知財戦略関連のセミナーの依頼をいただく際に、よく「具体的な成功例を示して説明して欲しい」と言われます。いつもヘルシア緑茶ばかりというのも厳しいですし、これがなかなか悩ましい問題です。
「ヒット商品を支えた知的財産権」というのもあるようですが、ビジネスパーソンの関心とはちょっと違うような気がします(「ヒット商品」というだけで収益への貢献が不明だからか、日用的に過ぎるからか、古い商品が多いからか、理由は説明しにくいですが・・・)。
「世界一シンプルな投資戦略」という本(とてもオーソドックスで真面目な投資本です)に、「圧倒的な強さを持ち、高い参入障壁を築いている企業」に投資しよう、ということが書いてあります。具体例として、トヨタ、新日鉄、任天堂、資生堂、商船三井、ヤクルトなどを挙げてその参入障壁をわかりすく説明しているのですが、残念ながら特許の話は殆ど出てこない(新日鉄について「ミタルの20倍近い特許を持つ技術力、とあるくらい)。事業の強さというのは「特許があるから」とそんな単純なものであるはずがなく、特に参入障壁というのは年数を経て強固になればなるほど、組織や人材、企業文化といったところに昇華していき(トヨタの「カイゼン」とかヤクルトの「ヤクルトレディ」みたいなもの)、「特許による~」と説明しようとすると何だかウソっぽくなってきます。特許というのは、参入障壁の形成過程で細かく効かせていく(いろんな条件交渉を有利にするとか、回避のための負荷をかけるとか)ものであり、極端な話、使い捨てであっても参入障壁の形成過程で何らかの役に立てば意味があるわけで、無理してそこにスポットを当てて説明しようとすると、「ヒット商品~」みたいにちょっとレトロっぽかったり、妙にミクロな話になってしまったりする。そのような例を説明することが、リアルビジネスに本当に役立つのだろうか、と悩んでしまうわけです。
やはりそうやって考えてみても、いい特許=質の高い特許=役に立つ特許、というのは、事業の参入障壁を固めていく工程にはまって何らかの作用をする特許のことであり、どのタイミングでどこに特許を配置しておくかが大切、と思う次第です。
「ヒット商品を支えた知的財産権」というのもあるようですが、ビジネスパーソンの関心とはちょっと違うような気がします(「ヒット商品」というだけで収益への貢献が不明だからか、日用的に過ぎるからか、古い商品が多いからか、理由は説明しにくいですが・・・)。
「世界一シンプルな投資戦略」という本(とてもオーソドックスで真面目な投資本です)に、「圧倒的な強さを持ち、高い参入障壁を築いている企業」に投資しよう、ということが書いてあります。具体例として、トヨタ、新日鉄、任天堂、資生堂、商船三井、ヤクルトなどを挙げてその参入障壁をわかりすく説明しているのですが、残念ながら特許の話は殆ど出てこない(新日鉄について「ミタルの20倍近い特許を持つ技術力、とあるくらい)。事業の強さというのは「特許があるから」とそんな単純なものであるはずがなく、特に参入障壁というのは年数を経て強固になればなるほど、組織や人材、企業文化といったところに昇華していき(トヨタの「カイゼン」とかヤクルトの「ヤクルトレディ」みたいなもの)、「特許による~」と説明しようとすると何だかウソっぽくなってきます。特許というのは、参入障壁の形成過程で細かく効かせていく(いろんな条件交渉を有利にするとか、回避のための負荷をかけるとか)ものであり、極端な話、使い捨てであっても参入障壁の形成過程で何らかの役に立てば意味があるわけで、無理してそこにスポットを当てて説明しようとすると、「ヒット商品~」みたいにちょっとレトロっぽかったり、妙にミクロな話になってしまったりする。そのような例を説明することが、リアルビジネスに本当に役立つのだろうか、と悩んでしまうわけです。
やはりそうやって考えてみても、いい特許=質の高い特許=役に立つ特許、というのは、事業の参入障壁を固めていく工程にはまって何らかの作用をする特許のことであり、どのタイミングでどこに特許を配置しておくかが大切、と思う次第です。
超優良株で資産をつくる! 世界一シンプルな投資戦略―「本物の投資」こそが日本を浮上させる!山田 勉ダイヤモンド社このアイテムの詳細を見る |
知財部と話していると、どうも前提が噛み合わないことが多々あります。特許の効果なんて、幽霊とかUFOの存在について議論しているような気分になります。経営の視点から考えるのなら、知財を重視しないで、それ相応に扱えばいいだけではないでしょうか。
・本当に「やらなければならないこと」を真剣に考えている人々は、自分達で具体例を考えている
・成功例を求める人々は他力本願なので、自分達がそのまま使える成功例が見つかるまで、ただただ追い求める(私も??)
のではないでしょうか?
#冒頭の部分のみに反応してしまいました
コメント有難うございます。
>特許による参入障壁なんて、あるのでしょうか?
ですが、そういう切り口で捉えれば、事実問題としてはたぶん無いと思います(皆無ではないですが)。
エントリにも書きましたとおり、私の捉え方はそういう切り口ではなく、
参入障壁とは多様な要因で形成されるものであり、
特許がその形成過程で役に立つなら使えばよい、
というアプローチで考えています。
エントリに「使い捨てであっても参入障壁の形成過程で何らかの役に立てば意味がある」と書きましたが、例えば、事業のコアとなる部分に関係ある特許が見つかれば、仮に回避される結果になったとしてもフォロワーには少なくとも何らかの時間的・精神的ロスは発生する(少なくとも我々はそういう場面をよく目にします)。それが少しでも現場部門にプラスの貢献になるならば、あとは費用対効果の問題であると思います。
要するに、「参入障壁を形成するのに特許も何か使えないか?」という切り口で考えれば、頭を使えばうまく使える場合もある。教条的に「知財重視」を唱えるのではなく、そこの頭を使うことが知財部門の仕事であろうと思います(でないと、現場部門の理解は得られないでしょう)。
コメント有難うございます。
>それに対して例を挙げると「それはちょっと違う」という反応だったり、「それは面白い」と言いつつ面白いだけで終わってしまうことがほとんどです。
これはとてもよくわかります。こういう流れになってくると「特許のおはなし」の世界になって、リアルビジネスから遊離していくんですよね。だから「具体例」はやりたくないんです。
たぶん、本来の成功例というのは「特許の成功例」というものではなく、「事業の成功例」の中で特許もそれなりに動いていた、という感じなのではないかと思います。