はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

終盤探検隊 part128 ≪亜空間最終戦争一番勝負≫ 第27譜

2019年07月27日 | しょうぎ
≪最終一番勝負 第27譜 指始図≫ 7三同銀まで

 指し手  ▲4一角


   [ミラーマン]
 朝焼けの光の中に立つ影は
 ミラーマン
 鏡の世界を通り抜け
 「今だ!キックを使え、目だ!」
 ミラーナイフが宙を切る
 戦え 僕らのミラーマン
  (『ミラーマンの唄』作詞:東京一 作曲・編曲:冬木透 唄・植木浩史、ハニー・ナイツ)




<第27譜 チャンスが来たか!?>



 これは、≪指始図≫の一手前の局面。ここで7五銀なら先手が苦しい。
 後手はこの一瞬、有利に運ぶチャンスを得たのだった。

 後手の手を待つ時間に、我々(終盤探検隊)は、自分の指した7三歩成が“悪手”だった、と自覚した。
 歯を食いしばって、次の状況に備えていた。どうやって、この危機を凌ごうか―――と。

 そして、後手(=≪亜空間の主(ぬし)≫)は、△7三同銀 を指した。

≪指始図≫ 7三同銀まで
 「これはチャンスが来たのではないか!?」―――と、この手を見て、我々(終盤探検隊)は思った。
 △7三同銀も“悪手”ではないか。直感的にそう感じたのだった。

 一手前の我々の指し手▲7三歩成が、たしかに失着であったことは前回に確認した。
 ▲7三歩成は、後手7五銀と出られると、「7三のと金」が有効に働かないと「一手パス」になってしまうし、7筋に歩が攻めに使えるようになったことも、後手にプラスになっている。
 我々はなぜかふらふらと▲7三歩成を指してしまったのである。(そのときの思考内容はすでに覚えていないが、瞬間的にこの手が良い手だと錯覚してしまったのだろう)
 予定の8七玉なら、先手が有利だったのに……。

 △7三同銀
 おそらく、これも“悪手”だろう。後手はチャンス(7五銀)を逃した。
 “悪手が悪手を呼んだ”のかもしれない。
 この局面の形勢はまだはっきりしない。ただ(感覚的に)△7三同銀が甘い手だったことはわかる。

 さあ、ここで踏ん張って(落ち着いて)正しく指すことが大事である。ここからが、勝負だ。「勝ち」があることを信じて、頑張ろう。浮足立ってもいけない。

 ここでは、「8七玉」と、「6七歩」と、それから「4一角」が有力手である。

 それ以外の手は、うまくいかない。まずそのことを確認しておこう。

2五香図1
 たとえばここで「2五香」(図)とする。
 それには、“7五桂”が後手の返し技である(次の図)

2五香図2
 次に6六とまでの“詰めろ”だ。7七玉と逃げても、6七と、8八玉、7六桂と追い詰められて先手勝てない。
 なのでここは8五歩とするが、それには6六と、8六玉、7四桂がピッタリの手で、以下9七玉、7七と、9八金、8五金となる(次の図)

2五香図3
 先に「2五香」を打っておいた効果で、ここで2六飛という攻防の手がある。
 しかし、2六飛、8六金、同飛、同桂、同玉、8四銀、同馬、同歩、7五玉、6四飛(次の図)

2五香図4
 2三香成から詰んでいればこの順で先手有望だったが、詰みはない。
 この図は、6六銀、8六玉、7五角までの三手詰になっており、後手勝勢である。
 この通り、「2五香」には、“7五桂”があって、先手が悪い。

≪指始図≫(再掲) 7三同銀まで
 同じく、ここで「5四歩」にもやはり、“7五桂”があって、あっさり先手不利になる。
 つまりここでは7六玉型のまま後手に“7五桂”と打たれる形を回避しなければいけない。それには、「8七玉」か、「6七歩」(7五桂と打たれても8五歩で後手の6六とがないので先手が良い)ということになる。
 さらに、ここで「4一角」もある。ただし、「4一角」は3二歩と受けられるが、そこでやはり先手は「8七玉」と「6七歩」の2手の選択に迫られる。
 つまり、ここでの先手の手順の選択肢は次の4通りということになる。
  (1)8七玉
  (2)6七歩
  (3)4一角、3二歩、8七玉
  (4)4一角、3二歩、6七歩


[調査研究:8七玉]

8七玉図(今回のテーマ図)
 今回の譜では、「(1)8七玉(図)でどうなるか」をテーマにしたいと思う。(この結論は簡単ではない)

 2手前の―――7三歩成、同銀を交換する前の―――8七玉は「先手良し」になった。(→第25譜
 それとはまた状況が変わってきている。後手の銀を7三に引かせたのは先手にとってプラス。しかし7筋に歩の攻めが利くようになったのは、マイナスになる。
 さて、ここでの「8七玉」で、先手良しになっているのかどうか。

 この図での後手の最善手は 7五桂 であるとして、以下の研究調査を進めていく。
 先手は「9七玉」(次の図)

9七玉図
 ここで後手の選択肢は2つ。
 「6六と」と、「7六歩、7八歩、6七と」(単に6七とだと先手7六歩があるので先に7六歩と打っておく)である。
 結論から言うと、「6六と」はわりと簡単に先手良しになる。よって後者の「7六歩、7八歩、6七と」が最善手順となる。

 まず「6六と」以下を見ておこう。

後手6六と基本図
 「6六と」(図)に対しては、先受けして、「8九香」とするのが良い(次の図)

後手6六と図01
 「8九香」(図)と受けた。
 ここで後手が先手に迫る手は、7六と7七と が有力だ。
 
 7六と には、4一角、3二歩、3三歩成、同銀、5二角成という、もう何度も見てきた攻めを敢行する(次の図)

後手6六と図02
 先手良し。5二同歩は3一飛だし、他に後手有効な手もない。8九香と先受けした効果で、先手玉に有効な詰めろがかからない(8七桂成、同香、7五桂は、7九桂で受かる)

 それでは、7六と に代えて、7七と ならどうか。

後手6六と図03
 7七と には、7六歩(図)がある。
 7六同とでは、先ほどと同じなので、後手6七桂成しかなさそうだが、それにもやはり4一角以下、同じ攻めで先手が優勢になる。

 このように、「6六と」には、「8九香」で、先手良しになるということがわかる。

6七と図
 そういうことで、後手の本筋の手は、「9七玉図」から、「7六歩、7八歩、6七と」(図)ということになる。
 ここで同じように、8九香と打つのは、今度は7八とが香取りになるので、これは後手良しとなる。「6七と」は、つまり先手の8九香を封じているのだ。
 そして後手は、先手の手を見て、次に“7八と”と指すか、“7七歩成、同歩、同と”で先手玉に詰めろをかけるかを選択できるという状況だ。

 先手の“次の手”が形勢を大きく左右する。さあ、何を指すか。
 最新ソフトはここで3筋に香車を打つ手を推奨してくる。まずそれから考えよう。

変化3九香基本図
 〔A〕3九香(図)。
 ここで後手7八となら、先手が勝ちになる。8四馬、同銀、3三金、同桂、同歩成、同銀、1一角、同玉、3一飛、2一合、2二金、同玉、3三香成以下、“詰み”
 なので、後手は7七歩成、同歩、同とと迫ってくる。
 先手は9八角とこれを受ける。後手は7六歩(次の図)

変化3九香図01
 ここで3四歩なら、8七と、同角、同桂成、同玉、7五桂、7六玉、5八角、7七玉、7六歩、8八玉、6六銀(次の図)

変化3九香図02
 こうなって、後手優勢。
 7八歩の受けには、7七歩成、同歩、7六歩と攻められて先手が勝てない。
 今の手順で、ポイントは5八角と打つところで、これによって、6六銀と出たときの先手の3三歩成、同銀、同香成、同玉、3六飛という両取りを消している。

変化3九香図03
 よって後手7六歩に、7八歩(図)と打つのが正着となる。
 これを同となら、3四歩が先手で入る。以下、3二歩には、3三歩成、同歩、3四歩、同歩、2六桂で、これは「3九香」作戦の理想的な展開になる。
 といって、先手7八歩に、後手8七とと行くのは、同角、同桂成、同玉となるが、先手に桂馬が入ると3四桂の攻めも生じ、これも先手ペースになる。
 したがって、先手7八歩には3四歩と受けるのが後手の最善手。これを同香とする攻めは後手としては恐くない。今度は8七と、同角、同桂成、同玉の攻めが有効になり、以下7五桂、9七玉に、9五歩で、これは後手優勢。

 先手はだから、この図から、7七歩、同歩成、7六歩とする。
 以下6七桂成で、後手の攻めを遅らせることができた。
 そこで4一飛と打って、どうか(次の図)

変化3九香図04
 4一飛(図)と先手は飛車を打った。
 後手はこれを2一桂と受けるのが良い。この桂は3三に利かせる意味もある(受けないと8四馬、同銀、2一金の寄せがある)
 先手はここで5四歩。これを同銀は5三歩で、4四銀または6四銀は6三金で、先手が勝勢になる。(3二玉は有力。しかし5三歩成以下先手良しの調査結果となった)
 よって後手は6二銀左。これが最善手。
 そこで先手6一竜という手が攻めの継続手。 後手は3二玉(次の図)

変化3九香図05
 3二玉(図)は、先手の狙いの5二竜、同歩、4二飛成を受けつつ、飛車取り。
 ここで先手は2二金。これに同玉なら、いまの5二竜以下の攻めが炸裂するが、先手は4一玉と応じる。飛車を取った。
 そこで先手8四馬(金を入手)だが、後手は詰めろを受けて、3一銀(次の図)

変化3九香図06
 3一銀(図)がうまい切り返しだった。後手に金が入ると、先手玉は8七金以下詰まされる。
 この図から、7五馬、6四歩、1二金が想定される。しかし、5八飛、8九香に、7八成桂と進んで、そこで先手からのよい攻めがないので、後手勝ちの判定になる。

変化3九香図07
 今の手順を途中まで戻り、4一飛と打つ手に代えて、3五歩としたのがこの図。
 3五同歩なら、そこで4一飛と打って、今度は3四歩があるので攻めの迫力が大分違う。
 しかし――――(次の図)

変化3九香図08
 先手3五歩を手抜きして、8七桂(図)が後手の速い攻めである。
 以下、同角、同と、同玉、6九角、9七玉、7七成桂、9八金、9五歩、同歩、7六成桂(次の図)

変化3九香図09
 後手勝勢である。(次の後手の狙いは9六歩、8八玉、6六銀。8七桂と受けても、9六歩、同玉、8七成桂、同金、7五桂)

 以上の検討により、〔A〕3九香(図)は、7七歩成以下後手良し、とわかった。




変化2五香基本図
 〔B〕2五香
 この手は、最新ソフトはあまり重視していなかったが、調べてみるとかなり有力で、先手が勝てそうな変化が多い。
 以下、7七歩成、同歩、同とに、9八金と受けることになる。
 そこで例えば後手が7六歩と攻めの手を指してくれば、その手は詰めろではないので、2六飛、3一桂、4五角で、先手有利になる。そうなると後手に受けが困難である。
 したがって、後手は3一桂と受けることになる。「2三」を先受けしたことで、先手2六飛には4四銀上を用意した。先手の4五角を消しながら次に後手3五銀から飛車を捕獲する手があって、先手2六飛の攻めはうまくいかない。
 先手は 7八歩 と打つ(次の図)

変化2五香図01
 この 7八歩(図)を同となら、7六歩、6七桂成、4五角(次の図)

変化2五香図02
 4五角(図)と打たれ、7七成桂なら、2三香成、同桂(同玉は3三歩成、同玉、1二角成)、2六飛で先手有利。
 後手9五歩で勝負。以下、2六飛、9六歩、同玉、9五歩、9七玉、8四馬(次の図)

変化2五香図03
 先手勝ちになった。 7八同となら、先手が良くなる。

変化2五香図04
 ということで、先手の7八歩に、後手は7六歩(図)と対応することになる。 

 すると、〔B〕2五香 は、千日手、が結論となるのか。
 仮に、この「最終一番勝負」が「千日手」となれば、次の参考図(=亜空間初形図)から、“先後を入れ代えて”のやり直し勝負となる。

参考図(亜空間入口図)
 しかしこの図は、もうずいぶんと調査が進んで、どうやらこの図は先手に勝ち筋があることがわかっている(はじめはそれが見つからず困っていたのだったが)
 そして、それはもう後手番の≪亜空間のぬし≫もわかっているはずである。
 それなら、“先後を入れ代えて”、後手番を持つことになるのは、限りなく負けに等しい。

 つまり、「千日手は先手不利に等しい」ということになるのである。「千日手」では、我々(終盤探検隊)は困る。

 千日手を打開する手は何かないか。

変化2五香図05
 ということで、7八歩 を打つところで、代えて、3七角(図)でどうか。
 これには6四銀上が常識的な対応だが、6五歩や5九角で、結局金か銀を取られてしまうので、それなら無理に受けず“6六銀”と攻めに銀を使う手が良い手になる。
 7三角成に、7六と。
 ここで2六飛と打って、7七銀成に7八銀と受ける手はある。しかし、同成銀に、7六飛、8九銀と進むと、どうやら後手が良い。
 先手8五歩という手が面白い手だ。これでどうなるか。8五歩(図)を同金は、8九飛と打つ意味で、こうなると先手ペースになりそう。
 だが、8五歩に、6三金が絶妙な切り返しである(次の図)

変化2五香図06
 6三同馬と取らせて、7七銀成で後手良しという狙い。(6二金もあるが、4六馬と引かれたとき、以下7七銀成、5五馬、4四歩という展開になったとき、6三のほうがより働きが良い)
 6三金に、先手は3三歩成を利かす。同銀に、5一馬と入る。後手玉は、3二飛以下の“詰めろ”だ。
 なので後手は4二銀右と受ける。4一馬に、7七銀成(次の図)

変化2五香図07
 後手優勢である。

変化2五香図08
 もう一つの手は、先手7八歩 に、後手が7六歩とした場面で、そこで「3七角」(図)とする手。
 今度は6六銀、7三角成の展開は先手が得だ(後手の攻めが渋滞している)
 なので後手6四銀右と受け、先手は6五歩。以下、6六歩、6四歩、6七歩成。
 そこで8五歩、同金を入れてから、5五角が先手の工夫。
 4四銀に、8六銀(次の図)

変化2五香図09
 5五角、4四銀に、角を逃げていては勝負にならないので、8六銀(図)と打った。 同金、同玉なら、先手が良い。
 なので、5五銀、8五銀と進み、そこで7六銀打で頑張る。
 以下、7四歩(次の図)

変化2五香図10
 9四馬、9三歩、同竜、8七桂成、同金、同と、同銀、7七と、9八銀、7五角(次の図)

変化2五香図11
 8六金、9三角、同馬、8八金(好手)、9五歩、9九金、8七銀、8四香、同銀、同歩、同馬、7八銀(次の図)

変化2五香図12
 この図は後手良し。
 ただし、この変化は、勝負的には「互角」に近く、一手でも後手が間違えると先手が勝てそうなところはある。しかし調査研究の結果は、とりあえず「後手良し」とする。

 以上の調査により、〔B〕2五香 は後手良し、が結論となる。
 (「千日手」に持ち込むことはできるが、それは先手不利の「亜空間初形図」の後手番になるのでつまらない)


6七と図(再掲)
  〔A〕3九香 → 後手良し
  〔B〕2五香 → 後手良し(または千日手)
  〔C〕8八金
  〔D〕4一角

 〔C〕8八金 は、先手勝てない。
 〔C〕8八金に、6六銀とされ、この2手の交換は、先手に攻める駒が少なくなった分、先手が損をしている。
 よって、
  〔C〕8八金 → 後手良し
 となり、先手番の勝利への希望は、〔D〕4一角 に託されることなるわけである。


変化4一角基本図
 〔D〕4一角 には、後手3二歩。
 そこで先手の攻めは2種類ある。
 「3三歩成、同銀、5二角成」 と、「3三香」 である。

変化4一角図01
 「3三歩成(図)、同銀、5二角成」 は、5二同歩なら、3一飛で先手が良し。
 しかしそうは進まない。7七歩成、同歩、同ととなり、先手玉が“詰めろ”である。
 そこで先手は4三馬がある。
 しかしこの場合、以前に見てきた場合と異なるのは、そこで後手に“7六歩”という手があることだ(次の図)

変化4一角図02
 これには、8九香と受けるしかないが、そこで後手は4二銀左(4二銀右は5四馬で先手がやや指しやすい形勢)、2五馬、8七と、同香、7七歩成(7六歩の効果でこの攻めがある)、9八金(次の図)

変化4一角図03
 金で受けるしかないが、8七と、同金、同桂成、同玉、7五桂と、休まず攻め続けられ、7七玉に、6六歩、6八歩、6四香、3四桂、3三玉(次の図)

変化4一角図04
 後手勝勢の図である。
 「3三歩成、同銀、5二角成」 の攻めは先手に勝ち筋がなかった。

変化4一角図05
 「3三香」(図)が、“最後の手段”である。
 「3三香」 には、3一銀が後手の最善の受け。
 以下、5二角成、7七歩成、同歩、同と、4三馬と同じように進む(次の図)

変化4一角図06
 「3三香」が刺さっているところが先ほどと大きな違いで、3二香成、同銀、3三金からの“詰めろ”なので、今度は後手7六歩は利かない。またここで4二銀右も、3二香成、同銀、3三金から詰む。
 よって、この図では、後手は8七桂成から馬を消す手段に出るしかない。8七桂成、同馬、同と、同玉。
 さらに、7五桂、9七玉、6九角、8八金、9五歩と進行しそうだ(次の図)

変化4一角図07
 後手に持駒が歩しかないので、先手が良さそうに見えるが、実はそうでもない。7筋に歩も使えるし、形勢は予断を許さない(つまり「互角」だ)
 もう少し先まで、調べよう。
 ここは先手9八玉が最善手とみる。
 攻める手は5一竜だが、ここで5一竜は、6二銀右と応じられると、6一竜、5一歩のような展開になり、これは後手ペース。5一竜に、“4一竜”としたいのだが、9六角成が王手竜取りになっている。
 だから9八玉なのだが、9八玉に、後手6二銀右のような手なら、5七飛の“両取り”があって先手が良い。また7七歩は6八金でこれも先手良し。
 なので後手は9六歩だが、そこで先手は5一竜とする。
 (代えて5七飛はここでは遅い。3三桂から9七香の後手の攻めが早い。また、4一飛も、9七歩成、同玉、4二銀右、4三歩、3三桂以下、後手良し) 

変化4一角図08
 5一竜(図)と待望の手を指せた。
 ここで後手が何を指すか。6二銀右は、今度は4一竜があって無効。4二銀引も、3二香成、同玉、5二飛という手で、後手玉が寄る。
 なので、後手は9七歩成、同玉と、細工をしておいてから、4二銀引。これなら、先手は香車を渡せないので、5五竜と銀を取っておくことになる(次の図)

変化4一角図09
 5五竜(図)として、駒得をしたし、竜も使えそうだしで、先手が優勢になったと思いたいが、実はまだ形勢がはっきりせず、「互角」というしかない。
 ここで後手は3三歩または、3三桂が有力手となる(香車を取って9六香と打つ狙い)
 3三歩、同歩成、同銀、7八歩、9六歩、9八玉、9七香という展開が予想される。
 この後手の攻めは簡単には切れず、まだまだ厳しい戦いが続く。

 ここまでで調査を打ち切り、「形勢不明(互角)」としたい。
 すなわち、〔D〕4一角 は、3二歩、3三香以下、「形勢不明(互角)」


6七と図(再掲)
  〔A〕3九香 → 後手良し
  〔B〕2五香 → 後手良し
  〔C〕5八金 → 後手良し
  〔D〕4一角 → 形勢不明(互角)

 つまり、まとめるとこのような調査結果である。
 ≪指始図≫で、先手が「8七玉」の手を選ぶと、どうやらこの 〔D〕4一角 の「形勢不明」の変化に飛び込むことになりそうだ。


変化後手7六歩基本図
 さて、「8七玉図」から、7五桂 以下を調査研究してきたのだが、「7五桂」を打たない手段が後手にあるかどうかを確認しておきたい。

 他の手を指すとすれば、7六歩 だ。
 以下、7八歩、6七とで、次の図となる。

変化後手7六歩図1
 後手としては「7五桂」と打てば、いつでも先ほどの順に戻すこともできるので、打たないで置いたほうが手が広いということは言える。
 もしもここで、先手9七玉ならどうなるだろう?

変化後手7六歩図2
 後手7八と(図)。 後手が「7五桂」を打たない変化を追求するならこの手になる。
 この図はどちらがよいのか。
 先手は、後手の7七歩成が来る前に攻めたいところ。とはいえ、角を渡せない状況なので、どう攻めるか難しい。
 4一角、3二歩、3六飛でどうか(次の図)

変化後手7六歩図3
 3六飛(図)は後手玉への詰めろではないが、7七歩成なら、3三香と打って、先手が攻め勝つ。4四銀引と受ければ、7六飛だ(先手良し)
 3一銀と受けるのが後手のベストな手で、それでも3三香なら、4二金と受けて、受かっている。それははっきり後手良し。
 だから先手は2六香と打って、2三香成、同玉、3三金の寄せを狙う。後手はそれを1一桂と受ける(2六香と1一桂の交換は少し先手が得)
 そこで7六飛とする。これで先手良さそうに見えるが、まだはっきりしない。
 6二銀引、7八飛、4二金(次の図)

変化後手7六歩図4
 3一銀と引いた効果で、ここで4二金(図)が指せる。
 これで先手の角は行き場がなく、7四角成、同金、同飛となりそうだが、そこで6六歩として、どうやらわずかながら「後手良し」なのである。(最新ソフト「dolphin1/Kristallweizen」評価値は-312)

変化後手7六歩図5
 9七玉で先手不満となれば、先手は他の手をさがす必要がある。
 ということであれば、4一角からここで攻めていくか。試しに、やってみよう。
 4一角、3二歩、3三香、3一銀、5二角成(次の図)

変化後手7六歩図6
 ここで「7五桂」は、上の変化に合流する(「形勢不明」の結果になった)
 それを後手が“もっとよくしたい”ということであれば、ここで7七歩成、同歩、5二歩と取ってどうか。
 以下、4一飛(4二銀と応じる手は同飛成で無効)に、5四角(次の図)

変化後手7六歩図7
 9七玉に、8一桂だ。
 これには同竜。以下、同角、同飛成、4二銀引に、3二香成。
 3二香成を同玉は、2四桂以下“詰み”
 なので3二同銀だが、先手は5四桂(次の図)

変化後手7六歩図8
 5四桂(図)は3一角以下“詰めろ”なので7七とは間に合わない。
 ここで3一飛と受けるのが最強のがんばりだが、4二桂成、8一飛に、3六角と打つ手が、次に3二成桂、同玉、3三銀以下の“詰めろ”になっている。
 先手勝勢である。

 ということで、後手は結局、「7五桂」と打つ形にするのが“最善”で、それ以外の手は負けになるとわかった。すぐに「7五桂」を打つ必要もなさそうだが、結局その形に戻ることになるようである。


6七歩図
 さて、もう一つ、(2)6七歩(図)がある。 今調べた (1)8七玉 と並んで有力な候補手である。
 ただし、これは今回は調査しない。

 そして我々終盤探検隊が選択して指した手は、このどちらでもない、“第3の手”だった。



≪最終一番勝負 第27譜 指了図≫

 ▲4一角 である。

 我々は―――終盤探検隊は―――この手をずっと指したいと思っていた。



第28譜につづく
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