なペット行事食と言うコトだ。

おそらくその様な「人と一緒の特別なペット行事食」という市場は、日本くらいなのではないだろうか?
30年ほどの間でそのくらい日本のペットは、家族として大事にされ、「人と同じ体験をさせたい」という買い主の考えが当たり前になってきた、と言うコトなのだと思う。

コンビニの「クリスマスケーキ予約」のチラシを見ながら、「一つの市場ができるコト」を実感したのだった。