中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

ヴィスコンティに恋したゼッフィレッリ(世界史レッスン<映画篇>)

2009年04月14日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第13回は、「ヴェネチア解放の混乱の中で」 ⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/04/post-d8ef.html#more
 ヴィスコンティの「夏の嵐」の背景になった、ヴェネチア独立運動について書きました。19世紀半ばまでこの水の都は、ハプスブルク家の所領だったのです。

 さて、イタリアのヴィスコンティ家だが、シャルルマーニュの子孫で、かつてはミラノの支配者という超のつく名門。ルキノ・ヴィスコンティ自身、伯爵の称号を持つ。もちろんそれだけではどうってことはないが、彼はオペラの演出や映画の監督として、40歳ですでに「伝説の人」と化していた。

 彼についてはたくさん本が出ているが、以前も紹介した「ゼッフィレッリ自伝」(創元ライブラリ)がめちゃくちゃ面白いのでぜひ読んでほしい。

 これは彼を恋し、彼に愛され、最後は離反することになったゼッフィレッリが、愛憎半ばする筆致で語ったものなので、ヴィスコンティの生の姿があぶりだされている。男同士の恋愛の複雑さは、男女の恋愛のそれをはるかに凌ぐ感じで圧倒されてしまう。

 まるで小説のようなのだ。一方は名門出身のエレガントな中年、他方は下層から這い上がろうとする野心満々の若者。どちらも美貌で卓越した才能の持ち主だ。

 若者が伯爵を初めてその目で見たのは、舞台稽古中だった。裏方として臨時雇いされた彼は、演出する伯爵が猛烈な癇癪を起こして口汚く罵っている姿にゆきあう。そしてその「掛け値なしの癇癪に心躍った」。恋に落ちた瞬間である。

 そこからどうやって自分をアピールし、目をとめてもらうか、ベッドに入れてもらうか、愛し続けてもらうかが赤裸々に語られる。凄い、の一言だ!


☆今後の講演など

 5月23日(土) JTBカルチャー新宿で、「怖い絵」関連のレクチャー(朝日カルチャーセンターでの講義とは別ヴァージョンです)。⇒ http://jtbculture.com/search/detail.php?seq=3&ge=1&se=

 6月12日(金)は銀座の国際フォーラムで、日本呼吸器学会の基調講演。これはお医者様の学会員のみの参加になります。⇒ http://www.jrs.or.jp/jrs49/convocation.html

☆「恋の嵐」プレゼント中♪⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/03/post-f3dc.html

☆☆4月に講談社+α文庫でオペラ本が出ます。『おとなのためのオペラ入門』!詳しくはまた近づいてから。
おとなのための「オペラ」入門 (講談社+アルファ文庫 D 61-1)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。<愛のフェア>本の一冊ですので、帯の写真は松山ケンイチさん♪「女の恋は 激しく、哀しい」がキャッチコピーです。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫 な 50-1)


☆最新刊「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、6刷になりました♪

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)


☆最新刊「危険な世界史」(角川書店)
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html

危険な世界史

☆「怖い絵2」、5刷中。
月刊誌『美術の窓』最新号で紹介されました。ごらんください。

怖い絵2


☆『怖い絵』、11刷になりました。ありがとうございます♪ 「ほぼ日」での紹介。再録⇒ http://www.1101.com/editor/2007-11-13.html

怖い絵
怖い絵
posted with amazlet on 07.07.14
中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)



コメント (2)
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