中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

フランケンシュタインと詩人シェリーと・・・メル・ブルックス!(世界史レッスン第29回)

2006年09月05日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」に連載中の「世界史レッスン第29回」の今日は「フランケンシュタイン誕生前夜」⇒http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2006/09/post_6feb.html#more。1816年の、(フランケンシュタイン好きには)有名な、スイスでのひと夏のエピソードについて書きました。原作に文学的価値はあまりないものの、自分を産んでくれた者に反逆し悪を為すという怪物の魅力は、後世、さまざまな解釈をもたらしました(そのことは第28回分をお読みください)。

 原作者メアリの夫は、パーシー・ビッシュ・シェリー。
 バイロン、キーツと並ぶロマン派の代表的詩人ということは、言わずもがな。
 たいへんな美青年でエキセントリック、ドンファンでもあった。彼のためにふたりの女性が自殺している。いろいろな女性にわかっているだけで7人も子どもを生ませた。

 2度目の妻メアリをも捨てようとして絶縁の手紙を書いたが、その最中に事故死したので離婚とはならなかった。「ドンファン号」という名前の船を嵐の海へ猛スピードで操縦して、転覆したのである。彼もまた、ある意味、フランケンシュタインだったといえよう(両親からはとっくに勘当されている)。

 話しは全く変わるが、近代の三大怪物たちのうち、吸血鬼とジキル博士(=ハイド氏)には傑作ミュージカルがすでにある。前者はウィーン版『ダンス・オブ・ヴァンパイア」(原作はロマン・ポランスキーの喜劇)、後者はロンドン版『ジキルとハイド』。どちらも舞台を見たが、なかなか良かった♪

 で、フランケンシュタインものだけがまだなかったのだけれど、どうやらそろそろできるらしい。メル・ブルックスが『ヤング・フランケンシュタイン』をミュージカル化するというのだ。映画ははちゃめちゃにおかしくてサイコーだったので、かなり期待がもてる。
 とはいえ音楽はどうかな、一抹の不安。ブルックスの場合、『プロデューサーズ』もそうだったけれど、泥臭すぎてときどき辟易させられてしまうので・・・

♪アサヒコムでの拙著一覧⇒http://book.asahi.com/special/TKY200602280388.html
 












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