中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

夫を殺害してまでも

2006年05月02日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の<世界史レッスン>第12回は、「ワンチャンスをものにする」。ドイツ人ゾフィが、不思議な運命のいたずらによってロシア女帝になるまでを書きました。⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2006/05/post_5e20.html#more

 エカテリーナ2世については山ほど作品があるが、アンリ・トロワイヤの「女帝エカテリーナ」が群を抜いておもしろい。後年、孫から「王冠をかぶった娼婦」と罵られた男性狂いの様など、鬼気迫るものがあった。

 しかし何といっても圧巻は、ポチョムキンとの恋だ。スポーツのようなセックス、荒々しい愛情表現、ともに手だれの政治家として、恋の駆け引きまで楽しんでしまう中年男女の姿は、いっそ健康的とさえいえる(とうぜんロマンティシズムは皆無だけれど・・・)。

 このグレゴリ・ポチョムキンは、ウクライナ生まれの軍人でエカテリーナより10歳年下。逞しい大男で、ぶかっこうな鼻に、独眼。
 身なりにかまわず、野生動物みたいにぎらぎらして、ときたま爪をかむ子どもっぽい癖があった。とうてい美男子とはいえないのに、なぜか異性を惹きつけたという。
 
 ロシアへ行ったとき、ポチョムキンの肖像画を見た。
 
 ・・・う~む、見なければよかったなあ。
 
 きっと画家が悪いのだろう。たとえ醜くてもポチョムキンには異様な迫力があったはずなのに、ちっともオーラが感じられないんだもの。


♪わたしも「恋に死す」の中で、エカテリーナ2世について書きました。⇒http://www.litrans.net/maplestreet/p/seiryu/


 





コメント (4)
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