経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

クレヨンでつける知財

2006-07-24 | 知的財産と投資
 ベンチャーキャピタルで仕事をしていた頃、株式投資に関する本を読み漁りました。その中でも、投資の本質を突いた参考書籍として読み耽ったのか、「1,000ドルから本気でやるアメリカ株式投資」という本です。なんだか株式投資のハウツー本のようなタイトルですが、わかりやすいだけでなく、その中味は非常に本質的で、書店の株コーナーに平積みされているハウツー本とは異質な本です。この本で紹介されている個別企業のその後は・・・というものが少なくないので、むしろハウツー本としては真に受けないほうが賢明かも知れません(笑)。
 この本の最後のまとめの章の中に、今でもよく覚えている印象深いフレーズがあります。それは、株式投資の際に銘柄を選ぶ心構えとして、「最後の決断はクレヨンでつける」というものです。要すれば、クレヨンでも書けるくらいにシンプルに、その企業を表現できるか、というものです。著者曰く、「良い投資というものは良い切り口をもっていて、それは1行で表現できるものだ。」とのことですが、全く同感です。人間はそれほど賢い存在ではないので、じっくり投資に取組もうと思えば、1行で表現できるようなチャームポイントが必要だと思います。

 ベンチャー企業の知財業務のお手伝いをさせていただく際にも、この本のフレーズをよく思い出しています。そして、
知財業務のポイントはクレヨンでつける。
と念じてみます。その企業が伸びていく強みをできるだけシンプルに把握し、その強みを強化するような知財業務を進めていかなければならないと思います。時間にも資金にも限りのあるベンチャー企業にとって、意味のない特許出願に取組んでいるヒマはありません。クレヨンでつけるポイントは、たぶん投資の決断と同じものになるはずだと思います。

インターネットで始めよう!1,000ドルから本気でやるアメリカ株式投資

NTT出版

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