ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

僕らのミライへ逆回転(ネタバレ)

2008年11月07日 | 映画
以前ちらっとあらすじを知った時、ちょっと面白そうかな・・・と思ったのですが、その後ミシェル・ゴンドリー監督作品と知って、これは行かねばと。「エターナルサンシャイン」「恋愛睡眠のすすめ」と2つ見て、この監督は好きだな、と思ったので。
「エターナル-」も「恋愛睡眠-」も、男性とは思えない、なんだかかわいらしいというか、女性的な感覚の作品だったので(「TOKYO!」の「インテリアデザイン」もそうだったなー。まああれは原作者が女性でしたが)、今回はちょっと雰囲気が違うなあ、と見る前から思ってました。主演がジャック・ブラックな時点で女の子っぽいってあり得ないだろうし(笑)(でも主人公はモス・デフの方だと思ったけどなあ)
実際、ちょっと今までの作品とは違う印象でしたね。
今までは、舞台となる街もパリだったり、N.Y.近辺だったりと、そこそこおしゃれだったんですが、今回はニュージャージーのちょっとさびれた町。それも、さびれた町をおしゃれに撮るのではなく、そのままうらぶれた雰囲気のまま撮っていたのにちょっとびっくりしました。
登場人物たちも、今時DVDデッキも買わないような低所得の人たちが中心。黒人やヒスパニック、白人もジャック・ブラック演じるジェリーはキャンピングカーで生活しているし、ミア・ファローは養っている不良の甥っ子に脅されながら侘しく暮らしているし。(白人なのに甥っ子が黒人って、血のつながりはないのかな。旦那の甥っ子とか?)
そんなうらぶれた町に「こんな町大嫌いだ」と言いながら暮らす人たちが、最後には皆で映画を作ることで希望を見出す・・・というのが大筋でしたね。
フランス人でN.Y.に住んでる(らしい)彼がなぜこんな話を? というのが不思議な気がしましたが、逆にフランス人の彼が撮ったからこそドロドロせずに描けたと思う、という感想を読んで、そうかもなあ、と思いました。
結局、ゴンドリーが描きたかったのは、作ることでも観ることでも映画を楽しむ、ということを、もっと原点に帰って感じよう、ということだったのかなーと。ニュージャージーのうらぶれた町、という設定は、それを描くための舞台であって、アメリカの所得格差とかそういうことを批判しようというものではないんだろうな、と思いました。
まあ、アメリカに何年か住んでいれば、そのあたりの社会問題も嫌でも見えて来るでしょうから、全く意識してないことはないはずですが、やっぱり所詮は外国人が作った話だよなあ、というのはあるかな。
ただ、「TOKYO!」の時も、「外国人が東京を舞台にして撮った映画ではなく、日本の映画を撮りたい」というようなことを言っていたと思うので、それなりに誠意は感じるかなーと思いました。基本的にとても優しい人だと思いますしね、どの作品を見ても。
ラスト、皆が外から映画を見ていて・・・というのも、ありがちな「感動的なラスト」なんだけど、ビデオ店の取り壊しが取りやめになったかどうかまでは描かれていなくて(多分取りやめにはならなかっただろうと思うけど)、単なるハッピーエンドではなかったところも良かったかな。
って、いきなり真面目な感想から入ってしまいましたが、この映画の目玉は、手作り低予算リメイク映画のおかしさ、ですよね。
最初に撮ったリメイク映画が「ゴーストバスターズ」でしたが、ちょうど低予算な特撮技術をふんだんに?使える作品で、なかなかな選択だなーと思いました。図書カードの引き出しが勝手に開くのとか。
あと、他の映画のリメイクだったけど、撃たれて頭の下に血だまりが出来るのがピザというのが・・・(笑)
ダンボールアートもさすがゴンドリーという感じ(笑)
単にくだらないというだけではなくて、どこかかわいかったりほんわかしているところがあるのは、やっぱりゴンドリーだなーと思いました。やっぱりこの人の感覚は好きだなあ。
途中、LotRのポスターがよく映るな、と思ったら(やっぱりニューラインだから?)ついにリメイク版のパッケージも置いてあって、結構笑いを取ってました。「一体どんなのが!?」と思わせて本編は見せないところがなかなか上手いなあと(笑)
ちなみにこのLotRリメイクや他のちらっと出てきたリメイクの映像は、こちらで観られます。
LotRのリメイクは、本編で使われたものではないので、残念ながら監督もゴンドリーではないし、ジャック・ブラックもモス・デフも出てないんですが、なかなかおかしいです。他のリメイクで使われた、白黒反転機能とか回転する台?に乗ってぐるぐる回るのとかが使われたりして。
4,5人でやってるんで、旅の仲間がいつも入れ替わりつつ4,5人ずつしか出てなかったりとか(笑)
でも、まあ低予算なんですが、カメラワークとか明らかにプロっぽいし、ちゃんと本物のサントラ使ってたりして、ちょっと本編のリメイクと雰囲気違うのが残念かな。まあオマケですからねー。
でも、ゴンドリーが監督したLotRリメイク版も観てみたかったな・・・
ジャック・ブラックは主演となってますが、彼が演じるジェリーはかき回し役で、主人公はどちらかというとモス・デフ演じるマイクだったと思うのですが(リメイクもマイクのアイデアだし)、モス・デフでは主演には地味なのかな・・・
マイクはあまり頭が良くなくて自信もないという設定だったようですが、なんかモス・デフは賢そうに見えてしまったなあ・・・
全体として、映画への愛情に溢れていて、なかなか感動的だったけれど、「エターナル-」や「恋愛睡眠のすすめ」の方が好きかなーとは思いましたけど。やっぱり夢とかファンタジーな要素が入った方がゴンドリーらしいというか、私は好きですね。
でも、ほんわか笑えて、あったかい気持ちになれて、それでいて甘すぎない作りで、それなりに良かったと思います。

というわけで今年見た映画の順位。
1.イースタン・プロミス / 2.ミラクル7号 / 3.宮廷画家ゴヤは見た / 4.マイ・ブルーベリー・ナイツ / 5.グーグーだって猫である / 6.西の魔女が死んだ / 7.ナルニア国物語第二章 カスピアン王子の角笛 / 8.スウィーニー・トッド / 9.転々 / 10.TOKYO! / 11.僕らのミライへ逆回転 / 12.コドモのコドモ / 13.パコと魔法の絵本 / 14.コレラの時代の愛 / 15.エリザベス ゴールデン・エイジ / 16.あぁ、結婚生活 / 17.ライラの冒険 黄金の羅針盤 / 18.奈緒子 / 19.L Change the World / 20.クリストファー・リーとフランク・ザッパのこわがることをおぼえようと旅に出た男 / 21.ティム・バートンのアラジンと魔法のランプ / 22.スターウォーズ クローンウォーズ / 23.デトロイト・メタル・シティ / 24.20世紀少年 / 25.マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 / 26.カンフーくん / 27.フランシス・フォード・コッポラのリップ・ヴァン・ウィンクル / 28.ポストマン / 29.ミック・ジャガーのナイチンゲール
順位難しい・・・とりあえず暫定です。しかしTOKYO!より下になるとは思わなかったなー(汗)

あと、今年中に観に行く映画のリスト。
公開中 「崖の上のポニョ」「落下の王国」(鑑賞済み)「夢のまにまに」(鑑賞済み)「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」「ブーリン家の姉妹」「レッドクリフpart1」
12月公開 「アラトリステ」
アラトリステの公開日はいつ決まるんだろう・・・

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2 コメント

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ご無沙汰です (くまんちゅう)
2008-11-13 22:55:52
ただのバカ映画かと思ってたら
意外と昨今のハリウッド映画への批判とか
色々メッセージも有り、映画愛に溢れた良作でした。
昔ながらの特撮とか、手作り感が良かったですね
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映画愛 (ぐら)
2008-11-13 23:17:09
ハリウッド映画の現況に対する批判とか海賊版の著作権侵害とかは気がつかなかったです。なるほど、そういうのもこめられていたんですね。
手作り特撮、良かったですよね! ファッツが死ぬ場面の魂が抜ける様子とか、ダンボール製のパイプオルガンとか、どこかかわいい感じがゴンドリーらしくて良かったです。
彼のダンボールアートが好きなんですよね(笑)
ゴンドリーは本来はもっと個人的な世界を描いた方がより持ち味が出るような気がするのですが、今回はもっと広い世界に向けて作ってる感じですね。
個人的にはもっと狭い世界?を描いている作品の方が好きですが、この作品も彼らしい暖かさがあって、これはこれでいいなあと思います。
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