ちょっと部屋でカタログあさりしていたら(ホントは別の車のカタログを探していたのだが…)、ダイハツロッキー、ラガーのカタログが出てきました。いずれも後期型用。両者1冊にまとめられたカタログです。なお、ダイハツロッキーと言っても、今新車で売られているスポーツ多目的乗用車のことではありません。
本来はロッキーもラガーも別な車(共通なのはドアとテールランプぐらい)なのですが、当時ロッキーは数百台、ラガーに至っては数十台(ひどいと数台)しか月に売れていなかった不人気車だったので、カタログは一緒にされちゃったみたいです。
どちらも後期型になった時のカタログのようで、ふんだんにロケ写真が使われている贅沢なカタログです。
なかには、オフロード実走レポートまで数ページにわたって掲載されており、ダイハツは割と本気で売り込もうと思っていたようです。
先述の通り、実際には数百台単位でしか月に販売されておらず、かの90年代中盤のRVブーム(現在のスポーツ多目的乗用車ブームとほぼ同義と捉えて問題ない)でもこの台数だったのですから、やはり不人気車には変わりないです。というか、普段軽自動車ばかりドック入りしているダイハツ販売会社で、これらのガチ四駆の車がいっぱい売れて故障で急に来られたりしても、現場も混乱するような気がしますが(笑)。
ロッキーは、ガソリン1600のシングルカム4バルブエンジンを搭載。基本的にはアププローズ用のエンジンと共通のオーソドックスなエンジンです。ガソリン車をお求めの方は、ロッキー一択となります。
足回りはボディ別体のフレームに前輪独立懸架、リアはリーフリジッドと、割とガチな造りをしています。
4WDシステムはパートタイム、トランスファは2H-4H-4Lの3ポジション。前期型にはフルタイム4WDもあったようですが、後期型には掲載されていません。
ロッキーでは、4ATも選べます。油圧制御のオーソドックスなロックアップ機構付きのオートマチックですが、当時わざわざこの1車種のためにダイハツが縦置きエンジン用のオートマチックを開発したとは思えず、シフトノブの形状から言っても、おそらくダイハツで生産を請け負っていたタウンエース用のATでも使い回したのかな?とは思います。実際はどうなのか分かりませんが。
ロッキーのボディは、ショート2ドアのみ。さらに、ルーフは前後着脱可能なレジントップのみ。実際外して走ろうとしたら確実に大変だと思います(笑)が、オプションでビニールトップも用意されており、こちらは簡単に開閉可能です。
至極まともに作られた「ヨンク」なわけだけれども、オープンカー感覚のボディ構造に、多少の遊び心を感じますし、それがロッキーの売りだったということでしょう。廉価な四駆だったことから、当時は法人需要も多少はあったようで、よく役場や設備保守系の車で見かけました。
続いてはラガーですが、ラガーはこのマイナーチェンジにて、ほぼフルモデルチェンジとも言える足回りの変更を実行。従来のフルフレーム・前後リーフリジッドというスパルタンなサスペンション形式から、フルフレーム・前輪独立懸架(ダブルウィッシュボーン、トーションバー)、リアコイルリジッドに変更。当時のRVブームっていうのは、ランドクルーザーやサファリなどといったガチ四駆はフレーム付き前後リジッド、パジェロやサーフなどといったオンロード志向四駆はフレーム付き前輪独立、リアリジッドというのが一般的な構成だったのですが、その後者へ変化した形になります。前期型にもあった3ステージダンパーなどの高級装備も継続。ウィキペディアによると、ガチ勢からは「伸びない足」と不評を買ったようですが、たぶんガチ勢はラガーは選ばないと思う(笑)。
エンジンは2800のインタークーラ―付きのターボDのみ。え?ダイハツで2800のディーゼルって??そうです。なにげに凄いエンジンですが、実際は当時ダイハツが自社製造していた2㌧トラックのデルタのエンジンがベースのOHVディーゼルです。インタークーラ付きで115馬力と、当時の人気ディーゼルRV車と比較しても全く遜色ないスペックで頼もしい。車重は1700kg台なので、間違いなくパワフルです。ただし、トランスミッションは5MTのみ。さっぱり売れなかったのは間違いなく4ATが存在しなかったからですが、おそらくダイハツはATを用意したかったのは間違いないはずで、でもまさか自社でこの車のためだけにATを開発するわけにもいかず、トヨタからATを買おうとしたら「はぁ?うちのプラドを潰す気?」と断られたんだと思います(笑)。
なお、プラドが出る前にこのラガーがトヨタに「ブリザード」としてOEM供給されており、その時はわざわざブリザードにはトヨタの2Lエンジンに換装して販売していました。2Lエンジンなら確実にATはトヨタ側で存在するので搭載可能なわけだけれども、でも結局プラドを作って売ることになったからブリザードは販売中止になったわけですが、そのままブリザードとして販売され続けていれば、おそらくこのマイナーチェンジでATは載ったと思います。
トランスファはロッキーと違うのが載っているようで、ニュートラルポジションがあるのは、おそらく前期型にあったウインチの出力用でしょう(後期型にも、カタログに載っていないだけで純正指定のウインチはあった模様)。4Hはスイッチでワンタッチ式で、基本的にはトランスファレバーは操作せずに走れます。
ラガーのボディもパーソナルユースの2ドアだけで、こちらも販売に繋がらなかった原因と思われます。ただし、レジントップ車はセミロングボディを採用しており、室内が広いことから写真のようなフルフラットシートも実現。2ドアだから家族で使うには不便ですが、一人二人で車中泊旅行は全然使えそうですね。シートモケットは当時のタウンエースのやつに似ているので、おそらく使い回しでしょう。
ロッキーのグレード構成は、廉価グレードのSE、上級グレードのSX、そしてSXをベースにグリルガードやエアコンなど装備の充実した特別仕様車カンタベリー(アパレルブランドのタイアップ)の3種類。ただ、結局SXやSEなんかにグリルガードやエアコンなんかを付けてしまうと逆に高くなってしまうので(笑)、ほとんどカンタベリーしか出回りませんでした(それを反省したのか、その後のマイナーチェンジでマリーンランナーという、SEベースのエアコン付き特別仕様車が登場しました)。
ラガーもSXとSEの2グレード構成で、おのおのレジントップ(セミロングボディ)とハードトップが存在します。え?ハードトップって窓枠付いて無いセダンや2ドアスペシャリティのことじゃないのって??あれは誤用で(突き詰めると語源は同じなので誤用と言っては乱暴だが、俗称、造語に近い)、単に前期型のラガーに幌のグレードがあったことから、鉄屋根のボディということでハードトップと表現されています。レジントップは文字通りのプラスチックトップですが、自由に着脱可能かは不明。かぶせてるだけなので、間違いなく外せるはずですが。
SXは、じつに両側10㌢におよぶド派手なオーバーフェンダ―で迫力のボディ(当然3ナンバー登録)でカッコいいですが、5ナンバー巾に収まっているSEは、なんだかやせ細って見え(特にハードトップ)、お世辞にもカッコいいとは言えないかも(笑)。
なお、全車エアコンは非装着です(ディーラーオプション)。他にもロッキーと違って給油口のオープナが付いてないので、給油の時に一々エンジンキーで開けなければなりません。
エアコンと言えば、ロッキーはエアミックスタイプの、よくあるACボタンを押すと冷風でも温風でもエアコンが使えるタイプなんですが…
ラガーのエアコンは、クーラのツマミが別に付いてるのから分かる通り、エアミックスタイプじゃないクーラ別体エアコン。なんでこんなところで作り分けしているのかナゾです、っていうか、こういうところこそロッキーと共通化してコストダウンすりゃいいのに(笑)。
グリルガードなんかはオプションですが、オプションフル装備のラガーはとてもカッコいい。ただ、たぶんこれくらいオプション品付けると、乗り出し400万くらいになったと思うので、そこまでお金出すんだったら、普通はパジェロとか買うよね。
ロッキーの方が基本設計が少し新しいので、ラガーに比べて有利な部分も多数。でも、形は似ていても結局はキャラクターが全然違う車で、ロッキーにはロッキーの、ラガーにはラガーの良さがあると思います。どちらも1度所有してみたいなと探したことあったんですが、部品が出ないのはシャレードで懲りたから(笑)、やめておこう。