ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

「ホビット一族のひみつ」読了

2006年05月08日 | 指輪物語&トールキン
読了ってほどの量の文章じゃないんですが・・・(汗)なんでこんなに読むのが遅いのか、という感じです。面白いのに・・・
というわけで昨日やっと読み終わりました。やっぱり面白かったです。
前にトゥック家やブランディバック家について書きましたので、それ以降で面白かった話などを。
まずはドワーフたちの名前ですが、13人のドワーフとガンダルフの名前がアイスランドの散文詩「エッダ」に出てくるという話は、「或る伝記」か何かにも出ていたと思います。
この本では、さらにそれらの名前が、「エッダ」に出てくるドワーフの名前のリストに出ているものだということが書いてありました。
トールキンはこれらのリストをドワーフの叙事詩だと解釈して、ドワーフの物語を作ったのだろうと、筆者のディヴィッド・デイ氏は書いています。
そう言えば、以前「イリアス」を読んだ時、トロイ戦争に参加したギリシア側の戦士たちの名前が延々と出てくるくだりや、戦死したトロイ側の戦士の名前のリストが出てくるくだりがあったのですが、古典の叙事詩にはこういうリストがよく出てくるらしいですね。
「指輪物語」でも、ペレンノール野の戦いのあと、戦死した勇士たちの名前が連なっている場面が出てきますね。
名前が連なっているだけでつまらないな・・・と思いがちですが、トールキンはこうした名前からも想像力を膨らませたんでしょうね。
この中でガンダルフの名前もドワーフの名前だったんですね。魔法を使うエルフ、という意味だそうです。
このGandalfのalfは、elf、妖精という意味のほかに「白」という意味もあるのだそうです。ガンダルフというのは名前自体に「白の魔法使い」という意味があったというのですね。
トールキンは、ガンダルフという名前を使うことにして、そこからガンダルフが白の魔法使いになるという筋を思いついたのかもしれませんね。
ちなみにこのガンダルフという名前、最初はドワーフの一人だったのが魔法使いの名前になったそうで、これも名前を見ているうちに思いついたことなのではないでしょうか。
他のドワーフたちも、ちゃんと名前に見合った性格や風貌になっているそうで、トーリンは「向こう見ず」(トールキンやトゥックとも同じような語源かも)、バーリンは「燃えるもの」、ボンブールは「ふくれた」という意味だそうです(笑)
面白いのが、グローインは「輝くもの」というなんだか素敵な名前なんですね。旅の中では特に個性はなかったですが、案外ギムリの父親に選ばれた?のはこの名前のせいかも、という気もしますね。
あ、ちょっと面白かったのが、トーリンの妹でフィーリとキーリの母親のディスという名前、単に「妹」という意味なんだそうです。て、手抜きなネーミング(汗)
この他、このリストからはドゥリンはもちろん、スライン、スロール、ダインなどのドワーフの名前が採られているそうですが、何も書いてないということはどうもギムリはこのリストから出た名前ではなさそうです。
うーん、もう少し踏み込んでギムリの名前の由来も調べて欲しかった・・・「ホビット一族のひみつ」だから仕方ないでしょうか(笑)

あと、フロドの名前ですが、古英語のFrodaは賢い、賢者というような意味なのだそうです。
トールキンは間違いなくフロドの名前に「賢い」という意味を採っていると思います。
というのも、HoMEシリーズのThe History of the Lord of the Ringsに出てくる幻のエピローグに、アラゴルンがサムと家族たちに書いたエルフ語の手紙(ゴンドールの公式な言葉ということなので、シンダリンではなくてクウェンヤなのかな。よく知らなくてすみません・・・)が出てくるのですが、その中でご丁寧にもサムの家族の名前が全員エルフ語に訳されているのですよ。
この中で、フロドの名前の一部に、「サムワイズ」のwiseにあたるのと同じ言葉が使われているのです。なんでかなーと最初読んだ時には思いましたが、これを読んで納得しました。
面白いのは、やはりThe Histoy of the Lord of the Ringsに出ている草稿では、フロドは最初は主人公の名前ではなかったんですよね。一緒に旅に出る友人の一人の名前で、後に主人公の名前に採用されたのだそうです。(このあたりは自分で読んだのではありません。ふむ道、小道、数多くさんで要約されているものを読ませていただいているだけです(汗))
主人公の名前がフロドになったのは、ビンゴというちょっと間抜けな名前だったのが話がシリアスになるにつれて似合わなくなって来たため、やむなく?名前を変えたということです。それでもしばらくはあまり主人公の名前としては気に入らない様子だったようですが・・・他にいいのを思いつかなかったのかな(汗)
フロドという名前のキャラクターは、最初は単に賢い友人、といった位置づけだったのかもしれませんね。
ただ、立場的にはピピンに近い感じのようでしたが・・・フルネームも「フロド・トゥック」だし。ピピンをもうちょっと賢く(汗)したような感じ?(汗)
ちなみにトゥック翁の名前も最初はフロドだったとか。
主人公としては今ひとつ、と思いつつも、主人公の名前にスライドするくらいですから、重要な名前ではあったんでしょうね。
でも、ピピンの立場に近いキャラクターが「フロド」だったことで、やっぱりトールキンはメリーよりもピピンが大事なんだなあ・・・とちょっと僻むメリー好きの私(笑)

前にも書いたことがあるのですが、ピピンの「ペレグリン」という名前は古英語で「放浪者」という意味なのだそうですが、これもThe Histoy of the Lord of the Ringsによると、アラゴルンの前身であるトロッターというキャラクターがホビットだという設定だったころの名前が「ペレグリン」だったのだそうで、そこから来ているのか、と思うとなるほどなー、です。

というわけで、楽しんで読みました。難しげな語学の話を簡単に書いてくれてたのが良かったなと。語学苦手な私でも興味深く言語学の入り口に入れたように思います。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« DVD鑑賞 ウィロー&モモ | トップ | フロドの一番の親友は? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

指輪物語&トールキン」カテゴリの最新記事