先日、初台の新国でオペラ「チェネレントラ」を見てきました。
忙しくて時間がなく、チケットは送られてきたものの(パンフレットに「シンデレラ異聞」を書いたので)、行こうかどうしようか迷っていたら、友人の音楽評論家・加藤浩子さんから、「これほど凄いメンバーのそろったプロダクションは最近めったにないから絶対行くべき!」と勧められて、一幕だけでも、と見てきました。
ほんと、実力者ぞろいで堪能しました。最近は不景気+チケット代高値安定+引越し公演めじろ押しのため空席の目立つオペラですが、今回は超満員。舞台も客席も熱気むんむんの楽しい一夜になりました。
ロッシーニの弾むような音楽と誰もが知るシンデレラストーリーを笑いにまぶした脚本ときては、これほど初心者向けのオペラはありません。
以下、「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)での前書きを再録ーー
本書はゼロ地点から出発する大人のための「オペラ」入門である。
一度きりの短い人生なのだから、せめて一度くらいはオペラなるものを観てもいいかな、と思っている方々への招待状だ。オペラならどれも大して変わらないだろうと、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を選んでしまい、数万円も払って死ぬほどの退屈と眠気と戦う・・・などという情けない事態(「トリスタンとイゾルデ」は上級者向けの最たるもので、評論家さえ「心地良い眠気に誘われるのもまた良し」とトンデモ評を書くほど)に陥らないためにも、少々勉強してからのほうが失敗の確率は低い。一夜漬けで最低限の知識を仕入れて劇場へ行きましょう、というのが本書のコンセプトだ。
ところでオペラといえばいまだに「太った女性が、まるで鶏が首を絞められるような声で歌う」と思い込んでいる人が多いのではないだろうか?
前半は間違い。今やどの世界もビジュアル重視になっており(必ずしも肯定できないのだけれど)、オペラ歌手も驚くほどスマートな美男美女ぞろいになっている。
後半は正解。日本人の耳には異常音としか聞こえない。でも慣れというものは恐ろしいもので(?)、これは確約できるが、いったんオペラに嵌まると鶏の悲鳴も美声に思えてくるから不思議だ。子どものころは甘味しかわからなかったのに、大人になれば苦味や渋味も味わえるようになるのと似ている。
なんといってもオペラはとてつもない人工世界で、全てがわざとらしさにあふれているわけだから、最初の敷居が高い。そこさえクリアしてしまえば、なぜこんな声で歌うのか、いや、なぜこんな声で歌わなければ感動を伝えられないのかがわかってくる。
そしてわかった瞬間、まったく未知の世界が夢のように拡がってゆき、「究極の大人の趣味」といわれるオペラはあなたのものになる(はずだ)。
ーーというわけで、「シンデレラ」「椿姫」「ファウスト」「ホフマン物語」「カルメン」の5作を取り上げています。
☆ 9月から東京・六本木の国立新美術館(来春1月からは京都国立博物館)で「THEハプスブルク展」が開かれます。池田理代子さんとともに、その公式サポーターになりました⇒ http://www.habsburgs.jp/supporter.html
☆集英社文芸ブログ「レンザブロー」で連載中の「王妃たちの光と闇」、更新されました。今月から「イワン雷帝の七人の妃」です。⇒ http://renzaburo.jp/
☆「オール読物」七月号がでました。新連載「絵で読む神話」の第2回は「オルフェウスの首」。モローとコローの二作品について書きました⇒ http://www.bunshun.co.jp/mag/ooruyomimono/
☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。
3刷になりました。ありがとうございます♪
☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。<愛のフェア>本の一冊ですので、帯の写真は松山ケンイチさん♪「女の恋は 激しく、哀しい」がキャッチコピーです。
☆最新刊「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、6刷になりました♪
☆最新刊「危険な世界史」(角川書店)
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html
☆「怖い絵2」、6刷中。
月刊誌『ダ・ヴィンチ』6月号194ページに載っています。ごらんください。
☆「怖い絵」12刷中
忙しくて時間がなく、チケットは送られてきたものの(パンフレットに「シンデレラ異聞」を書いたので)、行こうかどうしようか迷っていたら、友人の音楽評論家・加藤浩子さんから、「これほど凄いメンバーのそろったプロダクションは最近めったにないから絶対行くべき!」と勧められて、一幕だけでも、と見てきました。
ほんと、実力者ぞろいで堪能しました。最近は不景気+チケット代高値安定+引越し公演めじろ押しのため空席の目立つオペラですが、今回は超満員。舞台も客席も熱気むんむんの楽しい一夜になりました。
ロッシーニの弾むような音楽と誰もが知るシンデレラストーリーを笑いにまぶした脚本ときては、これほど初心者向けのオペラはありません。
以下、「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)での前書きを再録ーー
本書はゼロ地点から出発する大人のための「オペラ」入門である。
一度きりの短い人生なのだから、せめて一度くらいはオペラなるものを観てもいいかな、と思っている方々への招待状だ。オペラならどれも大して変わらないだろうと、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」を選んでしまい、数万円も払って死ぬほどの退屈と眠気と戦う・・・などという情けない事態(「トリスタンとイゾルデ」は上級者向けの最たるもので、評論家さえ「心地良い眠気に誘われるのもまた良し」とトンデモ評を書くほど)に陥らないためにも、少々勉強してからのほうが失敗の確率は低い。一夜漬けで最低限の知識を仕入れて劇場へ行きましょう、というのが本書のコンセプトだ。
ところでオペラといえばいまだに「太った女性が、まるで鶏が首を絞められるような声で歌う」と思い込んでいる人が多いのではないだろうか?
前半は間違い。今やどの世界もビジュアル重視になっており(必ずしも肯定できないのだけれど)、オペラ歌手も驚くほどスマートな美男美女ぞろいになっている。
後半は正解。日本人の耳には異常音としか聞こえない。でも慣れというものは恐ろしいもので(?)、これは確約できるが、いったんオペラに嵌まると鶏の悲鳴も美声に思えてくるから不思議だ。子どものころは甘味しかわからなかったのに、大人になれば苦味や渋味も味わえるようになるのと似ている。
なんといってもオペラはとてつもない人工世界で、全てがわざとらしさにあふれているわけだから、最初の敷居が高い。そこさえクリアしてしまえば、なぜこんな声で歌うのか、いや、なぜこんな声で歌わなければ感動を伝えられないのかがわかってくる。
そしてわかった瞬間、まったく未知の世界が夢のように拡がってゆき、「究極の大人の趣味」といわれるオペラはあなたのものになる(はずだ)。
ーーというわけで、「シンデレラ」「椿姫」「ファウスト」「ホフマン物語」「カルメン」の5作を取り上げています。
☆ 9月から東京・六本木の国立新美術館(来春1月からは京都国立博物館)で「THEハプスブルク展」が開かれます。池田理代子さんとともに、その公式サポーターになりました⇒ http://www.habsburgs.jp/supporter.html
☆集英社文芸ブログ「レンザブロー」で連載中の「王妃たちの光と闇」、更新されました。今月から「イワン雷帝の七人の妃」です。⇒ http://renzaburo.jp/
☆「オール読物」七月号がでました。新連載「絵で読む神話」の第2回は「オルフェウスの首」。モローとコローの二作品について書きました⇒ http://www.bunshun.co.jp/mag/ooruyomimono/
☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。
3刷になりました。ありがとうございます♪
☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。<愛のフェア>本の一冊ですので、帯の写真は松山ケンイチさん♪「女の恋は 激しく、哀しい」がキャッチコピーです。
☆最新刊「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、6刷になりました♪
☆最新刊「危険な世界史」(角川書店)
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html
☆「怖い絵2」、6刷中。
月刊誌『ダ・ヴィンチ』6月号194ページに載っています。ごらんください。
☆「怖い絵」12刷中