経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知財2.0

2006-06-02 | 知財業界
 巷では、「Web2.0」が時代のキーワードとなってきました。
 梅田望夫氏の「ウェブ進化論」によると、
「ネット上の不特定多数の人々を、受動的なサービス享受者ではなく能動的な表現者と認めて積極的に巻き込んでいくための技術やサービス開発姿勢」
がその本質とされています。同書は、Webの世界に関する情報をあれこれ羅列するものではなく、今起こっている変化の本質を追求した良書ですが、何か、知財の世界で起こるべきこと、起ころうとしていることにも繋がる部分があるのではないかということを感じました。

 「知財1」の世界では、知的財産権というものは知財ムラの住民だけが専門に取扱うもので、ビジネスパーソンにとっては「専門家に委ねるべきもの」の枠を超えるものではありませんでした。知財ムラも以前とはかなり状況が変わってきたので、新しいサービスを模索する動きが活発になっています。しかしながら、「専門家に委ねるべきもの」の枠の中で、サービスの深彫りや質の向上を図ろうとする方向は、「知財1.1、知財1.2・・・」の世界であって、基本的にはマイナーチェンジの範囲を超えるものではないように思います(勿論、1.1、1.2の路線も顧客ニーズに合う限りは十分に意味のあるもので、フルモデルチェンジでなければダメだという話ではありません。)。
 
 では、「知財2.0」とはどういうことでしょうか。
 以前に、「知財の民主化」という表現でイメージしたことがあるのですが、「知財2.0」といったほうがしっくりきそうです。「知財2.0」の作り出す世界では、知財ムラの住民とビジネスパーソンの境目は限りなく曖昧になり、知財も経営ツールの1つとして、多くのビジネスパーソンにごく普通に意識されるようになる状態を支えるサービスが、「知財2.0」の本質的なイメージです。まだうまく説明できないのですが、誰に対しても画一的なサービスを提供するのではなく、企業の知財部門以外の各部門のいろんなニーズ(例えば、新規事業の企画会議に出席して、知財の切り口から参入障壁について議論するとか、金融機関の審査において投融資判断に必要なレベルの情報を提供するなど)に応えるられるような多様なサービスをイメージしています。もちろん、サービスを受ける側が能動的になるからといって、ビジネスパーソンに知的財産権に関する細かい知識を覚えてもらおうとかいう供給者側の論理を押し付けるサービスのことではありません。

 まぁ、コンセプトを語るは易くても、実行するのは難し、というのが現実ですが。でも、イメージをしっかり持っていないと、そちらに歩を進めることもできませんので、、、


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2 コメント

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Web2.0の特許出願 (久野)
2007-02-08 06:55:40
実は、特開平11-265400がWeb2.0に最も近いのではと、最近思っています。この特許出願は審査未請求で取り下げとなっていますので、もったいないことをしたと思ってもいます。
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Unknown (土生)
2007-02-08 21:14:43
久野様
情報有難うございます。
確かにこれは、Web2.0に必要なツールの基本形の1つですね。
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