友人が、こういう実話を聞いた由(ラジオでの情報らしい)。
--ある人が、具合の悪くなった愛犬を病院へ連れて行った。獣医は「これは重病だ。もう助からない」と宣告。
帰宅するなり、その犬は突然ダッシュで玄関から走り出て、交通量の多い道路へ飛びだし、轢かれて即死。
「自殺としか考えられない」
飼い主はそう言うのだそうだ。なぜなら犬は生まれたときから室内で飼われており、これまで一度も、自分ひとりで外へ出て行ったことなどなかった。獣医に死を宣告され、悲観したに違いない、と--
確かにそういうことはあるかもしれないなあ。
象や猫だって、自ら死期を悟るとひっそりいなくなるというし、まして人間に長く飼われていた動物は言葉も解するのだから、獣医は本人(本犬?)の前で無神経な告知をすべきじゃないのでは・・・
それで思い出したのだが、わたしが直接聞いた、犬にまつわる不思議な話しを2題。
Aさんは東京で一人暮らし。実家には子どものときから可愛がっている犬がいて、めったに会えないのをお互い悲しがっている。先日、母親から仕事先に電話がきた。犬が右足の爪にひどいケガをして、手術することになったという。
心配でならないけれど、おいそれとは帰郷できる立場にない。Aさんはその日一日憂鬱な気分で、夜、アパートへ帰った。背広を脱ぎ、靴下を脱ぐと・・・
なんと右足が血まみれ。
妙なことに、痛くも何ともない。ただ血が出ているだけ。よく見ると、親指の爪の間に小さな傷ができていた。愛犬がケガしたという箇所と同じだな、とぼんやり頭の隅で感じたそうだ。
もうひとつはBさん、というより、Bさんのご主人の話し。
夫婦はマンションの6階住まい。長年そこで犬を飼っていた。慣れたもので、犬は決してベランダへ下りたことがない。
ところがあるとき、Bさんが買い物へ行っている間に、その犬はベランダから墜落死してしまう。ベランダへのガラス戸を開けたまま出かけたのは確かだが、これまでもいつもそうしていたし、なぜ今回に限って危険を承知でわざわざベランダへ行ったのか、しかも手すりの柵はかなり密なので、中型犬がそこをくぐりぬけるのは至難の業のはず。どうしてそんなことをしたのだろう、今もって謎と言う。
不思議なのは、しかしこのことではない。
事故が起こったちょうどそのとき、Bさんのご主人はヨルダンへ出張中だった。一仕事終え、観光のため死海のほとりを歩いていた。すると突然、青く高い空から小鳥がまっすぐ墜ちてきて、彼のすぐそばの石に激突した。
小鳥の死骸を見て、彼の頭にまっさきに浮かんだのは、愛犬の身に何かあったに違いない、というほとんど確信めいた直感だったのだそう。
--Aさんは、わりと霊感の強い人である。非常に感度のいい受信機といった趣き。
一方、Bさんのご主人は、ごりごりのリアリストで科学者で、目に見えないものの存在は絶対信じないタイプ。
どんなタイプであれ、起こるときは起こるということかしらん・・・
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆ツヴァイク『マリー・アントワネット』、なかなか重版分が書店に入らずご迷惑をおかけしました。今週からは大丈夫のはずです。「ベルばら」アントワネットの帯がかわゆいですよ♪
☆☆画像をクリックすると、アマゾンへ飛べます。
「マリー・アントワネット」(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
♪♪♪アサヒコムで紹介されている、わたしの著作一覧です。
⇒http://book.asahi.com/special/TKY200602280388.html
--ある人が、具合の悪くなった愛犬を病院へ連れて行った。獣医は「これは重病だ。もう助からない」と宣告。
帰宅するなり、その犬は突然ダッシュで玄関から走り出て、交通量の多い道路へ飛びだし、轢かれて即死。
「自殺としか考えられない」
飼い主はそう言うのだそうだ。なぜなら犬は生まれたときから室内で飼われており、これまで一度も、自分ひとりで外へ出て行ったことなどなかった。獣医に死を宣告され、悲観したに違いない、と--
確かにそういうことはあるかもしれないなあ。
象や猫だって、自ら死期を悟るとひっそりいなくなるというし、まして人間に長く飼われていた動物は言葉も解するのだから、獣医は本人(本犬?)の前で無神経な告知をすべきじゃないのでは・・・
それで思い出したのだが、わたしが直接聞いた、犬にまつわる不思議な話しを2題。
Aさんは東京で一人暮らし。実家には子どものときから可愛がっている犬がいて、めったに会えないのをお互い悲しがっている。先日、母親から仕事先に電話がきた。犬が右足の爪にひどいケガをして、手術することになったという。
心配でならないけれど、おいそれとは帰郷できる立場にない。Aさんはその日一日憂鬱な気分で、夜、アパートへ帰った。背広を脱ぎ、靴下を脱ぐと・・・
なんと右足が血まみれ。
妙なことに、痛くも何ともない。ただ血が出ているだけ。よく見ると、親指の爪の間に小さな傷ができていた。愛犬がケガしたという箇所と同じだな、とぼんやり頭の隅で感じたそうだ。
もうひとつはBさん、というより、Bさんのご主人の話し。
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ところがあるとき、Bさんが買い物へ行っている間に、その犬はベランダから墜落死してしまう。ベランダへのガラス戸を開けたまま出かけたのは確かだが、これまでもいつもそうしていたし、なぜ今回に限って危険を承知でわざわざベランダへ行ったのか、しかも手すりの柵はかなり密なので、中型犬がそこをくぐりぬけるのは至難の業のはず。どうしてそんなことをしたのだろう、今もって謎と言う。
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小鳥の死骸を見て、彼の頭にまっさきに浮かんだのは、愛犬の身に何かあったに違いない、というほとんど確信めいた直感だったのだそう。
--Aさんは、わりと霊感の強い人である。非常に感度のいい受信機といった趣き。
一方、Bさんのご主人は、ごりごりのリアリストで科学者で、目に見えないものの存在は絶対信じないタイプ。
どんなタイプであれ、起こるときは起こるということかしらん・・・
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆ツヴァイク『マリー・アントワネット』、なかなか重版分が書店に入らずご迷惑をおかけしました。今週からは大丈夫のはずです。「ベルばら」アントワネットの帯がかわゆいですよ♪
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「マリー・アントワネット」(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
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