先日いただいた85シャモニー(L系スターワゴン)のカタログを見てみましょう。L系スターワゴンの末期に350台限定で出た、スキー特別仕様車です。当時の開発スタッフも、その名が令和の時代まで続くとは思わなかったでしょう。
左が85シャモニー(L系スターワゴン)、右が86シャモニー(P系スターワゴン)のカタログです。使っているスチール素材は違いますが、デザインはほとんど同じです。このことから察するに、元々P系のモデルチェンジの際にグレードの一つとしてシャモニーを考えていて、実際に需要があるかどうかを見極めるため、モデル末期のテコ入れも兼ねてL系スターワゴンに設定したのではないでしょうか?
表紙をめくると出てくる見開きも、ほとんど同じです(笑)。わざわざアングルまで揃えて車体の写真を配置しているあたりに、やはり85シャモニーは86シャモニーのプロトタイプと見て差し支えないでしょう。
しかし、たった1年で、車そのもののデザインもかなりモダンになった印象です。
そこから更にページを開くと、とてつもない大きさのカタログになります(笑)。いずれも全く同じカタログの造りで、歴代シャモニーでもこんな読みづらいポスター調の装丁をしているのは、この85、86モデルのみです。
85シャモニーは、標準型スターワゴンには設定されないツートーン塗装で、トワイライトブルー/アイガーシルバーの組み合わせ(ただし、バンパは未塗装)。外観では、メッキとなったグリルガード、ウェスタンミラー、14インチスタイルドウィールが特別装備。ブロンズガラスで、高級感もアップしています。限定350台。
86シャモニーも、ほぼ同内容で登場しています。お色もトワイライトブルー/アイガーシルバーのツートーン塗装(バンパもカラード化)で、ディカールのデザインもほぼ一緒。メッキのウィールも継続採用されたため、P系シャモニー歴代唯一の14インチウィールとなっています。ナンバープレートの位置が変更になったので、フォーグランプも特別装備。なお、ブロンズガラスは省かれました(87シャモニーで復活)。限定500台。
85シャモニーの室内写真です。シート形状はあくまでベースのGLXのままですが、GLXエクシードのベロア地のシート表皮に変更された特別品。シャモニーシャモニーシャモニーとド派手なロゴ入り専用カーペットも、既にこのモデルから採用されています。
一方86シャモニーはというと、グッとシックになった色使いの室内に。こちらもGLXのシート形状ながら、エクシードと似た専用のシート地を採用。シャモニーシャモニーシャモニーと入った専用カーペットは、ついにフロントフロア部にも進出。
シャモニーのロゴが入った愛車セットは、85シャモニーでは標準装備です。
一方86シャモニーでは、愛車セットそのものの設定はありますが、オプション品になりました。
85シャモニーでは、GLXエクシードに装備されるマルチソースのカーステレオを標準装備。誰かがラジオを車で聞いていても、カセットテープがイヤホーンで聞けます。
標準装備のスキーキャリアはスーリー社製。翌年の86シャモニーでもスーリー社製が採用されています。
タラップやスキーブーツケースなども、85、86シャモニーでは標準装備となっています。基本的には、カスタマイズの内容、方向性はほとんど変わりません。
こちら裏表紙。諸元表、装備一覧が載っています。85シャモニーでは、標準車のコマーシャルも入っています。
基本的に85シャモニーも86シャモニーも同じ内容なんですが、細かな部分は違いがあって、比較するのも面白いです。いずれもベースのGLXよりも装備の充実した高級グレード的位置づけで、限定車にふさわしい内容を持っています。中には最上級グレードのエクシードですら採用を見送られた装備も一部で見られ、まさに特別仕様車としての風格を漂わせます。やはり、初代シャモニーである85年モデルが好評だったのが、86シャモニーの内容を見ていて感じ取れます。
過去三菱は、ランサーのGSRエボリューションの年次改良を長い事続け、その真摯な開発姿勢がリコール問題などで批判されていた時期においても高く評価されていたことがありますが、このスターワゴンのシャモニーも、それに十分相当するほど年次改良が続けられ、毎年のように設定されていたのはご存知の通り。基本的には最新のシャモニーが最高のシャモニーのわけだが、その素地を築いたこの85シャモニー、86シャモニーは、もっと評価されてしかるべきでしょう。あるいは、多少粗削り感のある初期のシャモニーに思いを馳せるのも、粋なカーライフかもしれません。