ウィキペディアは、時々ツッコミ待ちなんじゃないだろうか?と勘ぐってしまう文章が列記されていることがあるが、スターワゴンの記事もその一つ。なかでも、スターワゴンの4WD性能に匹敵する競合車種として、100系ハイエースの前期を1位指名。…そうなの?(笑)
そこで、改めてカタログをチェック。こちら、100系ハイエース前期型の2型っていうのかな?(2L-TのディーゼルターボがEFIの2L-TEになった直後のモデル)。
確かに、大径タイアで野性味あふれる外観が特徴的です。というか、100系ハイエースは、2WDのタイアが小さすぎだと思いますが。
前期型は、パートタイム4WDを採用。4駆の切り替えはムードを損ねるボタン切り替え式ですが、別途トランスファレバを用意し、副変速機のハイ・ロー切り替えができます。ちょっと、この位置にレバがあったら操作するの大変そうな気もしますが(笑)、確かに本格的ではあります。と言っても、当時のワンボックスタイプの4WD車はほとんどが副変速機付きのパートタイム4WDで、とりたててハイエースだけが突出して高性能だったのかというのは、少なくともこのカタログからは分かりません。
ただし、2WDとサスペンションの構成部品が異なる旨は書かれており、2WDのフロントダブルウィッシュボーンサスのロアアームがI形なのに対し、4WDはA型ロアアームを採用している点は、確かにスターワゴンの足回りと似ていて強そうです。
エンジンは、スパルタンなターボ無し2800ディーゼルで、スーパーカスタムリミテッドはATしかありませんが、スーパーカスタムなら5MTも選べます。
一方、最初のマイナーチェンジですっかり丸くなってしまった?中期型。適当な写真がカタログに無かったので、オプションカタログの写真でカンベン。グリルガードやフォーグランプ、ルーフラックなどは標準装備ではありませんが、それらを装着しても、前期型の野性味はすっかり影に潜んでしまった感があります。そんなに大きく変わってないんですけどね、やっぱりハブが隠れたウィールのせいなのかな?
この中期型からは、4WDはビスカスカップリング付きセンターデフ式のフルタイム4WDに変更されました。強制デフロックはできずにビスカスカップリングで代用されていますが、常時4駆で走行可能なのは大きいです。ただし、2WDに切り替え、ハイ・ロー切り替えの副変速機などは備えない、オーソドックスな設計です。
エンジンは名機と名高い、1KZ型の3000ディーゼルターボで、ストレスをまるで感じない走りを実現。誰にでも気軽に4WD走行の安心感を手に入れられたと言えます。
まあ、どっちが4WD性能が良いのかと言ったら、ユーザー個人の使い方にもよるんでしょうけど、俺は中期以降のフルタイム式の方がいいとは思います。やっぱ、パートはいろいろ不便ですよ。ただ、「おし、4駆でいくぜ!」とレバーを操作して4駆に入れる瞬間は、ちょっと気合入ってワクワクしますけど(笑)、その程度です。
と言っても、やはり多趣味な人というのは大勢いるもので、例えば釣りとかスキーとかで、川の中、泥の中、急な坂、深雪の中といった、そんなところ普通は走らんでしょ!という路面を走らざるを得ない場合は、さすがにビスカスでデフロック代用のフルタイム4WDだとハマるかもしれません。そもそも論として、そういう人がハイエースに手を出すのが間違いなような気もしますが(笑)。
改めて見ると、100系ハイエースもカッコいいですね。ちょっと前まで結構安値の個体もあったんですが、最近はまた高くなってしまい、手が出せなくなりました。